近年、夏季に40℃を超える顕著な高温が毎年のように記録されている。こうした状況を受け、気象庁は2026年4月、最高気温40℃以上の日を「酷暑日」と命名した。
観測データを振り返ると、2018年以降は毎年酷暑日が観測されており、2025年は延べ30地点と過去最多を記録。「40℃以上の暑さ」は一時の異常気象ではなく、各地で恒常的に警戒すべきリスクへと変化している。
そこで日本気象は、過去の全国の気象データと地理情報を用いて、高温が発生しやすい地理的な特徴を分析し、将来最高気温40℃以上の「酷暑日」が観測される可能性が高い地域について予測を行ったので、詳細をお伝えしよう。
高温が発生しやすい地域の地理的特徴
全国のアメダス観測データと地理情報(緯度・標高・海岸からの距離・周囲の山地高さなど)を用いて分析した結果、以下の特徴を持つ地域で酷暑が発生しやすいことが分かった。
1.海岸から離れた内陸部
2.標高が低い地域・盆地
3.風上側に高い山地を抱える地域
顕著な高温が発生するメカニズムの一つに、フェーン現象がある。フェーン現象とは、風が山を越える過程で暖かく乾燥した空気となり、風下側の地域に高温をもたらす現象だ。
周囲の山地が高いほど気温が高くなるという結果は、フェーン現象による影響が考えられる。
過去に酷暑日を観測した36日間を対象に、風上側の山地と酷暑日の発生地点の割合の関係を調べてみると、風上側の山地の障壁高が高い地点ほど、酷暑日の発生割合が高くなることが確認された。
今後5年間(2026~2030年)の「酷暑日」観測確率予測マップ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の5つの温暖化シナリオのうち、最も気温上昇が抑えられたシナリオ「SSP1-1.9」に基づき、2026年~2030年の5年間で、少なくとも1回 酷暑日が観測される確率を全国的に試算。試算は地理的要因の分析結果を組み合わせ、機械学習手法を用いて行った。
赤いエリアほど、2026年~2030年の5年間で少なくとも1回は酷暑日が観測される確率が高いことを示している。
関東~東海地方の内陸部で特に高確率エリアが広がっており、次いで近畿地方や九州地方北部、北陸・中国地方の一部でも20%前後の確率が見込まれる。
2050年までの長期予測マップ
同じ温暖化シナリオで、2050年まで期間を延ばした場合の酷暑日観測確率マップだ。
本州・四国・九州の多くの地域で高確率エリアが確認できる。北海道でも、オホーツクエリアや十勝平野で酷暑日を観測する可能性がある。逆に、沖縄地方はそれほど確率が高くないという興味深い結果も確認できた。
今後5年間(2026~2030年)に酷暑日を観測する確率の高い都市ランキング
全国874地点のうち、将来の観測確率が高い地点を算出し、100位までランキング形式でまとめた。
ランキング上位には、これまで酷暑日を観測した実績のある地点が並び、1位は群馬県の館林であった。館林は2025年末時点で5回酷暑日を観測したことがある、酷暑日常連の地点だ。
都道府県別に見ると、群馬県、埼玉県、岐阜県の地点が上位に多くランクインしていることがわかる。
これまで酷暑日を観測したことがない地点では、美濃加茂(岐阜県)が6位にランクインしており、今後5年間で酷暑日が観測される確率は56.8%という結果に。
13位の豊田(愛知県)、25位の八幡(岐阜県)、60位の日田(大分県) など、2026年(8月3日時点)に新たに酷暑日を観測した13地点中8地点はランキング100位以内に入っていた。
南にある沖縄地方の地点は、上位100位には入っておらず、沖縄地方で最も上位の那覇でも513位(0.44%)と低確率であった。北海道で最も上位の地点は、501位(0.51%)の本別で、確率は低いものの那覇よりも上位にランクインしている。
分析のまとめと今後の展望
今回、気温の観測データと地理データを組み合わせ、高温が発生しやすい場所の地理的特徴を分析した結果、緯度や標高だけでなく、海岸からの距離や周囲の山地の高さも、高温の発生に関係していることが明らかに。
さらにその結果をもとに、将来酷暑日が観測される確率を試算すると、関東・東海地方だけでなく、本州・四国・九州の広い範囲で将来的に酷暑日が観測される可能性があることが示唆された。
近年の高温傾向が続けば、今後も酷暑日を観測する地点数は増えていくことが予想される。これまで酷暑とは無縁だった地域でも、「40℃」が日常になる日が近づいているかもしれない。
関連情報
https://ods.n-kishou.co.jp/tech/blog/detail/10316
構成/Ara




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