折りたたみスマホ市場の先頭を走り続けるサムスンは、8世代目となる新機種を一挙に公開している。これまで縦折りのFlip、横折りのFoldと2モデルでの展開だったが、今年は従来のFoldが「Galaxy Z Fold8 Ultra」へとアップデートされ、空いた無印の座には、ワイド型と呼ばれる新しい形状がラインアップされた。
9月には折りたたみiPhoneが登場するという噂があるため、その対向として同形状のモデルを追加したという見方もできるが、3モデル展開になったことで、これまでの「折りたたみスマホ、どうですか?」という提案から、「どの折りたたみスマホがお好みですか?」という提案ができるようになったのが強み。では、実機を試しながら、それぞれの個性が出ているデザイン、カメラに焦点を当てて比較していく。
3モデル展開の折りたたみGalaxyから最適なモデルを選ぶポイント
新たなGalaxyの折りたたみモデルを比較する上で、あらためて留意しておきたいのが、今回、ソフトウエア面の違いはほとんどないという点だ。
もちろん、画面サイズによってデザインが異なる部分はあるが、機能面で差異はほぼない。縦折りタイプのGalaxy Z Filp8が、サブディスプレイでも全アプリが表示可能になったことも一因だ。
そのため、3機種の違いはハードウエアに依存する部分が大きい。特徴的なのは、本体サイズとディスプレイ、カメラの2つだ。
最大の違いはディスプレイのサイズと比率
3つの折りたたみスマホにおける最大の違いは、メイン、サブを含めたディスプレイのサイズと比率だ。
■新たな比率のGalaxy Z Fold8は一癖も二癖もある
今回の3モデルで最も注目を集めているのが、Galaxy Z Fold8だろう。サブディスプレイは5.5インチで、近年のスマホとしてはかなり小型。縦横比率は16:10になっており、背が低いのに加え、横幅が3モデルの中で最も広い。
サブディスプレイの使い勝手は、慣れるのに少々苦労する。コンパクトでありながら幅はあるため、片手での文字入力はやや苦しい。キーボードを片側に寄せるといった工夫で対応できるが、ここは手の大きさによっても好みが分かれるので、まずは色々な入力方法を試してみてほしい。
16:10の画面比率は、縦動画の再生に適したサイズとされている。確かに欠けが少なく、画面いっぱいに縦動画を表示できる体験は魅力的だ。同様に、インスタグラムやTikTokのようなSNSにおいても、見やすさは抜群だった。
一方で、XのようなテキストベースのSNSの場合、表示できる情報が少なく、スクロール操作を頻繁に求められるのが難点だ。
メインディスプレイは7.6インチで、縦横比率3:4と横に広いディスプレイが広がる。縦方向のディスプレイを開くと、横長のディスプレイが広がる体験はなかなか面白く、特に漫画、小説の表示に適している印象だ。
動画再生時には、後述するGalaxy Z Fold8 Ultraよりもブランクが少なく、画面比率を活かしたデザインで表示できるが、動画の表示サイズ自体はそこまで変わらない。本体が小さい分、Ultraと同程度のサイズで表示できるならいいともいえるが、過度な期待は禁物だろう。また、中途半端な位置にあるインカメラがかなり気になってしまう。
Webサイト、SNSの閲覧は、ただ横に広いだけの表示になってしまうため、縦に持ち替えて見た方が快適だ。
正方形のメインディスプレイではやりにくかったゲームアプリのプレイ体験は、ある程度改善されてはいるものの、やはりより縦に長い板状スマホの操作感には程遠い。ギュッと詰まってしまうレイアウトとインカメラがかなり邪魔をしてしまうため、ゲーム体験目当てという人は注意が必要だろう。
もちろん、メインディスプレイでの文字入力は、基本的に両手を使うことになるため、快適とはいえない。このように、特定のコンテンツを表示する際に真価を発揮する一方で、アプリ次第では不便な部分も散見されるのが、Galaxy Z Fold8の難しさ。コンパクトな筐体で、サブディスプレイでチャットや電話といったコミュニケーションを取り、メインディスプレイはコンテンツビュアーとして活用できる、割り切ったコンセプトを持つ端末になっている。
従来の折りたたみスマホには、「わざわざ畳まなくていい」「開いてやることがない」といった課題があったのも事実だろう。これで全ての課題が解決できているわけではなく、ヒンジ強度や価格といった心配もあるのは事実だが、閉じてやることと開いてやることが明確に分かれたという意味では、これまで折りたたみスマホを使ってこなかった人に対するアプローチとして面白い。
ちなみに、Galaxy Z Fold8は3つのアプリを同時に縦に並べて配置することができる。それぞれの表示領域はかなり狭くなるため、細かな操作が必要なアプリを表示するのには向かないが、カレンダー、マップ、SNS程度であれば十分な印象だ。
■普通のスマホを折りたたんで持ち運べるGalaxy Z Flip8
3モデルの中では唯一、縦に折るタイプの折りたたみスマホであるGalaxy Z Flip8は、開いた際に現れるメインディスプレイが6.9インチ。やや縦長ではあるものの、一般的な板状スマホに近い比率になっており、ほとんどのアプリが快適に表示できる。折り目がないとはいわないまでも、画面が点灯していればほとんど気にならないレベルまで薄くなっており、使い勝手に支障はない。
サブディスプレイは4.1インチで、正方形に近い形となる。本モデルに搭載されるOneUI 9.0より、別のツールを使用せずに、サブディスプレイで全てのアプリを起動できるようになっているが、全てが「快適か」というと、決してそうではない。ただでさえコンパクトなサイズに加え、正方形に近いレイアウトは、アプリ次第では操作がしにくい。
通知をチェックする、アラームをセットするといった簡単な作業がサブディスプレイで行えるのは快適だが、多くのアプリはメインディスプレイを開いて使用することになるだろう。Galaxy Z Flip8の魅力は、「普通のスマホが、折りたたむことで持ち運びやすくなる」ことにあると、改めて感じている。
■2アプリの同時表示が快適な大画面メインディスプレイを備えるGalaxy Z Fold8 Ultra
新たにUltraを冠したGalaxy Z Fold8 Ultraは、サブディスプレイが6.5インチで、板状スマホに近いデザインとなる。こちらは開いたGalaxy Z Flip8よりもさらにスリムなデザインであるため、握り込みやすく、文字入力などがしやすい。縦幅があるため、WebサイトやXのようなSNSの閲覧にも適している。ただし、画面上部に親指を伸ばすのは難しく、時折両手での操作が求められる。
メインディスプレイは8.0インチ。コンパクトタブレットクラスのサイズ感だが、こちらが正方形に近いデザインとなっているため、一般的なタブレットとは使用感がやや異なる。
8インチの表示領域があれば、多くのアプリが大画面でバチっと表示できていいのだが、当然文字入力などはしにくくなる。文字入力はサブディスプレイ、コンテンツの視聴はメインディスプレイといった使い分けに慣れてくると便利だ。
1つのアプリを大画面に表示する際には、コンテンツによって使いにくさが現れてくる。例えば動画を再生する場合は、上下にブランクが生まれてしまうため、大きな画面を活かしきれていない感覚になる。アプリゲームも正方形に対応しているものは少なく、画面が中心にクロップされたり、レイアウトが崩れたりと、何かと不便が生まれるのは事実だ。
一方で、個人的に気に入っている使い方が、アプリを2つ並べて表示するというもの。縦に2つのアプリを並べても、それぞれのアプリは板状スマホと同程度のサイズ、レイアウトで表示できるのが、正方形メインディスプレイの大きな強みだ。動画を再生しながらWebサイトを見る、チャットを返しながらマップを見るといった使い方が特に便利で、スマホではあまり実現しきれていない、マルチタスクの体験を享受できるのが、このデザインの魅力だろう。
■1機種だけフレックスモードに非対応となったGalaxy Z Fold8
3機種の違いとして押さえておきたいのが、唯一、Galaxy Z Fold8のみがフレックスモードに対応していない点だ。
フレックスモードとは、画面を90度前後に立ち上げて使うモードで、スタンドがなくてもディスプレイが立つことで、机に置いた際などに見やすくなるのが魅力。対応アプリでは、上部にコンテンツ、下部にコントロールパネルといった形で、専用のレイアウトに切り替わる。
Galaxy Z Fold8は、ヒンジがかなり硬い設計になっているため、90度近くでディスプレイを維持することが難しい。スタンド要らずの利便性が折りたたみスマホの1つの魅力であるだけに、非対応はかなり痛い。と思っていたが、実際に試すと、意外と許せるなというのが正直なところだ。
というのも、ディスプレイを少しだけ開き、フレックスモードとは逆向きで机に置くことで、サブディスプレイを使いながら、スタンドを使わずに自立させることができるためだ。
フレックスモードと異なり、コントロールパネルの表示はできないため、完全に同じ使い勝手になるというわけではないものの、個人的にはあまり不便さは感じていない。
明確に違いが現れるカメラ性能
ディスプレイサイズと同様に、3機種の違いがはっきりと現れるのがアウトカメラの性能だ。構成としては下記の通りとなる。
・Galaxy Z Flip8:約5000万画素広角+約1200万画素超広角
・Galaxy Z Fold8:約5000万画素広角+約5000万画素超広角
・Galaxy Z Fold8 Ultra:約2億画素広角+約5000万画素超広角+約1000万画素望遠
スペックだけを見ると、本体が大きいほど、カメラの性能もアップしていくことになる。Galaxy Z Flip8の超広角は約1200万画素でいいのか、Galaxy Z Fold8 Ultraは“Ultra”を冠しながら望遠が約1000万画素でいいのかなど、細かく気になる部分はあるが、これは筐体のサイズや厚み、価格といった様々な要素を複合的に見た結果の搭載だろう。
以下がそれぞれの端末で撮影した写真となる。Galaxy Flip8の超広角、Galaxy Z Fold8 Ultraの広角と、解像度の違う部分はあるものの、基本的なコンセプトは共通しており、スマホカメラらしい明るく綺麗な写真が撮影できている。シャッターラグもほぼ感じられず、フォーカスも十分な印象で、扱いやすい優秀なカメラといえるだろう。
ハードウエア的な搭載、非搭載の差は大きく、望遠撮影はやはりGalaxy Z Fold8 Ultraが頭ひとつ抜けている。約1000万画素とはいえ、3倍光学ズームは優秀で、しっかりと描画力がある。デジタルズームは最大30倍で、15倍を超えたあたりからは画質の劣化が激しくなる。
一方、Galaxy Z Flip8、Galaxy Z Fold8は望遠カメラがなく、デジタルズームは最大10倍に留まる。近年のフラッグシップモデルとしてはかなり短めであり、物足りなさを感じるのは事実だが、10倍までズームした撮影でもしっかりと補正が入り、綺麗な写真に仕上がるのには驚いた。撮影できる範囲内では、かなり実用的なカメラになっている。
価格差はあるが選び方は「好み重視」がおすすめ
本体価格は、Galaxy Z Flip8が19万2680円から、Galaxy Z Fold8が26万9880円から、Galaxy Z Fold8 Ultraが29万6780円からとなる。折りたたみというギミックやフラッグシップクラスの高性能に加え、円安や部材高騰といった要素が絡み合っているため、いずれも高価な端末になっているのは事実だ。
ある程度価格差があるため、「つい安いモデルを」と思ってしまいがちだが、今回の3機種は、サイズ、カメラ性能の違いから、使い勝手が大きく異なってくる。同じ“サムスンの折りたたみスマホ”という括りではあるが、コンセプトがそれぞれ全く違うモデルになるため、価格で選ぶのではなく、あくまで「自分が使いたい、使い勝手が良さそうな端末はどれか」を基準とすることを推奨したい。
幸い、いずれのモデルも販路は広く、4キャリアで展開されているのに加え、家電量販店、ECサイトでも取り扱われる。端末購入プログラムや分割支払い、ポイント、キャンペーンなどをうまく活用すれば、実質負担額をある程度抑えることも可能なので、気になる端末があれば、買い方もよく吟味してから購入してもらいたい。
取材・文/佐藤文彦
新たな比率を採用した折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」は本当に使いやすいのか?
2026年8月7日より、サムスンの新しい折りたたみスマホが発売される。例年は横折り、縦折りの2モデル展開だったが、今回から新たに横折りのワイドモデルが登場したの…




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