私たちが日常的に利用している回転寿司チェーン・くら寿司。その全国・世界の店舗で働くスタッフたちが、技術を競い合う大会があることをご存じだろうか。
スピード、技術、そして美しさ──。その道を極めた者たちが世界の頂点を目指す、白熱の戦いをレポートする。
『KURA-No.1 GRAND PRIX』とは?
2026年月現在、くら寿司は世界708店舗(日本551/米国94/台湾63)を展開し、約6万人ものスタッフが働いています。
『KURA-No.1 GRAND PRIX』(以下、くらワングランプリ)は、世界中のくら寿司店舗スタッフがチームを組み、互いに技術を磨きながらモチベーション向上と品質強化を図る社内コンテスト。店舗で行うサービスを競技化し、「スピード」「正確性」「見た目の美しさ」を総合的に評価する大会です。
第5回目を迎えた2026年は、日本・米国・台湾の店舗に加え、本部やセントラルキッチンから選抜された全12チームが出場。開幕直後から会場は熱気に包まれ、世界大会ならではの緊張感が漂っていました。
くらワングランプリの5つの部門
会場となった会議室には、審査員・選手・サポートスタッフなど約150名が集結。各チームは5名で構成され、「にぎり製造」「ぐんかん製造」「ネタ切り」「デザート」「総合」の5部門に1名ずつ出場し、合計得点で勝敗が決まります。12チームのうち、決勝へ進めるのはわずか3チームです。
部屋の中心に4台の作業台が置かれ、選手たちは約1分間隔で競技をスタートしていきます。それぞれどんな競技が行われるのか、5つの部門をご紹介します。
1:にぎり製造部門
にぎり寿司の技術を競う部門。予選では5種10皿(合計20貫)、決勝では3種15皿(合計30貫)を握ります。
加点ポイントはスピード・技術・仕上がりの美しさなど。減点ポイントは「終了ボタンを押した後に商品を修正する」「ネタを冷蔵庫に戻し忘れる」など、実務に即した評価が行われます。
一番始めにスタートする部門ということもあり、予選では手が震えていたり終了後に思わず頭を抱えてしまったりと、緊張をしている選手も多かった模様。
しかし、種類の多いネタを扱いながらも後片付けまで丁寧に行う姿が目立ち、くら寿司スタッフの日頃の業務のレベルの高さがうかがえました。
2:ぐんかん製造部門
ぐんかん巻きの技術を競う部門。予選では3種8皿(合計16貫)、決勝では3種15皿(合計30貫)を作ります。
評価ポイントはにぎり製造部門と似ていますが、イクラやネギトロといったこぼれやすいネタを扱うため、より繊細な作業が求められます。
当日ネタ発表で「いなり寿司」が登場した瞬間に、会場中がどよめいたのが印象的でした。出場者にうかがったところ、いなり寿司は細かい作業が必要なうえ、これまで過去大会では出題されていなかったネタなのだそう。
それでも選手たちは手際よく揚げを開き、酢飯を詰め、コロンと可愛らしいいなり寿司を完成させていました。
3:ネタ切り部門
北海道産サーモンを寿司ネタに適した形へ切り分ける技術を競う部門。予選は15枚、決勝は30枚を切り分けます。
評価は「重さの量り方」「端材の処理」「包丁の置き方」など、マニュアル通りの作業ができているかどうかがポイントとなります。ただし、セントラルキッチンのスタッフに関しては公平性を考慮し、通常業務の中で行っているマグロのネタ切りが課題に設定されています。
これまでの部門との大きな違いは、ネタは一度切ってしまうと大幅な修正が効かないという点。緊張の中で、どれだけ普段通りの精度を保てるかが勝負の鍵となります。
そんな中で特に目立っていたのが、セントラルキッチンの選手。実はくら寿司の熟成マグロは、高品質を保つためすべてセントラルキッチンで切り分けているのだそう。
つまりセントラルキッチンで働く彼女らは、マグロのネタ切りのプロフェッショナル。筆を滑らせるような軽やかな動作でマグロを切り分ける姿は、まるで魔法のようでした。
4:デザート部門
指定されたデザート1種を作って技術を競う部門。予選は『抹茶どら焼きパフェ』、決勝は当日発表の新作3種から、くじ引きで1種を作ります。
くら寿司のデザートはどれも華やかでそれを目当てに通いたいほどに魅力的ですが、その分工程も複雑。手早くマニュアル通り正確に作るのは、実はとても難しい作業です。
しかし、選手の皆さんの技術は一級品。材料の重さを計ってバランス良く盛り付け、まるで見本写真のように美味しそうなパフェが完成しました。
決勝では初見のメニューを作るため、他の部門以上の緊張感に包まれます。
選手の皆さんは直前までマニュアルを読み込み、初めてとは思えないほどにスムーズに美しいデザートを完成させていました。
5:総合部門
にぎり・軍艦・デザート・ネタ切りのすべてを1名で行う、トライアスロンのようにハードな部門。技術の総合力はもちろん、長時間の競技を乗り切る集中力も試され、まさに鉄人レースのような内容でした。
軍艦→デザートのタイミングで隣の作業台へ移動するというアグレッシブな設定も印象的で、今回のくらワングランプリの象徴とも言えそうな競技内容でした。
白熱の決勝戦、その結果は…!
予選の結果、決勝へと勝ち進んだのは「城東今福店」「千葉駅前店」「台湾(1)チーム」の3チーム。決勝戦ではメディアの数も増え、空気が張り詰めるほどの緊張感です。
深呼吸をしながら作業台へと向かう選手もいれば、軽いステップで体を温める選手もいたりと、緊張感のほぐし方は様々。ひとたび競技が開始されると、全員が “ゾーン” 入っているかのように集中している様子が見られました。
競技結果は素人である筆者には判別がつかないほどにハイレベルで、スピード・仕上がり・片付けまですべてが完璧。
ストップボタンと同時にガッツポーズを決める選手や、「ナイス!」「完璧!」と声をかけるチームメイトの姿に胸が熱くなりました。
さて、白熱した決勝戦の結果は……
1位:城東今福店
2位:台湾1チーム
3位:千葉駅前店
おめでとうございます!
日本国内のみならず、海外や本社のスタッフまでが技術を競い合った『KURA-No.1 GRAND PRIX 2026』。日々の店舗運営の裏側で、これほどまでに高い技術と情熱が注がれていることを目の当たりにし、くら寿司というブランドを支える “人” の力の大きさを改めて感じさせられました。
競技を通じてスタッフ同士のチームワークも一段と高まり、会場全体が前向きな熱気に包まれていたのが印象的。こうした取り組みがくら寿司の品質を支えているのだと思うと、より一層くら寿司のファンとなった1日でした。
決勝戦のデザート部門では、くじ引きによって提供するメニューが決定される。この日初お披露目となった3種の新作スイーツは、今後店頭に並ぶ可能性もあるそうだ。どうぞお楽しみに!
競技前、デザート部門の選手たちはマニュアルを念入りに読み込み、手順を頭にしっかりと入れていく。競技中に確認することも可能だが、流れを事前にイメージしておくことが大切だ
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.
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