中国の自動車メーカー、BYD初の軽自動車規格車、日本市場専用車となるのが、2025年に開催されたJapan Mobility Showでプロトタイプが公開され、話題を呼んだ軽規格の電気自動車RACCO(ラッコ)である。そのRACCOがいよいよ7月28日から国内販売を開始。
シャシー、ボディ、FFのみの駆動、制御システムなどすべて新設計であり、日本市場への導入に向けて一般車両保証&重要部品保証6年、15万km、EV高電圧・駆動部品および駆動用バッテリー&容量保証8年、16万km、ロードアシスタンス6年間・24時間365日(電欠時対応含む)を引っ提げてのデビューである。
これで、日本で使う上でのBYD初の軽電気自動車への不安を払拭したいと考えているわけだ。
BYDラッコを徹底解説!
そしてRACCOはSDV(Software Defined Vehicle=ソフトウェア・ディファインド・ウィークル)ソフトウェアで定義された自動車であり、車両のSCD化によって、スマートフォンのように車載ソフトウェアのアップデートが可能であり、購入後も常にOTAによって最新の機能、使い勝手、利便性を享受できるメリットがあるという。
しかも、RACCOは国産軽自動車にない、軽自動車販売台数ベスト3を占める乗用スーパーハイトワゴンのジャンルの軽自動車であることも大きな特徴だ(唯一、軽商用車のホンダN-VAN e:はあるが)。
ボディサイズはもちろん日本の軽自動車企画に準じた全長3395×全幅1475mm、そして全高1800mm。ホイールベース2520mm(N-BOX=全長3395×全幅1475×全高1815mm。ホイールベース2520mm)となる。車重はさすがにスーパーハイトワゴン×電気自動車用バッテリーの床下積載で1160~1230kgと重量級である(N BOXのターボモデルは940~950kg)。
電動パワーユニットは日本の軽規格に合わせ、最高出力47kW(64ps)、最大トルク160Nm(16.3kg-m)を発揮する。ちなみに、ホンダN-ONE e:は1030kgの車重に対して64ps、16.5kg-mとなる。また、電費を示す交流電力量消費率は124Wh/km(300シリーズ)。N-ONE e:は105Wh/kmだ(WLTCモード)。※数字が小さいほど少ない電力量で走れる「電費がいい車」である。
エクステリアデザインも国産軽スーパーハイトワゴンそのものだ。ただし、キックアップしたCピラーや横一直線のリヤコンビランプデザイン、抑揚あるサイドパネルデザインにRACCOらしさがある。サイズは日本のスーパーハイトワゴンと変わらないのに、不思議とより立派に、大きく見えたのも本当だ。

クラス最大級の2.96m²もの広さがあるというインテリアの仕立てもなかなかだ。すっきりとしたインパネ中央には10.1インチのタッチスクリーンが配され、先進感を感じさせてくれるとともに、車内の収納は何と30か所にも及び、保温機能付きカップホルダーや後席背後の傘立てなどが目新しい。とくに、国産軽自動車にはなかなかないステアリングのチルト&テレスコピック機能によって適切なドライビングポジションを決めやすいのも嬉しいポイントだ。そのほかにも、国産軽自動車を徹底的に研究しつくしたと思える機能や収納がちりばめられている。後席を跳ね上げられる機能はN BOXでおなじみのチップアップ機能=トールモードそのものだが、観葉植物などを積み込むことが可能になっている。※画像は300Premium


ちょっと気になったのは、液晶メーター自体、その表示が小さめで、直感的に読み取りにくいのと、ハザードランプのスイッチの存在が分かりにくいこと、そしてインフォテイメントシステムにナビ機能がないことだろうか。ナビゲ―ションについてはスマートフォンのナビと連動(Apple CarPlayおよびAndroid Auto)させて使うのが基本とのことだ。
さて、BYDのお家芸でもあるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いたかんじんの一充電走行距離だが、これについては2種類ある。エントリーグレードの「200」はバッテリー容量22.4kWhで一充電走行距離210km。中間グレードの「300Plus」(ステアリングヒーター、シートヒーターなどを装備)と最上級グレードの「300Premium」(300Plusの装備に加え、フロント6Wayパワーシート、アラウンドビューモニター、ホットカップホルダー、足元投影ガイド付きハンズフリースライドドア、合成皮革シートを完備)は35.84Kwhのバッテリー容量によって一充電走行距離320kmを誇る(いずれもWLTCモード)。なお、充電は最大6kWの普通充電、最大49.7kWの急速充電に対応している(200は3kWの普通充電、35.8kWの急速充電対応)。バッテリー予熱機能の搭載によって冬場(寒冷地在住者)の充電も効率よく行える配慮もあるから安心だ。グレードによって1160~1230kgもの車重がありながら、最大320kmの一充電走行距離はさすがバッテリーメーカーでもあるBYDの面目躍如と言っていいだろう(対応充電規格は一般的なCHAdeMO)。国産軽電気自動車の例を挙げると、より車重の軽い、リヤヒンジ式ドア採用のハイトワゴンタイプの日産サクラが180km、N-ONE e:は295kmとなっている。
また、RACCOはV2H(Vehicle to Home)およびV2L(Vehicle to Load)に対応している。V2Lアダプターを使用することで、車内外で最大1500Wまでの電化製品の使用が可能。アウトドアや車中泊、そして災害時にも役立ってくれるのだ。
そうした室内空間、走行性能、充電性能、航続距離、各種機能、そして安全性能を支えるのがRACCO用に新設計した「X-PACK」と呼ばれる統合型電気自動車技術だという。
安全装備に関してもぬかりなし。BYDの他モデル同様、ADAS(800万画素/4K解像度の高性能カメラ&ミリ波レーダー搭載の先進運転支援システム)に加え、 RACCOには子育て世代には嬉しい幼児置き去り検知、全窓ガラス・アンチピンチ(指の挟み込み防止)機能も装備している。
実は、RACCOにはすでに富士スピードウェイホテルを起点に、山中湖まで足を伸ばした、一般道、山道中心の試乗を終えているのだが、今回の報告はここまで。内外装の仕上がりや一充電走行距離には驚くばかりだが、実際に電気自動車の”重量級”軽スーパーハイトワゴンとして走るとどうなのか。また、国産スーパーハイトワゴンと比べて室内空間のゆとり、後席乗降性、ラゲッジルームの使い勝手、先進運転支援機能はどうなのか・・・などについては、改めて報告したい。
文/青山尚暉
実質200万円以下で手に入るBYDの軽EV「RACCO」が爆売れしそうな理由
日本の自動車販売台数のうち、約3割を占める軽自動車。通勤、通学や買い物、ちょっとしたお出かけに重宝する日本独自の規格だ。 BYD(ビー・ワイ・ディー)はご存じの…




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