オープンカー。夏に幌を開けて走ると、この上ない爽快感と清涼感を得ることができる……というイメージがつきまとっている。

が、これはメディア論の問題である。盛夏の時期、幌を開けて走ることで本当に涼しくなるのか? これは車の広告や漫画やドラマや映画が作り上げたイメージに過ぎず、実際は紫外線を容赦なく浴びながら灼熱のドライブをしなければならないはずでは?
人間とは、その時代のメディアに大きく影響されてしまう動物である。江戸時代の人々は、歌舞伎を見て「源義経は悲劇の英雄」というイメージを持った。しかし、『吾妻鏡』を読む限り義経は優秀な軍人ではあったが、政治的戦略性をまるで無視した行動を取っている。
義経ファンには悪いが、彼を「兄に嵌められた弟」とするイメージは後世のメディアが作ったものだ。「幌を開けて夏の海を見渡しながら疾走するオープンカー」も、結局は虚構ではないのか?
幸いにも、筆者は静岡県静岡市在住のオープンカー所有者。というわけで、筆者が体を張って実験してみようじゃないか!!
車内温度は48℃!?
ここ数年の静岡市は、夏になると「全国で一番暑い都市」になる日が明らかに多くなった。
2025年8月6日の日中は41.4℃を記録し、これは観測史上最高気温である。この日、筆者は外出しようとして家族にこっぴどく怒られたことを今でも記憶している。「夏が暑くなった」と感じている静岡市民は、筆者だけではないはずだ。
そして、2026年もやっぱり暑い! そんな中で、筆者は温度計を手に愛車のダイハツ・コペン(初代)に乗り込む。
このコペンについて、少しだけ説明しておきたい。
これは去年5月に車検込み総額37万円で購入したもので、その時点からいろいろなところに支障があった。コペン名物のアクティブトップの動きが渋い、タービンの動作がおかしい、タイヤが寿命間近、オルタネーターの不調、その他諸々。それを少しずつ修理していき、何とか今に至っている。
でもまぁ、中古車なんてそんなもんだ! オルタネーターが故障した時、筆者を心配して声をかけてくれたお兄さんにもそう言ったほどだ。決して強がりではない。
で、今回はこのコペンのアクティブトップを開けて走ってみて、車内温度がどれだけ下がるかという試みである。
温度計を車内に入れて数分後、表示は早速ながら40.1℃に達した。うへぇ、先が思いやられるぜ! 修理してまだ間もないアクティブトップを開き、近所を走行。筆者の自宅の周囲には新東名道も国道1号線バイパスもあるため、高速で走る場所には事欠かない。……のだが、炎天下の中ではどれだけ走っても涼しくならない!
車内温度はメキメキ上昇し、適当なコンビニの駐車場に停めて温度計を確認すると……何と48.4℃!
これ以上の実験は、命にかかわるので中断することにした……。運転中の熱中症は、自分だけでなくその場にいる車をも巻き込んでしまう。筆者は安全モットーで検証を行うライターだ。
やっぱり冷房は素晴らしい!
というわけで、結論は早々に出てしまった。真夏のオープンカーは、涼しいどころか暑いだけだっ!!
そもそも、オープンカーの幌を開けて走るのに最適な季節は春か秋と言われている。特に秋は日中でも歩行ができるくらいに涼しく、程よい風が吹き、紫外線の強さも対策は必要だが火傷のような日焼けを起こすほどではない。10月と11月が「オープンカーの季節」と言ってもいいだろう。
逆に、7月と8月は大変である。屋根がない分だけ風に飛ばされない帽子もしくはサンバイザーが必要で、さらには日焼け止めクリーム、飲み物、サングラスも用意しなければならない。いろいろと面倒なのだ。
というわけで、ここは素直にアクティブトップを戻し、コペンを屋根のある状態にする。その上で冷房を一番強い状態でかけ、しばらく走ってみた。すると、見る見るうちに車内温度が下がっていく。ほんの15分ほどで32.3℃まで落ち着いた。
経口補水液は必須だが…
加えて、真夏のオープンカーに手袋は必須である。
なぜか? それはハンドルがとにかく熱いからだ。
黒色のカバーに覆われたハンドルやシフトレバーは、とにかく熱い。火傷しそうなほどであり、とても手で触れるものではなかったりする。これは直射日光が当たっている限り、自然と解消する問題ではない。故に、手袋が必要になる。はっきり言って、真夏のオープンカーはいろいろと物入りで面倒なのだ。
また、上述したように熱中症防止のため飲み物を用意しておかなければならない。できればお茶やスポーツドリンクではなく、経口補水液を用意したほうがいいだろう。
が、これまたいろいろな意味で厄介を生み出してしまう。たとえば、筆者の初代コペンはドライバーの左腕に当たるアームレストを開くと、500mlペットボトルがちょうど収まるスペースがある。
実はこれは助手席側に蓋が横開きする設計で、そのせいで助手席に妙なプレッシャーを与えてしまう(初代コペンの不親切な部分として結構有名)。残念ながら、これ以外にペットボトルを収められるスペースがない!
というわけで、ドライバーと同乗者の水分補給を徹底させようと思ったら、狭い車内のどこかにドリンクホルダーを増設しないといけないのだ。いや、やっぱオープンカーの幌は春と秋に開けたほうがいいなぁ……。
そんなわけで、真夏のオープンカーはかなり手間がかかることをここまで解説した。このあたりは、車選びの際にはある程度の参考になり得るのではないか。いずれにせよ、幌を開けた状態の走行には日焼け止めクリームが絶対不可欠だ!!
文/澤田真一
全国の「コペン」オーナーが大集合!「Keep it OPENイベント#01」でアクティブトップを修理してもらった話
2026年5月16日、ダイハツ工業株式会社が『Keep it OPENイベント#01』というイベントを富士スピードウェイで開催した。 8月に生産を終える予定のダ…




DIME MAGAZINE




















