8~9月は強い日差しや猛暑による影響から、1年で最も頭皮環境が悪化しやすいといわれる時期だ。知らずのうちにダメージが重なり、放置すると頭皮トラブルにつながる恐れがあるといわれる。
そこで今回は、湘南AGAクリニック新宿本院院長で医師の斎藤浩一氏に、夏場の頭皮ダメージのリスクや自宅でできる頭皮トラブルの予防策、AGA(男性型脱毛症)への影響、最先端の治療方法を解説してもらった。
猛暑がもたらす頭皮環境への悪影響とは?
斎藤浩一医師
湘南AGAクリニックゾーン統括ドクター兼新宿本院院長。1994年三重大学医学部卒業後、脳神経外科医を経て2009年に湘南美容クリニックへ入職し、長年AGA・薄毛治療に従事。日本美容外科学会専門医(JSAS)などの資格を持ち、自毛植毛をはじめとする毛髪医療の論文・学会発表も継続的に行なっている。
https://www.sbc-aga.jp/
「8~9月は〝紫外線〟〝汗・皮脂〟〝間違ったケア〟の3つが重なりやすい時期です」と、斎藤医師は警告する。
1.強い紫外線
「夏の頭皮は、強い紫外線や高温多湿など、さまざまな外部からの刺激にさらされています。特に頭部は日差しを直接受けやすいため、紫外線によって頭皮が乾燥したり、赤みや炎症が生じたりすることがあります」
2.汗や皮脂
「気温が高い時期は、汗や皮脂の分泌も増えやすくなります。頭皮が蒸れた状態が続くことで、かゆみやベタつき、においなどの頭皮トラブルにつながることもあります」
3.間違ったケア
「汗をかいたからと一日に何度も洗髪したり、頭皮を強くこすったりするのはNGです。必要な皮脂まで落としてしまい、かえって頭皮の乾燥を招くことがあります」
夏場に悪影響が及んだ頭皮は、放置するとどのようなリスクがあるのだろうか。
「頭皮の赤みやかゆみ、フケなどを放置すると、慢性的な炎症が続くことがあります。また、無意識に頭皮をかくことで、さらに爪などで強い刺激を与えてしまう可能性もあります」
AGA(男性型脱毛症)と夏ダメージとの関係とは?
頭皮ダメージというと、抜け毛が進み、そのままAGA(男性型脱毛症)になるのが怖いイメージがあるが、どうなのだろうか。
「〝夏に頭皮がダメージを受けたから、そのままAGAになる〟という単純なものではありません。AGAは主に男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛髪の成長サイクルに影響することで進行する脱毛症です。
そのため、紫外線や汗を浴びたこと自体がAGAの直接的な原因になるわけではありません。
ただ、夏は紫外線や汗、皮脂、蒸れなどによって頭皮トラブルが起こりやすいため、もともとAGAが進行している方が抜け毛や頭皮の変化を意識するきっかけになることはあります。
この場合に大切なのは、季節のせいだと思い込まないことです。
特に生え際の後退や頭頂部のボリューム低下など、AGAに特徴的な変化が続いている場合は、夏の一時的なダメージと考えず、早めに医療機関で状態を確認するとよいでしょう」
一方で抜け毛の増加にはAGA以外の原因が隠れている場合もあるという。
「頭皮環境を整えても抜け毛が続く、生え際や頭頂部が以前より薄くなったと感じる場合は、自己判断で育毛剤などを使い続けるのではなく、一度専門医に相談することをおすすめします」
夏の頭皮ダメージの予防策
夏には多かれ少なかれ頭皮に悪影響が及ぶ。どのような予防策が考えられるか。
「夏場は特に帽子や日傘などで強い紫外線を避け、汗をかいた後は、長時間放置しないことが基本です。洗髪の際は爪を立てず、指の腹でやさしく洗い、シャンプーが残らないよう十分にすすぎましょう」
夏ダメージを受けてしまった日頃の頭皮ケア習慣
頭皮に強い紫外線ダメージを受けてしまった後には、どうすればいいか。
「毎日のケアで、コツコツと頭皮を健やかな状態に戻していくことが大切です。
汗や皮脂が気になるからとゴシゴシ洗ったり、一日に何度もシャンプーをしたりするのはおすすめできません。ぬるめのお湯で予洗いし、シャンプーをよく泡立てて指の腹でやさしく洗い、十分にすすぎましょう。
洗髪後は濡れたまま放置せず、頭皮まできちんと乾かすこともポイント。
また、睡眠不足や極端な食事制限などを避け、規則正しい生活を心がけることも大切です。
それでも赤みやかゆみ、フケ、抜け毛などが長く続く場合は、セルフケアだけで済ませず医療機関を受診してください」
抜け毛や薄毛が気になる場合には、別の対策が必要だとも。
「生え際や頭頂部の薄毛が進んでいる場合には、AGAへの対策を別に考える必要があります。AGAは進行性のため、早い段階で状態を把握し、必要に応じて治療を検討することが重要です」
AGAの早期発見のためのセルフチェック方法
AGAは進行性であるため「以前と違う状態が続いている」と感じた段階で専門医に相談することが早期発見につながると、斎藤医師は話す。
「AGAの初期は『大量に毛が抜ける』というより、髪が以前より細く短くなった、ボリュームが出にくくなった、といった変化から始まることがあります。チェックしていただきたいのは、次の点です」
1.生え際、特にM字部分が以前より後退していないか
2.頭頂部の地肌が目立つようになっていないか
3.髪全体のハリやコシが減っていないか
4.細く短い毛が増えていないか
「毎日鏡を見ていると変化に気づきにくいため、月に1回程度、同じ場所・照明・角度で生え際や頭頂部をスマホで撮影して比較するのもひとつの方法です」
AGAの最新治療法
AGAが気になっている人は、どんな治療法があるのかについても気になるだろう。
「AGA治療は近年、選択肢が増えていますが、基本となるのは、薄毛の進行を抑える治療と発毛を促す治療を、症状に合わせて選択することです。
代表的なものとして、フィナステリドやデュタステリドによる進行抑制、ミノキシジルによる発毛促進があります。
湘南AGAクリニックでは内服・外用治療に加え、薬剤などを頭皮へ届ける毛髪再生メソセラピー、自身の後頭部などの毛髪を移植する自毛植毛、自身の健康な毛包組織を活用する毛根再生注射なども選択肢として用意しています」
治療法はどう選べばいいだろうか。
「どの治療が適しているかは、AGAの進行度や年齢、健康状態などによって異なります。新しい治療だからいいというわけではなく、医師の診断のもとで適切な治療を選ぶことが重要です」
夏の頭皮ダメージによる頭皮トラブルは放置すべからず。AGAのセルフチェックも兼ねて、この機会に日頃の頭皮ケアに気を配るのもいいかもしれない。
取材・文/石原亜香利
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