「日本人は海外旅行に行かなくなった」と言われている。
それは円高の影響も多分にあるだろうが、他にも様々な要因が絡んでいることは間違いない。官公庁によると、2025年の出国日本人数は1,473万人。パンデミック直前の2019年のそれが2,008万人のため、確かに年々回復してはいるがまだ往年の数字を取り戻してはいないということだ。
その上で2026年は、日本人が海外旅行をしづらい年になってしまった点は否めない。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で、原油価格が高騰したからだ。これは航空券の価格に直結する。
ならば、同じ旅客機を使う旅行でも「国内オープンジョー旅行」というのはどうだろうか?
全国で整備されつつある「片道レンタカー」
オープンジョー。往路と復路の利用空港が異なる旅を指す言葉だが、鉄道と航空路線が全国津々浦々に整備されている山岳国日本において、このオープンジョーは大きなポテンシャルを含む旅行形態と言えるのではないか。
羽田空港からA空港に降り立ち、そこから何かしらの交通手段を使って移動しながら先々の観光地を楽しみ、最終的にはA空港から数十キロ離れたB空港へ行き、羽田に戻る。そうした旅行を実現させる「何かしらの交通手段」とは、たとえばレンタカーだ。
「レンタカー? そんなのは元の場所に返さなきゃいけないじゃないか!」
そう言われてしまうかもしれない。が、今では「片道レンタカー」という新しい交通手段が整備されつつある。
Pathfinder株式会社が展開するレンタカーサービス『カタレン』は、片道レンタカー業界の雄とも言える存在だ。都内から成田空港へ行くためのレンタカーで名を馳せているこのサービス、実は3年前の2023年に九州で興味深い実証実験を行っている。
「九州周遊片道レンタカー」だ。
Pathfinder株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:小野﨑悠介、以下「パスファインダー」)は、株式会社MIC(横浜市都筑区、代表取締役社長:増田 信夫、以下「MIC」)と連携し、「福岡-長崎-鹿児島」のの3拠点から2拠点を選んで利用可能な「九州周遊片道レンタカー」≪カタレン for Kyusyu≫の実証実験をスタートします。
(九州3拠点周遊の旅「片道乗り捨てレンタカー」《カタレン for Kyushu》の実証実験スタートPathfinder株式会社 PR TIMES)
行楽地でのレンタカー利用。これは「旅の選択肢」を大きく広げると同時に、思い出をより深いものにしてくれる。 しかし、何事にも「難点」が存在する。レンタカーの場合は…
レンタカー事業に限らず、交通関連の実証実験には必ずと言っていいほど現地の自治体が関わっている。自治体からすれば、優先すべきは県外からやって来た新興企業ではなく、地元のタクシー会社や路線バス会社である。その折り合いをどこでつけるのかを検証しつつ、最大限のレバレッジを模索する。自治体が交通関連の実証実験を行う時は、100%そうした意図が働いていると断言してもいいだろう。
言い換えれば、自治体が大きな期待をかけているからこそ企業に対して実証実験を行う場を与えているということだ。
自治体が本気をちらつかせる
自治体と大手航空会社が協力して片道レンタカーにまつわるキャンペーンを展開するケースも存在する。
以下は島根県が2025年11月に発表したプレスリリースだ。
島根県および公益社団法人島根県観光連盟では、萩・石見空港を活用したさらなる観光誘客の促進を目的に、ANAグループと連携して、東京(羽田)=萩・石見線の利用促進事業を進めています。
この度、新たに「萩・石見空港片道利用で、レンタカーの乗り捨て料金が0円になるキャンペーン」を期間限定・台数限定で実施します。このキャンペーンにより、山陰エリアや近隣県との広域周遊を促し、萩・石見空港の利用促進を図ります。
(島根県×ANAグループ連携 萩・石見空港片道利用でレンタカー乗り捨て料金0円キャンペーン 島根県 PR TIMES)
これは2025年11月から翌3月まで行われていた取り組みで、萩・石見空港~鳥取空港、米子空港、山口宇部空港をつなぐレンタカーの乗り捨て料金を0円にするという内容だ。乗り捨て料金がかからないということは、これは実質的な片道レンタカーであることを意味する。
いずれにせよ、自治体は暗にこう主張しているのだ。
「皆さん、ぜひ旅行はオープンジョー形式で計画してください。オープンジョーにしたほうが、いろいろなところを巡ることができて楽しいですよ!」
そのような主張はあながち間違いではなく、日本は隣の地域に行けば全く異なる景色を観察できる稀有な国。それは結局、日本は火山島の国だからだ。山脈の北側と南側とでは、自然も文化も雰囲気も大きく違ってくる。
本州は世界的にも「大きな島」
その上で、筆者は「本州内のオープンジョー旅行」を強く勧めたい。
なぜなら、本州は我々日本人が何となく想像しているよりも大きいからだ。
本州という島は、世界第7位の面積を持つということはあまり広く知られていない。知られていないからこそ、我々が本州に大きな魅力を感じる余地はまだまだ残されているのではないか。
幸いにも、最近では地方都市の路線バスにキャッシュレス決済が続々導入されるようになった。地方の路線バス会社にとって、維持費の問題からキャッシュレス決済乗車システムの実装は簡単なことではなく、また地元住民が強くキャッシュレス決済乗車システムを求めているとは限らない。が、それでも時代の流れに従って現金以外の決済手段の実装に踏み切る交通事業者が増えている。
つまり、首都圏での日常生活に使用しているのと同じ決済ツールを旅行でも使えるということだ。
こうした技術的進化により、国内旅行はさらに奥深く、さらに面白いものになっていく。
参考
訪日外国人旅行者数・出国日本人数 観光庁
九州3拠点周遊の旅「片道乗り捨てレンタカー」《カタレン for Kyushu》の実証実験スタートPathfinder株式会社 PR TIMES
島根県×ANAグループ連携 萩・石見空港片道利用でレンタカー乗り捨て料金0円キャンペーン 島根県 PR TIMES
文/澤田真一
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