スバルがトヨタと開発しているEV(電気自動車)シリーズの第2弾が「トレイルシーカー」。2026年4月に発売された。第1弾もSUVの「ソルテラ」だったが、「トレイルシーカー」はホイールベース(2850mm)と全幅(1860mm)は同じだが、全長は155mm長く、全高も15mm高いというプロポーションのSUV。室内の広さは、同社のアウトバックに近いビッグサイズのEVだ。
安心してロングドライブができるスバルの電動SUV「トレイルシーカー」
パワーユニットは大容量のリチウムイオン電池を搭載し、総電力量も74.7kWhを得ている。モーターはFFモデルが前輪に1基、4WDは前後輪にそれぞれ1基ずつ配置される。モーターの出力は、227PS、268Nmだが、4WDモデルのシステム出力は381PSと発表されている。グレードはFF車がET-SSの1モーター(539万円)、AWDはET-SS(594万円)と上級グレードのET-HS(638万円)の計3グレードだ。
試乗したのは、最上級のET-HS。横長の6つのシグニチャーランプは「ソルテラ」よりも上級感がある。スバルマークの六連星も発光式だ。ルーフレールやドア下のガーニッシュはアウトドアを意識したデザインだ。1.7mに近い全高があるので、着座位置を高めにしても、乗降性はよい。ルームミラーはデジタルミラーも選べるので、後方視界に死角はない。
スタートボタンをオンにし、センターコンソールの変速ダイヤルをひねり、Dモードに。ドライブモードはノーマルを選ぶ。スタートからの動きは軽快。メカニカルな音振動もなく加速する。車両重量は2トンオーバーの2020kgだが、システムパワー381PSの4輪で力強く加速する。
今回の試乗は、1人乗車だが、大人4人が乗って、リアに荷物を積んでもこの軽快感は薄れないに違いない。0→100km/h加速は5秒台で速い。4輪駆動の安定感は、高速走行になるほど出てくる。ハンドルの操作はやや重め。切りこんで行くとやや軽めになり、戻しも強めになるセッティングだ。サスペンションや電動パワステ、AWD制御にはスバルが培ってきたノウハウが生かされている。
AWDの制御は「Xモード」ボタンを使って制御する。モードはスノー/タートとディープスノー/マッドの2モードにヒルディセント/グリップコントロールが選べる。さらにマルチテレインモニターは、「Xモード」の使用時に、フロア下の路面状況が確認できる機能で、オフロードでの安全走行に重宝するシステムだ。今回の試乗では本格的なオフロード走行はできなかったが、BEV(電池式電気自動車)でのオフロード走行は、停止状態からの発進でのタイムラグがないので、スタートがラクなのが特徴。これはノーマルのガソリン車やディーゼル車では味わえない走りの特徴になる。また、アクセルペダルによる加減速のレベルをパドルレバーで選択できるのも使い勝手がよかった。回生レベルは4段階の設定だが、完全停止はない。
乗り心地は、ノーマルモードでの細かいゴツゴツ感が気になる。上下動は路面の凹凸により、やや大きめの動きなので、タイヤの性格かもしれない。ちなみに試乗車はダンロップの「SPスポーツMAXX060」でサイズは235/60R20というかなりスポーツ志向のタイヤを装着していた。スポーツモードに切り替えると、上下の動きは抑えられたが、目地の乗り越えやマンホールの段差などでの突き上げはやや硬め。とくに後席はいまひとつ落ち着きがなかった。
その後席だが、着座位置は前席に対して高くはないが、足元は狭くはなかった。床面中央部もフラットだが、中央部の着座はキツめだ。天井はガラスルーフが後席頭上まで拡がっており、明るさは確保されているが、日除けにシェードを採用している。試乗中に真夏日があったが、近年の日本の夏の陽射しの強さは半ぱない。走行中にシェード自体が熱を持ち、室内の温度も上昇した。ガラスルーフやサンルーフのシェードは分厚いボードのほうが熱をさえぎる。日本ではガラスルーフの夏は、暑さを覚悟したほうがよさそうだ。
室内はセンターコンソールにスマホ2台が同時に充電できるワイヤレス充電器が便利。インパネ中央の14インチディスプレイは、スマートフォンアプリも使える。最近の流行であるアンビエントライトは、インパネ、インナードアハンドルに用いられ、64色の中から好きなカラーが選べる。
ラゲージスペースは、これまでのスバル車の中ではビッグサイズだった「フォレスター」と比較しても、奥行きは150mmも長く1080mm、左右幅も「トレイルシーカー」のほうが全体に広いし、サブトランクも備えている。「フォレスター」のオーナーが「トレイルシーカー」に乗りかえているという話しも伝わってきている。
後席は4対6で分割可倒する。倒したときのフラットさは「フォレスター」だが、「トレイルシーカー」も、やや斜めになるだけだ。ルーフレールはラダータイプが標準装備なので、活用範囲が拡がる。安全装備では予防安全パッケージ「SUBARU Safety Sense」やハンズオフ機能、駐車、出庫時の運転操作アシストも備わっているので、安心度は高い。
EV走行に関してだが、カタログ上の一充電走行距離は627kmだが、試乗車は100%充電状態で、542kmと表示されていた。充電時間は、自宅の200V3kwで91%から100%まで4時間10分と表示されていた。もちろん急速充電にも対応している。ちなみに100%から91%までの走行距離は46kmだった。単純計算でも500km近くは無充電で走行できることになる。実用性はかなり高いと見た。
実際に今年4月に発売され、5月末までの2か月間で、月販目標250台に対し、約4倍の1902台が販売されている。人気グレードは、試乗したET-HS(AWD)で、全体の62%を占めていた。人気ボディカラーはマグネタイトグレー・メタリックで、26%、次いでブリリアントブロンズ・メタリック、18%となっている。
■関連情報
https://www.subaru.jp/trailseeker/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博
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