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街中もアウトドアもしっかり走るホンダ「ZR-V e:HEVクロスツーリング」の絶妙なバランス

2026.08.16

クロスオーバーSUV「ZR-V」の日本デビューは2022年11月。「ZR-V」は米国や中国でも生産されているが、日本仕様は国内生産だ。デビュー当初は、1.5Lガソリン仕様と、2.0Lガソリン+モーターのハイブリッド仕様があったが、2026年3月の一部改良のときに、1.5Lガソリンモデルは廃止となった。ハイブリッド=e:HEV専用モデルになった。この時、特別仕様車としてカタログに記載されたのが「CROSS TOURING=クロスツーリング」だ。ノーマルのe:HEV Zグレードをベースにアウトドア志向のユーザー向けに設定された。

具体的には、フロントグリルを縦バーのバーチカルグリルからハニカム形状のグリルに変更、専用のバンパーやフロントロアガーニッシュ、サイドアンダースポイラーを装着し、アウトドアを意識した外観にした。内装はオレンジステッチを施した明るいグレージュの組み合わせを採用している。機能面では、18インチのマットブラックアルミホイールを装着。タイヤは試乗車でブリヂストン「アレンツァ」の225/55R18を組み合わせていた。

そのほかのメカニカルな部分は、ノーマルのe:HEV Zと同じ仕様だ。パワーユニットは「CIVIC e:HEV」で新たに開発された、直列4気筒、2.0Lの直噴ガソリンエンジンと電気モーターを搭載。モーター内蔵電気式CVTを組み合わせている。性能はエンジンが最高出力141PS、最大トルク182Nm、モーターは184PS、315Nmと発表されている。燃費は試乗した4WDモデルで20.5km/L(WLTCモード)だ。車両重量はベースになったZより重く、1630kg。ちなみにZのFF車は1580kgだ。

Dレンジ、ノーマルモードで走り出す。エンジンが冷えている状態では、普通のガソリン車のように、エンジンが2000回転ぐらいの回転で数分間、回るが、それを過ぎるとエンジン停止、モーターでの走行になる。充電状況はメーターパネル左のグラフで表示される。グラフは9コマで状況を表わしている。これが4コマ以下になると、エンジンがかかる。走行中にエンジンが始動すると、若干の振動とブーンという音が室内に入ってくるので注意深く観察しているとわかる。

加速はエンジン+モーターやモーターだけの時でも、車体の重さは感じさせない。エンジン141PS+モーター184PSのパワーはファミリーSUVには特に不満のない性能といってよいだろう。ちなみに0→100km/h加速を計測すると8秒台だった。一般的に10秒を切ればスポーティと評価されるので、クロスツーリングという性格のモデルには十分な性能といえるだろう。

ドライブモードは「スポーツ」「ノーマル」「エコ」「スノー」の4モード。スノーモードは、ホンダSUVの国内モデルとしては初採用されたモードで、アクセルペダルの踏みこみに対する駆動力を抑えることで、雪道など滑りやすい路面での走破力を高めている。このモードは季節的にも試すことはできなかった。エンジンとモーターの作動は、クルマ任せ。電気がたまっているときは、モーターで走行し、減ってくるとエンジンがかかる。それが街中だけでなく、高速走行でも行われる。意識的に充電するモードは設定されていない。それでも、走行中に充電メーターを見ていると、電気が減少しても、数十分走れば、満充電になり、モーターでの走行が始まっていた。

試乗を終えて、給油してみたら、今回の試乗での、燃費は16.2km/Lだった。ちなみに、カタログでの「クロスツーリング」4WDのWLTC燃費は20.5km/Lだ。ハンドリングと乗り心地に関しては、基本的にはベースになったe:HEV Zと同じ。ノーマルモードでは、やや重めの操舵力での直進性は安定感があり、安心感がある。コーナーでも高速域のハンドルの戻しはやや強めだが、車体のロールは抑えられており、ホンダ車らしいキビキビ感が体感できる。乗り心地はやや硬め。低速域では路面の細かいゴツゴツ、中速から高速域では上下動の硬さが伝わってきた。

スポーツモードでも硬めの動きは変わらないが、スポーツ走行を楽しむという点では、モードの性格に合っている。ただし、今回はドライバー1名での試乗だったので、このクルマの用途を考えれば、3~4名試乗での動きが気になるところだ。室内もとくに後席は、やや低めの着座で足元も空間が広く、床もほぼフラットなので、居心地はよい。後席中央部は床面が硬く、高いので、左右1名が快適定員。後席ドアウインドは全開でも1/4ほど残ってしまい、下がりきらない。

ラゲージスペースは、バンパー上の開口部との段差もなく、左右幅は1m以上ある。サブトランクもバンパーに近い部分が深さ20cmの物置きになっている。後席は6対4で前倒可倒式。背もたれを倒すと、ほぼフラットになる。安全性に関しては、安全運転支援システム、HONDA Sensingの最新機能を装備。全16項目が標準装備される。さらに急な下り坂や急勾配な道でも設定した速度を自動でキープするヒルディセントコントロールも装備されている。室内形状に合わせてBOSEと共同開発したオーディオを12スピーカーで楽しみながら、e:HEVの走りを楽しむ。「ZR-V」はミドルクラスのスマートなSUVだ。

■関連情報
https://www.honda.co.jp/ZR-V/

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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