2026年8月7日より、サムスンの新しい折りたたみスマホが発売される。例年は横折り、縦折りの2モデル展開だったが、今回から新たに横折りのワイドモデルが登場したのが、1つの大きな特徴となる。
名前がややこしく、新たに登場する形状のモデルが「Galaxy Z Fold8」となり、従来のFoldはGalaxy Z Fold8 Ultraとランクアップした。サムスンとしては、新たな形状こそ、折りたたみ第8世代の標準モデルとしているというわけだ。
では、このワイドなディスプレイを搭載するGalaxy Z Fold8は、どういったユーザーをターゲットとしたスマホなのか。1週間ほどだが、実機をお借りできたので、使用感とともに深掘りしていく。
これまでとは異なる思想を持つGalaxy Z Fold8
閉じると縦長、開くと横長という画面比率は、これまでの昨今の折りたたみスマホとは一味違う使い勝手を実現する。以前には、初代Google Pixel Foldが同じ考えで登場していたが、Galaxy Z Fold8は、より振り切ったデザインになっている印象だ。
■16:10のサブディスプレイは最適なサイズ、比率なのか
Galaxy Z Fold8は、閉じた状態で本体サイズが123.9×81.9×9.7、質量201gとなる。サブディスプレイは5.5インチで、16:10と縦幅のある比率が採用された。「縦幅がある」といっても、近年の一般的なスマホと比べれば背は低く、横幅も広い。サイズを見てもわかるように、かなりコンパクトなスマホというイメージだ。
サイズとしては比較的持ちやすく、動画視聴なども、5.5インチあれば許容範囲だろう。もちろん大きくはないが、視認性が極端に悪いということはない。特に縦動画は程よいサイズで視聴できる。
ただし、縦幅があまり長くなく、横幅はそれなりにあるという形状のせいで、SNSやWebページを閲覧するときに表示できる情報量は少ない。コンパクトモデルのGalaxy S26と比べても差は歴然だ。
また、横幅がかなりあるため、デフォルト表示ではキーボードでの文字入力がしにくい。これは慣れの問題もあるだろうが、1週間ほど試している筆者は、いまだに誤入力を頻発している。キーボードのサイズを変えたり、片側に寄せたりといった工夫はできるが、やや気になるポイントだ。
従来の横折りタイプは、閉じても板状スマホに近い形状になっており、むしろスリムなデザインだったため、このような使いにくさは感じなかった。一方、正方形に近く、コンパクトなサブディスプレイを持つ縦折タイプは、通知やウィジェットの表示など、割り切った使い方に振り切ることができる。Galaxy Z Fold8のサブディスプレイは、悪くいえば中途半端なサイズになっているのが気になる。
コンパクトで持ち運びやすく、畳んでも薄さが確保されているという意味では、非常に優れた筐体だと感じる。使い方次第で便利にも不便にもなる塩梅というわけだ。
■動画、漫画の閲覧に適したメインディスプレイ
5.5インチのサブディスプレイを開くと、7.6インチの大画面ディスプレイが広がる。縦横比率は3:4で、コンパクトタブレットを横に持っているようなイメージだ。サイズは123.9×161.4×4.5となり、持ち替えて縦向きに使うこともできるが、ギリギリ片手でホールドできる程度のサイズとなる。
3:4という画面比率は、YouTubeのような動画コンテンツや、漫画などを表示するのに程よい。全画面で表示してもロスが少なく、コメントを表示するといったフォーマットでも、動画の視認性を損なわずに楽しめる。雑誌などは、文字サイズがかなり小さくなってしまうが、見開きで閲覧できるのは強みだ。
ただし、コンテンツビュアーとして最高クラスかというと、決してそうではないと感じる。XのようなテキストメインのSNSは、一度に表示できる情報が非常に少なく、扱いにくい。Webページも、サイトによっては見にくいレイアウトになってしまう。一方で、インスタグラムといった画像や動画をメインとするSNSは、縦持ち、横持ちのどちらでも幅を持って表示できるため見やすい。
Gmailのように、元々フォルダブルスマホのデザインに対応していたアプリは、これまでと同様に左側に受信トレイ、右側にプレビューという形になるが、縦幅があまりないため、情報量という意味では従来のFoldに劣る。2つ、3つと同時にアプリを並べることもでき、種類によっては便利に活用できるが、サイズが物足りないと感じるアプリがあるのも事実だ。このように、3:4の画面比率は、コンテンツをかなり選ぶデザインだと感じる。
個人的には、特に期待していたのが横向きのゲームアプリでの挙動だ。従来のFoldのように、正方形に近いデザインの場合は、画面の中心をクロップして表示するため、操作性が著しく低下する。横長になったことで、Galaxy Z Fold8では改善されるかと楽しみにしていたが、3:4ではまだまだ縦幅が長く、最適な表示とはいえない印象だ。もちろん、ゲームタイトルによってはコントロールしやすいこともあるが、過度な期待は禁物だろう。また、コンテンツによってはインカメラの位置が非常に気になってしまう。
ただ、あくまで噂ではあるが、9月にはiPhoneが同じ比率の折りたたみスマホを発売するとされている。OSが違うため、まとめて対応とはいかないまでも、3:4のレイアウトに合わせたデザインのアプリが、今後増えていく可能性もあるため、あくまで今時点での所感と捉えていただきたい。
■フレックスモード非対応はどれだけ不便か
Galaxy Z Fold8は、フレックスモードと呼ばれる、そのほかのGalaxy折りたたみモデルで対応する機能に非対応。これは折り目を90度前後に曲げることで、ディスプレイが自立し、デスク上などでも表示内容を確認しやすくするモードだ。
Galaxy Z Fold8はヒンジがかなり硬く、90度近くまで広げると、勝手に全開になる。そのため、柔軟に角度を調節することができないのだ。フレックスモードは、折りたたみスマホの使い方を柔軟にする1つの要素である。非対応はなかなか致命的で、使い方の幅を狭めてしまっているのは事実だろう。
ただし、フレックスモードとは逆向き、つまりヒンジを上側にして、本体を山のように立てれば、画面を少し開くことはできる。先にサブディスプレイを点けていれば、90度程度まで開いても、カバーディスプレでの表示が維持されるので、スタンドがなくても画面が見やすくなる。
フレックスモード特有の、下部ディスプレイにコントロールパネルを表示する機能は使えないため、完全に同じUI、操作感になるわけではないが、スタンドなしで本体を自立させたいというニーズには応えられている。また、フレックスモードよりも本体を置くスペースが求められるが、これも誤差であるため、個人的にはあまり気になる要素ではなかった。
カメラ、バッテリー、処理能力などの気になるポイントもチェック
今回の目玉である筐体、ディスプレイデザインに時間を割いてきたが、ここからはカメラやバッテリー、処理能力といった要素についても見ていく。
■アウトカメラは約5000万画素の2眼構成
アウトカメラは約5000万画素広角、約5000万画素超広角の2眼構成となる。本体価格が26万9880円から(公式ストア)と高価な端末である以上、望遠カメラがない点は非常に残念だが、新たなデザインである上に、メモリ価格の高騰や円安といった要素が絡み合っている以上、仕方のない部分なのだろう。望遠カメラを搭載することで、本体の薄さを維持できないという側面もあるはずだ。
カメラのスペックとしては、今回の3モデル展開の中で真ん中に位置する。最高峰のカメラではないものの、約5000万画素があれば、広角、超広角ともに安定して綺麗な写真が撮影できる印象。Galaxyらしい、明るくパキッとした写真に仕上がり、デジタルズームもかなりうまく補正できている。暗所での撮影も問題なく、望遠を除けば、シーンを問わずに使いやすい、スマートフォンらしいカメラだ。
ただし、メインディスプレイでカメラアプリを使用する際の挙動は気になる。すでに紹介した通り、メインディスプレイは開くと横長なのだが、写真自体は一般的なスマホと同様に縦方向での撮影となる。設定で画角を変え、全画面表示などに設定すると、ディスプレイ通りの横向きで写真が撮影できるが、解像度が落ちてしまう。この辺りの設定は、使い慣れるまでに少々時間がかかる。
カメラ関係の新機能としては、動画撮影後に特定の人物にフォーカスし、“推しカメラ”として切り抜く「マイファンカム」がある。筆者の使い方的にはあまり活用方法がない機能なのだが、近年の推し活ニーズをしっかりと捉えたアップデートだろう。
■バッテリーは4800mAhで必要十分
搭載バッテリーは4800mAhとなる。近年のスマホとしては大容量とはいえないサイズだが、サブディスプレイがコンパクトなため、実働時間としては問題ない印象。これ以上バッテリーを大きくすると、それだけ本体の大きさ、厚さが増してしまうので、絶妙なバランスをとりに行った印象だ。
メインディスプレイで動画の再生を試してみたところ、画面輝度最大、音量0の状態だと、1時間後の残量が96%、2時間後の残量が91%となっている。実運用上はより消費電力が下がるサブディスプレイも併用していくことになると考えると、バッテリー持続時間はある程度しっかりと確保されている印象だ。
■スピーカーの配置はやや気になる
スピーカーは本体上下に配置されており、ステレオスピーカーとして音を再生できる。閉じた状態では問題なく利用できるのだが、開くとやや微妙な配置になってしまう。
これは、上下のスピーカーがどちらもサブディスプレイ側についていることに起因する。要するに、開くと画面左側に上下のスピーカーが集中してしまい、ややバランスの悪い状態になってしまうのだ。果たしてこれを「ステレオ」と表現していいのかはやや疑問が残る。音質が悪いわけではないのだが、細かな仕様は、8世代目とはいえ、まだまだ新しいデザインだなと感じる部分があるのも事実だろう。
■最高峰の処理性能とAI機能を搭載
搭載SoCはSnapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy。メモリは12GB、16GB、ストレージは256GB、512GB、1TBから選択することとなる。価格相応の処理能力であることはスペックからもわかる通りであり、ヘビーなゲームアプリなどもさくさく動く。
AI機能としては、Galaxy S26シリーズで登場した先回りするAIを踏襲しており、LINEアプリ上で、AIが写真アプリやカレンダーアプリのショートカットを表示してくれるといった機能が利用できる。従来はキーボード上にのみ表示されていたが、新たにショートカットがトーク画面側に現れるようになり、フォルダブルスマホに最適化されたUIも利用できる。
そのほか、防水防塵はIP48で、おサイフケータイにもしっかりと対応する。eSIMとSIMカード、もしくはデュアルeSIMでの運用にも対応している。アップデートは、OS、セキュリティともに7年間が保証されており、この辺りはさすがサムスンといったところだろう。
新たなデザインの背景にちらつくアップルの影
使っていくと、Galaxy Z Fold8はまだまだ発展途上な部分も多いと感じる。画面比率に適したアプリが期待以上に少ないのも事実だろう。
それでもなお、サムスンがあえて新しいデザインを標準モデルと定めたのには、少なからず折りたたみiPhoneの影があるだろう。9月に登場することがほぼ確実視されており、Galaxy Z Fold8と同じ比率とされていることから、真っ向勝負となるわけだ。
先にも触れたように、iPhoneの折りたたみモデルが登場することで、フォルダブルスマホとしての一般的な比率が、閉じて16:10、開いて3:4と定義されていく可能性はあり、対応アプリがどんどん増えていく期待感もある。そこに先手を打つ格好だろう。
これまで8世代にわたってフォルダブル市場の先頭を走ってきたメーカーであり、これから参入してくるメーカーに照準を合わせることはないとも思うが、それだけアップルの影響力は絶大ということだろう。先手を打ち続けるサムスンの知見、安定感が支持されるのか、初参入となるアップルが勢いを持ってフォルダブル市場を席巻するのか。今年後半のフォルダブル市場からは目が離せない。
文/佐藤文彦
折りたたみの3モデルを展開!縦折り、横折りに加わったサムスンの最新スマホ「ワイドモデル」の特徴
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