モナキ、パンチくん、ボンドロ…2026年上半期のヒット商品&トレンドを総力取材!SNSで話題の『みぃちゃんと山田さん』やマンジャロも独自視点で切り込む大特集!第9回は、世界的ヒットを記録したカプコンの新規IP『プラグマタ』にピックアップ!ヒットのカギを握る一人の少女・ディアナはどのようにして生まれたのか?開発秘話に迫る!
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カプコンが2026年4月に発売したSFアクションアドベンチャーゲーム『プラグマタ』。完全新規IPの本作は、発売開始から16日間で全世界販売本数が200万本を突破した。2020年6月の制作発表から2度の発売延期を経て誕生した本作を待ち望んでいた人は多かったことだろう。

ストーリーは、連絡が途絶えた月面施設の調査のため地球から派遣されたシステム監査員のヒュー・ウィリアムズと、施設に取り残されたアンドロイドの少女ディアナの2人が施設を脱出し地球への帰還を目指すというもの。途中で襲いかかるボット(作業・警備用ロボット)たちを倒す時は、ディアナのハッキングで装甲を強制解除し、ヒューが銃撃を加えていく。友人のようであり、親子のようでもある2人が互いに助け合う〝バディ〟の物語を、パズルとアクションの融合という独自のゲームシステムで描いた。
パズルとアクションの融合は、本作をユニークたらしめるポイント。ディアナがハッキングしてボットの装甲を強制解除するシークエンスは、パズルを解くことで表現した。
本作はなぜヒットしたのか?プロデューサーの川田将央さん、大山直人さんに話を伺い、その理由を探ってみた。
AIに立ち向かう相棒キャラに与えられたハッキングという役割
現状の販売実績をどのように受け止めているのか?大山さんは「予想以上に多くの方々に手に取っていただき、ありがたい反響をいただいております」、川田さんは「ゲームの新規作は発売から数週間で販売本数が200万本突破を達成することが少なく、私も経験したことがありません。大変貴重な体験ができたと思っています」と明かす。

これまで何本ものヒット作を送り出してきたカプコンでも、短期間でこれほど売れる新規作品は珍しい。ヒットの理由としてまず川田さんが挙げたのが、少女ディアナの存在であった。プロモーションで積極的に活用し、ディアナが登場するだけで『プラグマタ』だと認識できる空気感をつくるようにした。
しかし、ディアナによって本作にいいイメージを持つことができても、ゲームである以上は面白くなければ売れない。

ゲームファンがプレーしたいと思える『プラグマタ』ならではの新規要素として盛り込んだのがアクションとハッキングの融合であった。「ハッキングしながらゲームを進めていくという『プラグマタ』独特のゲームシステムを導入し、つくり込んだところがユーザーの皆さんに支持されたと考えております」と川田さんは話す。
アクションにハッキングをプラスするアイデアは、ゲームの舞台である月面で普通のアクションやシューティングをすることの他に何かプラスしたいという思いを起点に検討されて生まれた。
「感情移入しやすい人間のキャラクターがただ単にシューティングを行うだけではなく、そこにもう一つ別の役割を担う相棒的なキャラクターがいたら面白くなると考え、さまざまなアイデアの中からアンドロイドの少女が選ばれました。近未来の月面が舞台なことから敵にはAIを据えることにしたので、相棒キャラがサポートできることとしてハッキングを採用しました」(大山さん)
検討しなければならなかったのは、ハッキングをどのような表現でゲームプレーに落とし込むか。大山さんは「試行錯誤を繰り返しました」と振り返るが、ゲームシステムと組み合わせて一番面白かったのが、現在のようにパズルを解くことで表現することだった。
ディアナのあざとさを取り締まった「ディアナ警察」

大山さんが考える『プラグマタ』のヒット理由は、プレーヤーがディアナに愛着を感じてもらえたところ。「本作のことをあまり知らない方でも、ディアナというキャラクターをきっかけに興味を持っていただけたと感じています。ディアナをきっかけにして『プラグマタ』を知り、無料配信している体験版をプレーし、面白いと感じてもらえた〝評判〟がクチコミで拡散されることで、多くの人の『買ってみよう』にまで繋がったのではないか、と考えています」と話す。
ディアナは愛らしい少女だが、デザインは初期のトレーラーの頃から現在に至るまでほとんど変わっていない。しかし、性格などに関しては当初、チーム内に共通したディアナ像がなかったことから、時間をかけて統一したビジョンをつくってからキャラクターをつくり込んでいった。

したがって、ディアナのキャラクターは初期の頃と現在では若干異なる。2020年に公開されたトレーラー(予告編)では現在よりもクールで無口な印象だったが、クールすぎると相棒キャラとしての印象が薄い。逆に喋りすぎても、鬱陶しく感じられてしまう。両者のどちらかに偏ることなくうまくバランスが取れたキャラクターを目指した。
キャラクターのつくり込みで活躍したのが、女性スタッフが中心になって結成された「ディアナ警察」。あざとさを感じさせたりぶりっ子に見えたりすることなく、ナチュラルで自然体な子どものカワイさのある少女にするため、ディアナを細かくチェックした。あざとさなどが見られたら取り締まり(=指摘)を行ない、修正を加えていった。
「男性目線だと、あざとさを許してしまいそうなところもあるので、女性目線からシビアに判定してもらいました」(大山さん)
多くのユーザーがストーリーに共感


体験版のリリースが早かったのも、『プラグマタ』の特徴だ。体験版は一般的には、早くても発売の1か月ほど前に配信されるケースが多いが、本作に関しては発売4か月ほど前にPC版から先行で配信を開始。これまでになかったゲームシステムだけに、説明だけではわかりづらく、遊んでみないと面白さが伝わりにくい面があったことから、早く体験版を配信することにした。発売前にプレーの面白さがクチコミで拡散している状況をつくること、プレーした反応を確かめ場合によっては手直しすることも考えていたことも、体験版を早くリリースした理由にあった。
「正式にプロモーションが始まった当初、アクションとパズルの組み合わせは面白いゲームにならないだろうという意見が聞かれました。映像だけでゲームの面白さを伝えるのが難しく実際にプレーしないと面白さが理解されないことから、早い段階から体験版をリリースすることを決めていました」(川田さん)
ゲーム性やキャラクターのほかにプレーしたユーザーが高く評価した点がストーリーであった。「エンディングで泣きました」といった声が多かったという。
「『もっとポジティブなエンディングの方が良かったのではないか?』という声も多いかもしれないと懸念していたのですが、私が思っていた以上にプレーしてくれたユーザーさんが理解してくださり、ストーリーにも愛着を持っていただけたと思っています」(川田さん)
拠点となるシェルターで見られるディアナのさまざまなリアクションも、ユーザーからの評価が高い。絵を描いてヒューにあげるシーンについて「泣ける」と評する声などが多い。このシーンに限らず、ディアナのことをつい親目線で見てしまい、わが子のような感情を抱いてしまうユーザーは多い。

ユーザーは当初想定していた30代や40代だけではなく、20代など若い層も獲得。男性人気の高いアクションゲームでありながら、想定より女性ユーザーも多いそうだ。
ディアナをフィーチャーしたショート動画を多数制作したり、早くからゲーム公式Xを開設したりするなど、SNSを活用した各種施策をプロモーションで展開してきたことが、若い世代や女性への認知拡大に一役買ったと考えられている。
「PCをはじめ各種ゲーム機で利用できる無料の体験版を配信していますので、少しでも興味を持たれた方は体験版をプレーしていただければ本作の魅力を感じていただけると思います」と大山さん。
『プラグマタ』はプレーやストーリーを楽しめるのはもちろんのこと、ディアナを愛でることもできる。いろんな楽しみ方ができるといってもいい。
公式サイト
https://www.capcom-games.com/pragmata/ja-jp
取材・文/大沢裕司
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