AIをはじめとする情報技術のイノベーションが各国に普及し、生活者の情報・メディア行動が変化している中、企業が技術普及や戦略を考えるためには、生活者のテクノロジー受容の特性や実態を捉えることが重要になっている。
こうした背景を踏まえ、博報堂のメディア環境研究所はこのほど、東京圏(1都3県)・ロサンゼルス(以下 LA)・上海・ロンドン・ドイツ全域の5地域で、各900名・計4,500名(10~50代)を対象に、メディア接触状況やAI・先進テクノロジーサービスの利用状況を調査する「グローバル・メディア・テック調査2026」を実施し、その結果を発表した。
東京圏では「毎日視聴・利用するメディア」、「信用度の高いメディア」ともにテレビが1位
東京圏では、「毎日利用するメディア」「信用度の高いメディア」の両方で「テレビ番組のリアルタイム視聴」が1位となった。毎日利用するメディアでは、「テレビ番組のリアルタイム視聴」が69.9%で1位、次いで「メッセージのやり取りとタイムライン投稿・通話を楽しむようなSNS(57.3%)」、「ニュースサイト・ニュースアプリ(56.7%)」の順となった。
2位以下に10pt以上の差をつけてトップとなったテレビの毎日利用率は、他地域における首位と2位の差分と比較しても突出しており、東京圏ではテレビが強い構造が顕著に表れている。
信用度の高いメディアにおいても、毎日利用するメディアと同様「テレビ番組のリアルタイム視聴」が2位に10pt以上の差をつけて首位となった。他地域ではテレビ以外に「生成AI」や「タテ型やヨコ型の無料動画配信サービス視聴」がTop5にランクインしているが、東京圏ではSNSや生成AIなどのデジタル新興メディアと比較し、依然としてテレビやラジオの信用度の高さがうかがえる。
また、毎日利用しているメディアについて年代別に見ると、東京圏の10代・20代では「短い文章で日々の出来事・感情などを投稿するようなSNS(71.7%)」が1位となる一方で、信用度の高いメディアについては依然として「テレビ番組のリアルタイム視聴」が1位となり、世代を超えてテレビが情報行動の基盤であり続けている様子がうかがえる。
慎重なAI・テック利用 ― 5地域で最も慎重、しかし受容は着実に前進
「レジなし店舗の利用」や「メタバースでの交流」などの先進テクノロジー利用経験についてきいたところ、東京圏のみ約7割が「あてはまるものはない(67.3%)」と回答し、5地域で最も慎重な姿勢が見て取れる。対照的に、LAや上海では「動画やSNSの配信を通じた商品の購入(LA56.2%・上海53.3%)」や「レジなし店舗の利用(同59.0%・47.3%)」を中心に定着し始めている様子がうかがえる。
生成AI利用意向は80.7%で現利用者との差は24.5pt。大きな伸びしろが存在
生成AIの利用状況についてきいたところ、東京圏の生成AIの利用経験率は61.9%(前年比+11.3pt)、現在の利用率は56.2%(同+11.1pt)と、この1年で着実に浸透。他都市の利用経験率と比較して低いものの、利用を拡大している。また、利用意向については80.7%に達し、現在の利用率との差は24.5ptと、今後も大幅な伸長が予測される結果となった。
AIによる防犯や、ロボットに介護、運転を任せたい意向が強く、不安・負担軽減へのニーズが高い
AIやロボットと人間を比較し、様々な生活行動をどちらに任せたいか尋ねた設問では、東京圏で「AIに街の監視や犯罪抑止を任せたい」「ロボットに老人などの介護を任せたい」「ロボットに自動車の運転・操縦を任せたい」の3項目が、いずれも5地域の中で最も高くなった。犯罪への不安や、介護・運転といった日常の負担、こうした生活のペイン解消へのニーズが、テクノロジー浸透の鍵になると考えられる。
各海外エリアの調査結果サマリー
・LA(アメリカ)
生成AIの利用経験は9割近く。レジなし店舗やXRデバイスなどの先進テクノロジーの利用経験率も5地域で最も高い。
・上海(中国)
ヨコ型動画の信用度がテレビ番組を逆転。AIへの委任意向が5地域で最も高く、約4割が商品選びを、約5割がコンテンツ選びをAIに任せられると回答。AIと家族になれるという回答も4割を超え幅広い領域でAIを受け入れる意識が高い。
・ロンドン(イギリス)
子供の見守り、介護などの対人ケアをロボットに任せたいという意向が5地域内で最も低い。生成AIを純粋な道具と割り切り、生産性ツールとして捉える志向が強い。
・ドイツ全域
生成AI・先進テクノロジーの受容が低位。判断や暮らしをAIやロボットに委ねることに最も慎重。生成AIや先進テクノロジーの利用経験は東京圏よりも高いものの、「人間が主役」の姿勢が顕著。
<「グローバル・メディア・テック調査2026」調査概要>
調査名 :グローバル・メディア・テック調査2026
対象地域:東京圏(1都3県)/ロサンゼルス(グレーターLA)/上海/ロンドン(グレーターロンドン)/ドイツ全域
対象者 :各都市在住の 10~50代 男女 900名(計4,500名)
調査期間:2026年2月3日~3月15日
調査主体:博報堂 メディア環境研究所
出典元:博報堂
構成/こじへい
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