2026年7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1(最大震度7)の大きな地震、令和熊本地震が発生した。自宅が被災から免れたとしても、依然、断水が続いているところも多いと聞く。筆者も被災した3.11東日本大震災では1か月以上、上下水道が使えず、スーパーマーケットやコンビニではしばらくの間、ミネラルウォーターも品切れ。1週間後からは自衛隊の給水車が近くに来てくれて、一安心したものだ・・・。
※被災を免れた地域まで足を伸ばして水を買いにいったものだ。
災害時の水の重要性を改めて考える
ところで、人間の体の約60%(成人男性)は水分で構成されているそうで、体内のさまざまな機能を維持し、健康を保つために水分は不可欠な要素となる。被災現場では「トイレ環境の不備」から水分を控えようとする気持ちになりがちだが、この時期の暑さの中ではもちろん、寒い時期でも水分補給は命のためにも欠かせないのである。
また、水はパウチ食品を温めるため、カップ麺&スープに注ぐお湯としても必要になる。災害時の備蓄品として、非常用トイレ、トイレットペーパー、医薬品、マスク、除菌ウェットティッシュ、食料品、モバイルバッテリー、ランタン、電池、カセットコンロ&ガスボンベ、季節用品(夏なら冷感衣類、虫よけなど)などはもちろん、最上位に挙げられるのが水と言っていい。この@DIMEではこれまで災害時の対応、備蓄品、車内の過ごし方などについて解説してきたが、今回は水の備蓄のポイント、給水所のお世話になるときの水の運び方について改めて説明したい。
ストックすべき水の量とペットボトルの水の正しいストック方法とは
人が1日に必要とされる水は1人3Lと言われている。家族4人、最低1週間分の水を備蓄するとしたら1日12L×7日=84Lになる。そこで多くの人は(かつての我が家も)箱で保管しやすい2Lのペットボトル6本入りのケースを必要分、用意しているはずだ。※冷暗所で保存すること。
しかし、それは半分正解、半分不正解だと防災研究家でもある筆者は思っている。こうした、ストックしておいた水がどうしても必要になるケースは断水時だ。とすると、2Lのペットボトルの水をコップに移して飲むわけにはいかなくなる。衛生のためにコップを洗う必要があるからだ。お湯をたっぷり沸かすような使い方であれば2Lのペットボトルの水は有用だが、人が水分補給のためにマメに飲むことを考えると、実は、持ち運びしやすく、手元に置きやすく、コップの必要がなく、短時間で飲み干すことができて衛生的でもある500mlのペットボトルの水のほうが適切なのである(サッカー選手がピッチで飲むように、口を付けない飲み方を、細菌繁殖抑制のために推奨)。それも、災害時にはゴミが出せない日が続くため、ペットボトルのゴミは致し方ないとして、せめてラベルのゴミが出ないレベルレスのペットボトルをストックすべきだと思う。
我が家では2Lのミネラルウォーター6本入りケース40%、500mlのミネラルウォーター24本入りケース60%の比率で、家族分(愛犬分含む)を用意している(3人家族9L+愛犬1Lで1日10L)。500mlの水のペットボトルに関しては、非常用リュックの中にはもちろん、持ち歩き可能なペットボトルホルダーにも入れてある。そんなストックがあれば、水を買い求めるために奔走せずに済み、被災当初、給水所の水を困っている人に譲ってあげることもできるのだ(自治体のホームページなどの断水・給水情報の収集も忘れずに)。
しかし、水のストックには限界がある。大地震で水道が復旧するまでの日数は1週間~1か月が目安と言われていて、家族分、最大1か月分に必要な量をストックするのは、専用倉庫がない限り不可能だろう(4人家族で1人3L×30日分=360L)。つまり、2Lのペットボトル6本入り10ケース(120L)、500mlのペットボトル24本入り20ケース(240L)ものストックが必要になるからだ。
水を大量に運ぶならポリタンク×キャリーカートが楽
さらに、断水が続き、ストックした水が尽きてしまうこともある。まだコンビニやスーパーマーケットで水が手に入らないとすれば、給水所、自衛隊の給水車のお世話になるしかない(令和熊本地震では当初、1人2L制限があったらしい)。が、ある程度の量の水をいただけるとしても、運ぶのは重く、やっかいだ。水をビニール袋に入れ、リュックに入れて・・・なんていうライフハックもあるのだが、3.11東日本大震災で毎日のように水汲みに足を伸ばしていた経験では、重い水をリュックに入れて運ぶより体力を消耗しにくいと思える、蛇口付きポリタンク×ベルト付きキャリーカートの組み合わせのお世話になった。
ペットボトルの水の賞味期限と水道水の保存方法とは
もちろん、ペットボトルの水もローリングストックが必要。箱に2028年6月(2028/6)などと記載されているのを確認、または筆者のようにメモに残しておくといい。また、スーパーマーケットなどで長期保存可能なペットボトルの水が売られているので、非常用備蓄としてはより安心かも知れない。ただ、ペットボトルの水の賞味期限は「入っている水の量」の保証でもあり、ペットボトルに使われている素材は通気性があり、開封前であっても少しずつ水が蒸発してしまうために賞味期限が設けられている。ゆえに賞味期限が1か月ぐらいすぎても飲めないことはない。我が家では、賞味期限前にローリングストックとして飲み切ってしまうのだが、それでも飲み切れない賞味期限切れの水は、捨てずに、生活用水としてストックしてある。例えば、お湯にしてパウチ食品の温め、手洗い用など、飲料以外の様々な用途を想定している。ちなみに、水道水を空いたペットボトルに入れた場合、常温で3日、冷蔵庫で10日程度の賞味期限となるようだ。ただし、浄水、火を通した白湯は水道水に含まれる塩素の力が弱まるため、保存できる期間は短くなる。常温3日程度の保存前提なら、殺菌効果のある塩素が含まれている状態のままの水道水を使うようにしたい。
そうした防災対策を、時間のあるお盆休みの間にしっかりと整えておきたい。このたびの令和8年熊本地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
文/青山尚暉(防災研究家)




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