ビジネスパーソンの間で身だしなみとしての「ヒゲ脱毛」が定着したことで、近年は鼻毛や耳毛といった細かな部位への関心も高まり始めている。
実は、猛暑が続く夏場にヒゲや顔まわりのムダ毛ケアを怠ることは、単なる見た目の問題だけでなく、深刻な肌トラブルのリスクを孕んでいるという。
そこで今回は、猛暑の時期に見落としがちなムダ毛ケアの必要性から、鼻毛や耳毛にまつわる素朴な疑問について美容医療の専門医に聞いた。
【夏の肌のピンチ】「ムダ毛放置」と「間違った自己処理」の落とし穴
西川礼華氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括。SBCメディカルグループの美容皮膚科分野における治療開発や技術教育、安全管理の最高責任者を務める。エビデンスに基づく誠実な医療を追求し、2023年にはSBC東京医療大学の客員教授に就任。
https://www.s-b-c.net/doctor/introduction/nishikawa-a/
夏場のムダ毛処理を甘く見積もることは、ビジネスパーソンにとって単なる印象論に留まらない。西川医師は、夏の皮膚が置かれた過酷な現実を次のように鋭く指摘する。
「もしヒゲまわりのお手入れを怠ると、毛の根元に汚れや皮脂が肌荒れやニキビ、かゆみなどの原因になることがあります。ですが、毎日のようにカミソリやシェーバーで力任せに剃り落とすのも、実は同じくらい危険なんです。
無理な自己処理を繰り返すと、肌の表面が傷ついてバリア機能が壊れてしまいます。その結果、ひどいカミソリ負けや、毛穴にバイ菌が入って赤く腫れる『毛嚢炎』、毛が皮膚の中に埋もれてしまう『埋没毛』といった、デリケートで厄介なトラブルを自ら引き起こすことも」
解決策のひとつとして注目されているのがヒゲ脱毛だ。では、実際にヒゲ脱毛を行うメリットはどこにあるのだろうか。
「一番のメリットは、毎朝のシェービングの手間を減らし、カミソリによる肌への刺激をなくせる点です。
剃る頻度が少なくなることで、赤みやヒリつき、カミソリ負けが気になる方にとっては、肌管理のひとつとして選択肢になります」
湘南美容クリニックでは2026年6月2日より、新たに「鼻毛・耳毛の医療脱毛プラン」の提供を開始した。このニッチな部位の脱毛には、どのようなメリットがあるのだろうか。
「目立つ毛を整えることで清潔感を保ちやすくなることがメリットです。ただし、毛には本来の役割もあるため、すべてをなくすというより、必要な範囲を医師と相談しながら整えることが大切です」
特別な美容から「日常のケア」へ。池袋にメンズ専門院が開院する背景
さらに2026年8月には、男性ヒゲ脱毛専門「SBC MEN’S FLASH CLINIC 池袋院」の新規開院を予定している。
同グループが男性のニーズに特化した新たな取り組みを加速させている背景には、メンズ脱毛市場における確かな変化がある。西川医師が話す。
「以前は、ヒゲ脱毛といえば『一部の美容意識が高い若者が受ける施術』という印象を持たれがちでした。
しかし最近では、30~40代のビジネスパーソンを中心に、身だしなみマナーや清潔感の維持、習慣的な自己処理にかかる時間の節約を目的に相談される方が急増しています。
また、ヒゲだけでなく鼻毛や耳毛といった細かなパーツへの関心も高まっています。これは見た目をガラリと変えたいというより、まずは『周囲に不快感を与えないよう自然に整えたい』という大人のマナーとしてのニーズが広がっているからです。
男性美容が特別なものではなく、日常的なケアのひとつとして受け入れられつつある印象です」
新たな潮流にのり、夏に向けてムダ毛を整えるのも一案だ。
【プロが教える正しいケア】自己流のお手入れに潜むリスクと本当のメリット
「そもそも鼻毛や耳毛のケアなんて必要なのか」と、今まであまり意識してこなかった人も多いのではないだろうか。
また、毎日のヒゲ剃りによる青ヒゲや肌荒れに悩んでいても、「男の些細な悩みだから」と誰にも相談できずにいた人もいるはずだ。そこで西川医師に素朴な疑問をぶつけてみた。
●質問:鼻毛を抜きすぎるとどうなる?
「結論からいうと、鼻毛を無理に引き抜くのは絶対に避けてください。
鼻毛にはホコリや花粉の侵入を防ぐ『フィルター』の役割があります。そのため、無理に抜くと鼻の中の粘膜を傷つけ、出血や、バイ菌が入って腫れる『毛嚢炎』の原因になってしまいます。毛根を引っ張る行為は、肌へのダメージが非常に大きいのです。
ケアをするメリットは清潔感をキープできる点ですが、ツルツルにする必要はありません。ハサミや専用カッターを使い、『外から見える手前の部分だけを優しくカットする』のがベストな方法です」
●質問:耳毛が長いことにデメリットは?
「耳毛は横顔や会話の最中に意外と目に入りやすいため、清潔感の印象を大きく左右します。さらに、自分では鏡で見えにくいため、気づかないうちに伸びてしまいがちな厄介な部位でもあります。
だからといって、見えにくい状態で無理に抜いたりハサミを使ったりすると、耳の薄い皮膚を傷つけてしまう危険も。
耳の周囲はとてもデリケートですので、怪我のリスクを避けるためにも、気になる場合は医療機関で相談し、ご自身に合ったケア方法を選ぶとよいでしょう」
●質問:鼻毛や耳毛はどうケアするのがベスト?
「鼻毛や耳毛は『抜かずに、外から見える部分だけを短く整える』のが基本です。
先端が丸いハサミや清潔な専用トリマーを使い、粘膜や耳の奥を傷つけないよう注意してください。入浴後など毛が柔らかいタイミングに、明るい場所で行うとスムーズに処理できます。
ただし、頻繁なケアで赤みや痛みが出る方や、自分では見えなくて剃り残しが気になる方は、医療脱毛を検討しましょう。鼻や耳はとてもデリケートな部位ですので、照射できる範囲やリスクについて、まずは事前に医師へ相談してみてください」
●質問:ヒゲは毎日剃ったほうがいい? 肌荒れしないためのポイントは?
「ヒゲは毎日必ず剃る必要はなく、ご自身の毛量やライフスタイルに合わせて整えれば問題ありません。
ただ、毎日のシェービングは肌の表面に大きな負担をかけるため、乾燥や赤み、ヒリつきといった肌荒れの原因になります。
肌を傷つけないポイントは、必ずシェービング剤を使い、毛の流れに沿って優しく剃ること。そして、剃った後はしっかりと保湿することです。
それでも肌荒れを繰り返す方や、毎朝の手間を減らしたい方は、医療脱毛を検討するのもひとつの手。毛量を減らすことで自己処理の回数が激減し、肌トラブルそのものを根本から予防できます」
夏はムダ毛を放置すると肌トラブルなどの懸念がある。肌の健康のためにも、鼻毛・耳毛も含めて正しい方法でケアするのはいかがだろうか。
【参考】
湘南美容クリニック(メンズ)
SBC MEN’S FLASH CLINIC 池袋院
取材・文/石原亜香利
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