モナキ、パンチくん、ボンドロ…2026年上半期のヒット商品&トレンドを総力取材!SNSで話題の『みぃちゃんと山田さん』やマンジャロも独自視点で切り込む大特集!第10回は、ユカイ工学の〝チラ見〟してくるチャームロボット「mirumi」をピックアップ。海外セレブやファッション業界を巻き込み、空前のブームが巻き起こるワケに迫る!
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バッグチャームなる小型でモフモフのぬいぐるみが、音のする方をチラ見する。実はこれ、ぬいぐるみではなく、ユカイ工学が開発したチラ見するチャームロボット『mirumi(みるみ)』。気まぐれに動いたり、撫でるとスリスリしたりもする。
『mirumi』は2025年1月にアメリカで開催された世界最大級のテクノロジー見本市『CES(Consumer Electronics Show)』でお披露目されるや、各国のメディアをはじめ来場者が殺到し会場を沸かせた。2026年2月には海外向けにクラウドファンディングを実施し、同社史上最高額となる7400万円(目標金額の9685%)を達成した。

クラウドファンディング期間中は、世界的セレブもInstagramで反応したほど。パリス・ヒルトンが「欲しい」と投稿したほか、ジェシカ・アルバも「どこで買えるの?」とDMを送ってきた。
日本では2026年4月に発売。同社公式オンラインストアのほか、全国14か所の蔦屋家電・蔦屋書店で販売されている(8月7日に再販開始)。初回生産ロットが4日間で完売となった。海外でもすでに香港、タイ、イギリス、ドイツで販売開始。海外では、香港の『Lane Crawford』、イギリスの『Harrods』、ドイツの『KaDeWe』と高級百貨店で取り扱われている。
現時点での販売実績は、国内・海外合わせて3万匹が出荷されている。近々アメリカでの販売も予定されていることから、販路拡大に伴いより身近な存在になることが期待されている。
『mirumi』はなぜ、世界で支持を集めている? ユカイ工学で『mirumi』のPRを担当する金川唯さんに話を伺い、ヒットの理由を明らかにしてみた。

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海外でも理解され始めた日本のカワイイ文化
「初年度10万匹という高い目標を立てているのですが、想定以上に売れており、このまま推移すれば目標に近づける見通しです」
現状の売れ行きと今後の見通しをこのように語る金川さん。同社が開発した商品はこれまで、クラウドファンディングのチャレンジを含め先に日本で展開してから海外展開を図ってきたが、『mirumi』はCESでの反響の高さから先に海外展開を図ることにし、満を持して日本で販売することにした。

「数年前から風向きが少し変わり、海外でもカワイらしいものが大人にも受け入れられるようになってきました。日本は大人でもカワイイものに格別の愛情を注ぎますが、海外ではこれまで、カワイらしいものやフワフワしたものは子どもが持つものという捉え方でした。しかし、日本の文化に触れる機会が増えてきたことなどから、大人がカワイらしいものを身につけて個性を表現する傾向が見られるようになってきました」
クラウドファンディングで『mirumi』に注目したのはセレブだけではない。イタリアのストリートファッションブランド『GCDS』もその1つで、2026年春夏のミラノコレクションに登場させたほど。特別な衣装をまとった『mirumi』をモデルが持ったバッグに抱きつかせ、一緒にランウェイに現れた。
「GCDSのCEO、ジュリアーノ・カルツァ氏自ら当社にコンタクトしてきました。まだきちんとリリースしていない段階でいち早くファッションショーに出演することになるとは、夢にも思いませんでした」
ファッションブランドからの引き合いは多く、今後もコラボしたい考え。どのブランドと組むかについてはチーム内で検討を重ねているという。
周囲に幸せを伝播する“シェアリングハピネス”の実現
『mirumi』のヒット要因として金川さんがまず挙げたのは、「インパクトある見た目」。チャームが流行していたことからタイミングよく時流に乗れた側面もあった。
「見た目のカワイらしさと動くことの珍しさを掛け合わせることができたことから、誰も持っていないものをいち早く手に入れたいという欲求をくすぐることができたと思っています」

とくにアジア圏では、チャームを付け歩くのが定着していることから、音がする方向に動くことの珍しさは目立つ。そのため、バッグに付けて外出していると意図せず会話が生まれることもあるそうだ。音がする方向に振り向くシーンを見ると驚かれる、これがきっかけになって知らない人とのコミュニケーションが生まれる。
「チーム内では〝シェアリングハピネス〟と呼んでいますが、自分がカワイイと思っているものが周囲に伝わり幸せをお裾分けしているような状態が自然につくられているような気がしています。犬を散歩させている時や赤ちゃんを連れている時に知らない人と自然にコミュニケーションが始まるのと似ています」
購入したユーザーの評価が高いところもカワイさだという。また、実物に触れることができるところが、蔦屋家電と蔦屋書店に限られていることもあり、「やっと触れた」と反応する人も多い。
このほか、ユーザーからの反応で多いのが、意外とゆっくり動くことについて。「生きているみたい」と言われることもあるほどだ。
金川さんによれば、『mirumi』の動くスピードは意図的にゆっくりにした。
「後頭部にタッチセンサーがあるのですが、撫でたり触ったりすると少し首をかしげ気だるそうに振り向くように動きます。早く動くといかにもロボットや機械というイメージが強くなるからです」
バッグを持っている時に絶妙なタイミングでユーザーのことを上目遣いでチラ見をするところも、生きているように見えるポイントだ。「見られることは恥ずかしいけどカワイイから許す」といったように、ユーザーにしかわからないカワイらしさがある点を評する声も多い。

影響が大きかったクラウドファンディングの成功
『mirumi』はこの7月から、POP-UP SHOPツアーを東京、ロンドン、ベルリンで開催している。ロンドンでは会場となった『Harrods』で、準備していた分が5日間で完売したほど。地元民のみならず海外からの観光客も訪れて盛況だという。SNSで知り、わざわざトルコのイスタンブールから『Harrods』まで買い求めに来た人もいたほどだ。ベルリンもロンドン同様盛況で、会場の『KaDeWe』では売上が徐々に伸びているという。
『Harrods』『KaDeWe』のような老舗の高級百貨店で商品を取り扱ってもらうのは簡単ではないが、取り扱いが実現したのはクラウドファンディングの力が大きかった。
「世界最大規模の『Kickstarter』でクラウドファンディングを実施したのですが、この時の反響が大きかったことから、HarrodsやKaDeWeの担当者に『mirumi』の話題が伝わり取り扱いが決まったと思われます」

同社は『mirumi』をファッションテックアイテムとして位置づけている。アパレルでも最新テクノロジーの要素が取り込まれつつあるが、ファッションとテクノロジーの橋渡しを担うものとしてユーザーとともに育てていきたいという。
「今日のファッションに『mirumi』を追加するだけでファッションとテクノロジーの融合が実現するだけではなく、一緒に外出することでユーザーが感じている幸せを周囲の人たちにも届けることができるかもしれません。『mirumi』は、まだ多くの皆様に体験いただけていませんので、ぜひ一度体験いただければと思っています」
取材・文/大沢裕司
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