近年の猛暑は、建設現場における作業効率の低下や熱中症のリスク増加はもちろん、働く人々の健康や安全、さらには人材の定着にまで大きな影響を及ぼしている。
X Mileはこのほど、住宅(戸建て・集合住宅など)を建てる現場で作業や監督を行う487名を対象に「暑さ対策」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
建設現場の8割が「暑さでパフォーマンス低下」、6割が体調不良を経験
「夏場の暑さによって仕事のパフォーマンスは低下すると感じるか」と尋ねたところ、「大幅に低下する」が47.8%(233名)、「やや低下する」が38.4%(187名)となり、合計86.2%(420名)が「低下する」と回答した。
「仕事中に暑さが原因で体調不良を経験したことがあるか」という質問では、「ある」が42.7%(208名)・「何度もある」が19.7%(96名)となり、合計62.4%(304名)が体調不良を経験していることがわかった。
暑さ原因の納期遅延45.2%、住宅の工期にも影響か
「暑さによって、作業が遅延したことがあるか」と尋ねたところ、「頻繁にある」が12.7%(62名)、「時々ある」が60.4%(294名)となり、合計73.1%(356名)が作業遅延の経験があると回答した。
さらに「納期の遅延」についても、「頻繁にある」が10.7%(52名)、「稀にある」が34.5%(168名)で合計45.2%(220名)にのぼり、暑さによる遅れがすでに住宅建設の工期そのものに影響を及ぼしている実態がうかがえる。
現場での遅延が積み重なれば、暮らしを待つ生活者側にも影響が及ぶ可能性がある。
建設現場で「猛暑離職」の懸念。7割超が仕事の継続に不安。5割超は離職も意識
「暑さが原因で『仕事を辞めたい』と思ったことがあるか」と尋ねたところ、「ある」が35.5%(173名)、「何度もある」が20.3%(99名)と回答し、合計55.9%(272名)と半数を超える現場作業員が暑さを理由に離職を意識した経験があることがわかった。
さらに、屋外作業中心の建設業従事者(190名)に絞ると、離職を意識したことがある人が61.6%(117名)に上った。
「今後さらに暑さが厳しくなった場合の仕事の継続」について尋ねたところ、「不安がある」が61.0%(297名)、「続けられる自信がない」が12.7%(62名)となり、合計73.7%(359名)が継続に不安を持っていることが明らかになった。
また、「あなたの周囲で、暑さが原因で退職した人を見聞きしたことがあるか」という質問では、「1人以上いる」が20.7%(101名)、「複数いる」が15.2%(74名)となり、合計35.9%(175名)が退職を見聞きしたと回答した。
暑さによる離職は現場全体で起きており、将来的な就業継続そのものにも影響を及ぼしていることが示唆された。
5割超が「暑さの少ない仕事」への転職を希望。6割超が暑さによる採用難も実感
「現在の給与が同じであれば、夏場の暑さが少ない仕事に転職したいと思うか」と尋ねたところ、「ぜひ転職したい」が15.4%(75名)、「やや転職したい」が37.6%(183名)となり、合計53.0%(258名)が転職意向を示した。
給与水準が変わらなくても、半数以上が「暑さの少ない仕事」を選びたいと考えていることになる。
「近年の暑さによって現場職に人が集まりにくくなっていると感じるか」という質問にも、「非常にそう思う」が21.8%(106名)、「ややそう思う」が46.8%(228名)となり、合計68.6%(334名)が、暑さが採用難に影響していると実感していることがわかった。
暑さは既存の人材の離職意向だけでなく、新たな人材の確保にも影を落としている実態がうかがえる。
現場の暑さ対策、実施率トップは「ファン付き作業服」で4割。現金支給は4.7%と少数に
「勤務先の暑さ対策が十分に行われているか」という質問では、「十分行われている」が8.4%(41名)、「ある程度行われている」が53.6%(261名)となり、合計62.0%(302名)が一定の評価をした。
一方、「あまり行われていない」が28.7%(140名)、「全く行われていない」が9.2%(45名)となり、合計38.0%(185名)が対策の不足を感じていることもわかった。
「勤務先で実施されている暑さ対策」を尋ねたところ、「ファン付き作業服支給」が42.5%(207名)で最多となり、以下「飲料支給」が38.4%(187名)、「塩分補給品支給」が38.4%(187名)、「休憩時間増加」が31.8%(155名)と続いた。
一方、「暑さ手当(現金支給)」はわずか4.7%(23名)にとどまり、実施されている対策の中で最下位という結果になった。
現場が最も求める対策は「暑さ手当(現金支給)」。ファン付き作業服支給や工事時期の見直しを上回る
「勤務先に最も期待する暑さ対策は何か」と尋ねたところ、「暑さ手当(現金支給)」が22.2%(108名)で1位となり、「ファン付き作業服支給」15.8%(77名)、「工事時期の見直し」15.2%(74名)を上回った。実施率の最も低い対策が、現場からは最も期待されているというギャップが浮き彫りになった。
さらに、「より望む暑さ対策」を二択で尋ねたところ、「暑さ手当など収入アップ」58.1%(283名)が、「夏場の屋外作業を減らし、春・秋中心に工事を行う働き方への見直し」41.9%(204名)を上回り、現場作業員の多くが環境改善以上に、直接的な処遇改善を求めていることが明らかになった。
「暑さ対策」を導入した企業は1年間で約2倍、求人数は約2.4倍に増加
こうした傾向は、クロスマイルが運営する求人サービス「クロスワーク」に掲載されている求人内容の変化にも表れている。暑さ対策を何らかの形で取り入れている求人は、388法人・744求人にのぼる(2026年7月時点)。2025年の同時期の189法人・306求人と比較すると、1年間で法人数は約2倍、求人数も約2.4倍に増加しており、求人を出す企業側にも暑さ対策への意識の高まりがうかがえる。
<主な取り組み>
猛暑・酷暑手当の支給(例:月2万円、気温35℃以上で1日500円)
塩飴、水、スポーツドリンクなどの飲料・飲食物の配布
ファン付き作業服やファン付き作業着の貸与・支給
製氷機や冷風機の設置
<調査概要>
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:建設現場作業員
・調査期間:2026年7月
・有効回答数:487名
※ 本調査は、統計的な厳密性を担保するものではありません。傾向等を把握するための参考データとしてご覧ください。
構成/こじへい




DIME MAGAZINE



























