「RAV4」はトヨタが1994年に発売したクロスオーバーSUV。初代は5ナンバーのコンパクトなSUVで、国内だけでなく、輸出モデルとして人気を得た。その後、2代目、3代目、4代目と主に輸出先の北米からの要望で、車体は大きくなり、4代目は「ハリアー」とプラットフォームを共有したことで、日本国内の販売が見送られたこともあった。
どこへでも行けそう、何でもできそうなミドルサイズSUV
最新モデルは2025年12月に登場した6代目。「どこへでも行けそう、何でもできそう」という価値観を体現したクロスオーバーSUVとして開発された。ボディサイズは、全長4.6~4.65m、全幅1.85~1.88m、全高1.60~1.68mという幅の広いミドルサイズだ。
特徴は、パワーユニットにある。プラグインハイブリッドとハイブリッドの2種類が用意されている。両車はハイブリッド方式の違いだけではなく、電池もリチウムイオンとニッケル水素をそれぞれ搭載。車両本体価格もPHEVは600~630万円、HEVは450~490万円と差がある。リチウムイオン電池を搭載するのはプラグインハイブリッドの「RAV4」。こちらはハイブリッドの「RAV4」よりも約2か月遅れの2026年2月に発売された。PHEVは「Z」と「GR SPORT」の2グレード。「RAV4」でGRバージョンがあるのは、PHEVの「RAV4」だけだ。
PHEVの特徴は外部充電ができること。日常の走行は電池+モーターでこなし、電池の充電量が減ったり、急加速するようなときは、エンジンが始動し、走りを助ける。新型「RAV4 PHEV」は電池容量の増加と、電力ロスを低減するPCU(パワーコントロールユニット)に採用することで、満充電からのEVでの航続距離は約150km(カタログ値)まで伸びた。
試乗は、まずこの数値を確かめることからスタートした。EVで走行し、電池を使い切るまで走ってみた。しかし、これが、意外と大仕事。試乗車を受け取ったときは、充電率98%だった。これを使いはじめ、都内や近郊の道を走る。ふだん使いを意識したので、高速道路でのロングドライブは行わず、せいぜい首都高速を利用するだけにして、100km以上走った。電池残量が38%のとき、実走行距離は67kmだった。この分で走ると100km前後は電池で走ることができそうだった。実際は98%減までになるのに109kmを走行しなければならなかった。
日常生活で100km以上走ることは、あまりない。なので、この「RAV4 GR PHEV」に乗っていると、日常はまったくEVと同じに乗ることができた。ある日は残り電池残量31%まで走って、自宅に戻った。そこで充電(3kW)をすると、100%まで5時間40分と表示された。これなら一晩充電すれば十分に満充電になる。自宅での充電による料金は明らかではないが、一般的に1kWhの電気代は31円(メーカー調べ)が目安といわれている。
「RAV4 GR」の総電力容量は22.7kWh(推定)なので、残量0%から100%まで充電しても700円ちょっとだ。残り39%からだと300円に届かない計算になる。これなら日常にGRを使ってもガソリン車よりも経済的だし、ゼロエミッションだ。さらに給電機能も備えているので、100Vの室内コンセントから1500wまでの電気を使うことができるし、「HV給電モード」を採用すれば、満充電、満ガソリンの状態だと、消費電力400Wで供給した場合は約6.5日、「給電時間優先モード」を使用すると7日間の電力が供給できるという(トヨタ調べ)。
「GR PHEV」の電気性能が多くなってしまったが、GRが手がけた「RAV4」の走りもレポートしよう。足回りは、「GRパフォーマンスダンパー」と補強材(ブレース)を採用することで、操安性を高めている。外観も「Z」とは異なる、フロント部はグリルやリップスポイラーを風洞実験からつくり出し、低・中速域からダウンフォースを発生させる形状としている。リアのスポイラーウイングとサイドスポイラーもGR専用だ。
さらに電動パワーステアリングも専用チューンし、ドライブモードの「ノーマル」「スポーツ」モードでの手応感を的確にしている。実際にDレンジ、ノーマルモードでスタートしたが、重めで直進性の強いハンドリング、コーナーでは戻しは強いが、ロールはしなやか。乗り心地は硬めだが、目地の乗りこえやゼブラ舗装での上下動は、カドがなくしなやかという、これまでのオフロード系SUVでは体験できないような走りを楽しませてくれた。ドライビングモードを「スポーツ」に切り換えると、重さや戻しや乗り心地は手ごたえ感を増し、オフロードラリーでも通用するような走りを体験させてくれる。
直4、2.5Lガソリンエンジン+22.7kWhのモーターと、パドル操作で6段切り換えができる変速機は、その気になればシステム最高出力329psを生かした豪快な走りも楽しめる。平日は家族の足や通勤の足として、経済的でゼロエミッションのEVファミリーカー、休日や趣味の時間には、オーバー300psのスポーツ走行を楽しむ。「RAV4 GR SPORT」はファミリー&ホビーに使える理想のSUVの1台と言えそうだ。
■関連情報
https://toyota.jp/rav4/grsport/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博




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