電通はこのほど、米国・カナダ・メキシコの3か国共催・48チームが参加し史上最大規模の大会となった「FIFAワールドカップ2026」の日本代表戦4試合を対象に、生活者の視聴実態(独自の約1万人規模のアスキング調査)、スマホの利用、購買、テレビ視聴に関するデータなどを統合的に分析し、分析結果を発表した。
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1.テレビ、配信、自宅外――広がる日本代表戦の観戦機会
ビデオリサーチ社の推計によるリアルタイムのテレビ視聴者(到達人数)は4試合計6849.3万人となった。また、DAZN社発表のDAZN視聴者は約1,100万人にのぼった。さらに、追加で行った電通独自のアスキング調査によると、「バーなどの飲食店、パブリックビューイング、友人・知人宅、職場」など自宅外で試合を視聴していた約370.9万人の観戦者が存在すると推計される。観戦場所は多岐にわたり、観戦スタイルの多様化がうかがえる。
2.キックオフの時間帯で変わる「4つの観戦スタイル」
今回は、グループステージ・オランダ戦、チュニジア戦、スウェーデン戦、ラウンド32・ブラジル戦という日本代表が戦った放送時間の異なる4試合における観戦パターンを分析。その結果、生活者は単に時間を合わせるだけでなく、観戦に伴う食や移動、働き方を自らデザインしていることがうかがえた。
(1)【月曜・早朝5時】生活始動型(オランダ戦)--「出社前に勝負を見届けたい。冷たいアイスで頭と目を覚ます朝観戦」
大会初戦となった月曜朝5時のオランダ戦では、出社・登校前の限られた時間で観戦するため、スマホでの手軽な視聴が急増。docomo data squareデータによると、当日のDAZN起動UU数は前週比約38.7倍となった。
購買面では、朝の目覚ましや短時間での気分転換を狙い、みぞれアイス(127.5%)やコーンチップスナック(119.0%)など軽食が伸長。出勤前の「一人の静かな熱狂」を通常の生活リズムに組み込む姿が見られた。
(2)【日曜・昼13時】劇場型(チュニジア戦)――「休日のリビングがスタジアムに。家族や仲間と乾杯する週末イベント」
日曜昼のチュニジア戦では、家族や友人が自宅に集まり、にぎやかに観戦する”共視聴”のスタイルが定着。テーマパークや商業施設の人流が同時間帯の前週比で約14%減少した一方、自宅での消費が大きく伸長した。
発泡酒(132.1%)やポップコーン(146.0%)などが伸長。デリバリーアプリ利用(前週比最大1.4倍)が大きく伸び、STADIA360データに拠ると120分以上視聴率も4試合中トップを記録。自宅をパブリックビューイング会場のように仕立てて楽しむ姿が多く見られた。
(3)【平日・朝8時】生活両立型(スウェーデン戦)--「仕事は休めない、でも見逃せない。時差出勤・スマホ視聴でのスマート観戦」
通勤ラッシュと重なる平日朝8時のスウェーデン戦では、生活者の自律的な調整力が発揮された。関東主要路線の通勤通学時間帯の利用者が前週比10~20%減少する一方、DAZNの8時台起動UU数は最大に。多くの人が在宅勤務や時差出勤、通勤しながらの手元観戦などを活用したことがうかがえる。
食生活も日常を壊さない配慮が働き、冷凍おにぎり(131.1%)やカップ麺類(129.5%)といった準備・後片付けのいらない「インスタント」な商品が選ばれた。
(4)【平日・深夜2時】リカバリー型(ブラジル戦)--「明日に響かせたくない、でも歴史的瞬間を見たい。自制と情熱のバランス」
平日・深夜2時という最もハードルが高かったブラジル戦。「最後まで応援したいが、翌日の仕事に影響が出ないようにしなければ」という葛藤の中で、生活者は知恵を絞った。
試合前日に購入したノンアルコールチューハイ(119.7%)や高級ミニアイス(116.7%)で気分を高めつつアルコールを控え、SNSやコミュニケーションアプリで友人とやりとりしながら(通信・コミュニケーションアプリの起動数前週比176.7%)観戦。当日は身体をいたわるグラノーラ(155.1%)や栄養ドリンク(129.7%)などの栄養補給商品の購買が急増するなど、影響を最小限に抑える「リカバリー設計」を行った上で、深夜の熱狂に没入していた。
まとめ:生活と観戦を両立させる「観戦・生活時間設計(Viewing Lifestyle Design)」
今回の分析から見えてきたのは、生活者がサッカー日本代表戦を自らの生活リズムの中に積極的に組み込みながら観戦していた姿だ。テレビとスマホを使い分け、出社時間を調整し、食の選び方まで工夫するなど、視聴方法だけでなく購買や移動も状況に応じて選択していた。
こうした行動からは、「試合は見たい。でも、日常も大切にしたい」という両立への志向がうかがえる。生活者は、その時々の状況に応じて、観戦と日常生活のバランスを自ら選び取っていた。こうした一人一人の前向きな工夫の集積が、今回見えてきた「観戦・生活時間設計(Viewing Lifestyle Design)」の実態だ。
出典元:電通
構成/こじへい
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