
ライターとして、これには大きな期待をかけられる! と感じるものに出くわすことがたまにある。その場合、筆者は契約しているメディアの編集長の首を絞めてでも「これを記事にしようぜ!」と要求してしまったりする。
JR東日本が6月9日に発表した「新幹線eチケット購入機」がそうだ。この新幹線eチケット購入機というのはあくまでも仮称で、これからもう少し格好いい名前がつけられるはずだが、それよりも「誰でも最短1分で新幹線のeチケットを購入できる窓口機器」という点が大いに光っている。
新幹線eチケットはオンラインでも販売されているが、現実問題チケット購入者の大部分が窓口での当日券購入。そうした需要に対する最適解を、JR東日本はついに繰り出したのだ。
「えきねっと」は使いづらい!
@DIMEとはまた別のメディアの話だが、筆者はこのメディアの記者としての取材を控えている。場所は遠方だが、新幹線で行ける場所でもある。
故に、筆者は『えきねっと』のアプリを開いてeチケットを買おうとしたのだが……このえきねっと、実はかなり評判が悪い。アプリはえきねっとユーザーIDとJRE IDが未だ共存状態で、えきねっとユーザーIDを入力してもシームレスにログインできない。はっきり言って、スマホで使えるレベルではない。アプリの評価もiOS、Android共にボロカスに叩かれている状態だ。
かなり辛辣に書いてしまったが、実はこのあたりはJR東日本自身が認めている。
今年2月にJR東日本が新しい新幹線eチケット予約サービス『JRE GO』を発表した時、えきねっととJRE GOを対比するイラスト表をプレスリリースに掲載している。そこでは、えきねっとの欠点として「会員登録に手間がかかる」「最適な列車を探しづらい」「予約変更時の操作が大変」といった点を並べているのだ。
JR東日本は、えきねっとの不便さを自覚している。
その上で、現状において新幹線チケットの購入者の約8割が乗車日の当日にそれを買い求めているという事実が存在する。
券売機で新幹線のきっぷを購入されるお客さまの8割は乗車当日の購入です。そのうち半数の方は発車時刻の20分以内に購入され、時間的余裕がありません。一方で、現状の券売機ではUIの複雑さや、改札における複数枚のきっぷの投入の難しさが残っており、ご不満やご不安のお声が多く寄せられていました。
(「Suica Renaissance」 第4弾 JR東日本)
つまり、eチケットのオンライン購入プラットフォームを整備拡張するよりも、駅窓口の機能を充実したほうが現実的ということだ。
駅での20分を「ゆとり」に変える
今年度末までにJR大宮駅と宇都宮駅で検証が開始される予定のeチケット券売機。JR東日本エリアの東北、秋田、山形、上越、北陸(東京~上越妙高間)の新幹線に限定されるというが、何とこれはクレジットカード決済のみに対応しながらSuica・モバイルSuicaと紐付けるeチケットを発行するという。
しつこいようだが、クレカ決済「のみ」である。Suicaを使うのにSuicaで決済できないというのは、何とも不思議な気分にさせられる。
だが、プレスリリースを読む限りでは操作手順はそこまで複雑ではなさそう。それもそのはずで、このeチケット購入機は「ご乗車当日に券売機で新幹線のきっぷをお求めのお客さまの半数は発車まで20分という短い時間の中で購入」していることを前提に開発されたもの。「駅での20分を、焦りからゆとりへ」という文言も記載されている。
この機器の使い勝手については、検証が始まってみないと何とも評価できない。デジタル機器の操作が不得意な人にとっても便利なものになり得るのか。残念ながら、プレスリリースだけではそうしたことは一切分からない。
が、これは数年前から巷でも話題になっている「みどりの窓口存続問題」に貢献し得るものだ。
とりあえず検証を見守ろう!
みどりの窓口を廃止するJRの駅が相次いでいる。
これはもちろん、人手不足に起因する現象だ。最近では生成AIプラットフォームの開発が行われ、AIがどこまで人間の駅員に置き換わるかを検証する実験も行われているが……正直、AIの実力はまだまだ未知数だ。利用者の複雑なニーズを、AIが正しく認識できるのか。みどりの窓口のスタッフがいずれAIになることは間違いないはずだが、それには何年かかるのか。現時点で、JRグループは闇の中を手探りで歩いている。
そのような状況で、シンプルなユーザーインターフェースの新幹線eチケット購入機はどのような活躍を果たし得るのか。
筆者はこのeチケット購入機に大きな期待をかけているが、敢えて懸念している点を挙げるとすると「導入から間もない頃の対応」である。というのも、こうした新しい機器が導入されると、その使い方にまごつく利用者が必ず現れる。故に、機器の横に使い方を説明するスタッフを置かなければならない。スーパーマーケットや衣料品店の無人レジも、空港のセルフチェックイン機もそうした現象が見受けられた。
eチケット購入機も、最初はどうしてもそうなっていくだろう。が、だからこそ大宮駅と宇都宮駅で検証が実施されると考えるべきだ。つまり、現時点のプレスリリースに掲載されているものはプロトタイプであり、それは今後誰にとっても使いやすいものに改良されていく。そうした部分も含めて、eチケット購入機には大きな期待をかけるべきではないか。
参考
「Suica Renaissance」 第4弾 JR東日本
新幹線予約を最短1分で!ネット予約「JRE GO」サービスを開始します JR東日本 PR TIMES
文/澤田真一
四国旅行に必要不可欠な「しこくスマートえきちゃん」を知ってるか?
JR東日本のSuica、JR東海のTOICA、JR西日本のICOCA。このような具合に、JRグループはそれぞれの交通系ICカードを開発・展開している。ある1社を…




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