ジャングリアの運営会社ジャパンエンターテイメントは、初年度の総来場者数が100万人で、総売上は100億円を超える見通しだと発表しました。加藤健史社長は思うような数字に至らなかったとし、目標に届かなかったと説明しています。
施設内で来場者が快適に過ごす改善活動を重ねているものの、肝心の集客に結び付く決定打に欠けているように見えます。
話題性が高くオープン直後に人が殺到
ジャングリアは投資額が700億円、観光資源が少ない沖縄北部という立地、マーケティング支援をするスタートアップ刀が手がけるということもあり、注目度が高いテーマパークでした。
そうした背景もあって、オープン当初は人が殺到。オペレーションが追いつかず、人気のアトラクション「ダイナソー サファリ」は5時間近く待たされるケースがありました。
また、屋外スペースが多い設計となっていたため、来場者は沖縄の暑さにさらされる結果となりました。体を休める場所が少ないという弱点があったのです。
ジャングリアはオペレーション改善に取り組んでおり、「ダイナソー サファリ」の待ち時間は60分程度まで短縮。大型の屋根付きの休憩所の新設や、広範囲に冷気を送る大型ミストファンの増設、水を使ったイベントの導入など、改善活動を繰り返してきました。
オープンから1年で来場者数は100万人を突破したものの、半年で65万人が訪れています。前半に集中しているのです。
想定以上に人が押し寄せてしまい、最も重視すべき初期に訪れた人たちの体験価値が落ちる結果となってしまったと言えそうです。ここからの巻き返しは簡単ではありません。
テーマパークだけではない、ジャングリア本来の役割とは
沖縄の2025年の国内旅行者数は約800万人です。ジャングリアを訪れた人の9割が国内の旅行者だったとすると、全旅行者数の1割が来場していることになります。
1割しか訪れていないことを考えると、引き上げる余地は大いにありそうに見えます。しかし、北部を訪れる人は多くなく、美ら海水族館でも340万人程度。美ら海水族館のチケット代は大人が2180円、高校生が1440円です。入りやすさという点においては美ら海水族館の方が上であり、ジャングリアが同程度の入場者数に引き上げるハードルは高いでしょう。
そして何より、水族館とテーマパークでは滞在時間が異なります。
沖縄県によると、国内旅行者の沖縄の滞在日数は4日ほどで、ここ数年は大きな変化がありません。2泊3日または3泊4日が圧倒的多数を占めています。
そうなると、旅行者はいかに効率的に沖縄を満喫するかが重要になります。待たされる時間が長いジャングリアには不利な状況なのです。
実はジャングリアは沖縄北部で一泊する需要を喚起する狙いがありました。観光資源が少ない北部で長期滞在を促し、観光産業を活性化させようとしたのです。
ジャングリアは多種多様な企業からお金を集めて開業しました。商工中金や琉球銀行、沖縄振興開発金融公庫などからの融資、オリオンビール、JTB、近鉄グループホールディングスなどからは出資を受けています。
つまり、ジャングリアはテーマパークとして成功するというよりも、地方創生や地域開発事業という位置づけが強いものでした。観光産業を発展させて、沖縄経済に恩恵をもたらすことに期待がされていたのです。
大自然という資産は活用できているのか?
ジャングリアは大人1人2970円という、1日券の半額以下の「ふらっとチケット」を販売しました。集客に苦戦していること、今の施設内での快適さを知ってもらうこと、短期滞在で旅行プランの中に組み込んでもらおうとしていることなど、ジャングリア側の狙いは理解ができます。
しかし、観光産業の活性化という期待されていた役割から考えると、そぐわない部分も目立ちます。何より、ジャングリアというコンセプトから外れてしまい、ストーリーがズレてしまう恐れがあります。
ジャングリアはそもそも、アトラクションだけを楽しむ施設ではありません。やんばるの森の真っ只中にある「大自然没入型のテーマパーク」です。大自然の中でしか体験できない興奮や癒し、感動を味わえることこそが強みなのです。アトラクションを楽しむのであれば、都市部から近いテーマパークや遊園地に足を運ぶのではないでしょうか。
ジャングリアは、長期滞在させる設計を磨くべきだと考えられます。
かつてハウステンボスは、世界最大級となるイルミネーション「光の王国」を開催し、V字回復の道を辿ることになりました。
ジャングリアが北部での滞在時間を伸ばそうと考えているのであれば、夜を楽しませることが重要になりそう。沖縄北部は街灯が少なく、星空が美しいことで知られています。ナイトツアーが多く実施されるエリアです。
暗いジャングリアから星空がどう見えるかはわからないものの、照明を最低限にして夜の空を楽しむ時間を作るというのも自然に没入する一助になるのではないでしょうか。例えば、ドローンショーというフックをつければ、集客はできるかもしれません。ジャングリアは花火ショーを取り入れていますが、自然の静けさを重視するとドローンの方が相応しいようにも見えます。
文/不破聡




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