NVIDIAは2026年8月4日(米国時間)、ロボタクシーや自動運転車向けの最先端オープンリーズニングモデル「NVIDIA Alpamayo 2 Super」の商用利用開始を発表した。
今回、商用ライセンスの下でHugging Faceにて公開され、ベンチマークではトップクラスの高度なリーズニング能力を実証。判断プロセスの検証可能性やクラウドから車両へのワークフローを実現し、AVの量産と大規模展開を推進していく。
その概要を同社発表ブログをベースにお伝えする。
より安全で透明性の高い自動運転車の導入を支援
ロボタクシーやその他の自動運転車 (AV) にとって、最も困難な課題は日常的な走行シナリオではない。予測や学習が難しい、希少で複雑な状況への対応こそが最大の難関なのだ。
こうしたロングテールな事象に対処するには、単なる物体検出や動作予測以上の能力が求められる。
自動運転車には状況の理解、因果関係のリーズニング、適切な行動の選択、そしてその決定に基づく安全かつ快適な走行経路の生成が不可欠だ。しかも、これらすべてをリアルタイムで行なうと同時に、開発者が検証と確認のうえ、信頼できるプロセスとして実行する必要がある。
現在商用利用が可能になったNVIDIA Alpamayo 2 Superは、Hugging Face上で自動運転向けとして最も広く採用されているオープン リーズニング モデル群、 Alpamayoファミリーの一員である。
単一の基盤モデルでありながら、自動運転に関連する幅広い機能をサポートしている。
NVIDIA Cosmos 3 Super Reasonerをベースに構築され、強化学習による事後学習が施されたこのモデルは、オープンな商用ライセンスの提供と、自動運転における高度なマルチタスク能力という2つの側面から、自動運転エコシステムを大きく前進させる。
Alpamayo 2 Superは、自動運転向けに拡大を続けるNVIDIAのオープンモデル、データセット、ツールのコレクションの一つ。これらは、アクセスの拡大、競争の促進、開発者による制御性の向上、そしてより安全で透明性の高い自動運転車の導入を支援するものだ。

https://www.youtube.com/watch?v=xySgVPLYnsc
派生モデルの作成、商用目的の再配布を許可
Alpamayo 2 Superは、Linux FoundationがオープンAIモデルの配布用に策定したパーミッシブ ライセンス OpenMDW 1.1の下、Hugging Faceで公開されている。
このライセンスは、ファインチューニング、派生モデルの作成、および商用目的の再配布を許可しており、自動運転車開発者、自動車メーカー、トラック メーカー、サプライヤーは、自社のデータ、運転ポリシー、展開戦略に合わせて Alpamayoを適応させることができる。
このようなオープン性により、自動運転の研究者や企業は、自社のデータやインフラに対する制御を維持しつつ、専門的なモデルや蓄積されたノウハウを通じて生み出された価値を自らのものにすることが可能だ。独自の車両フリートを運用し、安全性を確保するワークフローにおいて、こうした制御の確保は不可欠と言える。
Alpamayoの初期リリースは、当初、研究開発向けに提供されていた。現在ではOpenMDW ライセンスがAlpamayoモデル ファミリー全体に適用されており、開発者は追加の許諾を得ることなく、どのモデルでも商用展開できるようになった。
これにより、モデルの適応から実際の展開に至るまでの直接的な道筋が確立される。
■既存の高度なリーズニング能力を基盤として活用できる
モデルの重みが公開されていることは、この道筋を経済的に実現可能なものにする。チームは、基礎的な能力をゼロから再学習させたり、タスクごとに高額なフロンティアモデルの利用料を支払ったりすることなく、既存の高度なリーズニング能力を基盤として活用できる。
その結果、適切なコストで、適切なタスクに最適なモデルを適用することが可能になる。
Alpamayo 2 Superは、クラウドベースの開発ワークフローにおいてフロンティアスケールのリーズニング能力を実現する。
これにより、開発者は高品質なリーズニング トレース、合成学習データ、およびモデル蒸留用の教師データを生成できるようになる。Alpamayoモデル ファミリーの中で、Alpamayo 2 Superはマルチモーダルな自動運転開発において最高のリーズニングおよび運転性能を発揮する一方、Alpamayo 1.5とAlpamayo 1 は、クラウドベースの開発やモデル蒸留において、よりコスト効率の高い選択肢を提供する。
こうして生成された蒸留モデルは、量産車両での効率的なリアルタイム推論向けに最適化することが可能だ。Alpamayoモデル ファミリーは、フロンティアスケールのリーズニング能力と、商用自動運転車フリート全体へのスケーラブルな展開を組み合わせたクラウド ツー カー (クラウドから車両へ)のワークフローを実現する。
自動運転プログラムにとって、これはクラウドでのフロンティアスケールのリーズニングと、車両での効率的かつ特化されたモデルの活用を意味している。
つまり、安全な自動運転技術を商用フリートへと拡大していくための、より持続可能なアプローチと言える。
フロンティア スケールにおけるベンチマーク トップクラスのリーズニング能力
Alpamayo 2 Superは、自動運転のリーズニング能力を評価するベンチマークであるLingoQAにおいて、評価対象となった約40のモデルの中で1位を獲得した。NVIDIAによるLingo Judge指標を用いたテストでは、Qwen2.5 VL 72Bを17.0 ポイント、Gemini 2.5 Proを15.1 ポイント、GPT-4oを23.2ポイント上回り、運転に特化したシナリオにおいて最先端のリーズニング能力を実証した。
また、Alpamayo 2 SuperはNVIDIAが評価したすべての自動運転ベンチマークで1位を獲得しており、幅広い自動運転機能において卓越した性能を有していることが示されている。
Alpamayo 2 Superは、100 億パラメータの NVIDIA Alpamayo 1.5および Alpamayo 1モデルと比較して、3倍の規模のパラメータ数を誇っている。この増強されたキャパシティにより、モデルは限られた事例からでもリーズニングを適切に一般化できるようになる。
これは、従来のシステムがしばしば苦戦するような、稀に発生するマルチエージェント間の相互作用において極めて重要な能力の一つと言える。
このモデルは、車両の前後左右の映像を統合し、全周囲カメラの映像全体に基づいてリーズニングを行なう。このような 360 度の状況把握能力により、車線変更、合流、信号機のない交差点での右左折、複雑な交差点など、リスクが発生しやすい場面において、より高度な状況理解が可能になる。

https://www.youtube.com/watch?v=VeYZ-MrJv3A
ロボタクシーおよび自動運転向けマルチタスク基盤モデル
Alpamayo 2 Super は、各運転状況において、密接に連携した5種類の出力を生成する。
・車両の計画経路を示す軌道
・意思決定の根拠を説明する因果関係の連鎖 (CoC: Chain of Causation) トレース
・モデルの意図を表すメタアクション (例:譲る、車線変更、停止など)
・学習および検証データ用の CoC アノテーションを生成する、リーズニングに基づく自動ラベル
・モデルの回答をカメラ画像の特定の領域と結びつける、2D ビジュアル グラウンディング (視覚的根拠付け) を伴う VQA (視覚的質問応答) の回答
これらの出力を組み合わせることで、モデルの意思決定プロセスを把握できる。開発者は、モデルが観測した内容と選択したアクションを関連付けることができ、意思決定の理解、検証、および妥当性確認が容易になる。
CoC トレースは、NVIDIA Halos の安全性検証ワークフローと統合され、ISO/PAS 8800 要件に準拠したAIの安全性をサポートすることで、自動運転車の安全工学におけるより強固な基盤を提供する。
また、Alpamayo 2 Superは自動ラベラーとして展開し、独自のフリート データに対してCoCラベルの生成や、2Dグラウンディングを伴うVQAを行うことも可能だ。
リーズニングの内容をカメラ画像の特定領域と結びつけることで、生の運転映像をより情報量の多い学習データへと変換して、アノテーションのサイクルを数か月単位から数日単位へと短縮できる。
計画や自動ラベリングに加え、Alpamayo 2 Superはシーン理解、モデルの評価、検証、および知識蒸留もサポートする。
こうしたマルチタスク機能により、開発者は単一の基盤モデルを開発スタックのより広範な領域で活用できるようになり、ツールの簡素化と開発サイクルの迅速化が実現する。
■リーズニング機能を備えた自動運転車のためのオープンなエコシステム
Alpamayo 2 Super は、自動運転車開発向けのオープン モデル、フレームワーク、データセットからなる包括的な製品群の一部だ。
この製品群には、以下のツールも含まれている。
・クローズドループ シミュレーションを提供するNVIDIA AlpaSim
・高スループットな強化学習を可能にするNVIDIA AlpaGym
・学習およびテスト用データを提供するNVIDIA Physical AI Open Datasets
・モデルの開発、学習、検証を加速させるためのオープンな学習レシピおよび自動ラベリング パイプライン
Alpamayo は Hugging Face でのダウンロード数がすでに50万回を超えており、同プラットフォームにおける自動運転向けオープン リーズニング モデル群として、最も広く採用されているモデルとしての地位を確固たるものにしている。
関連情報
https://blogs.nvidia.com/blog/alpamayo-2-super-open-model-now-available/
構成/清水眞希
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