デザイナー・高橋哲史さん

たかはしてつし/千葉県出身。デザイナー。2003年にデザイン事務所メイドインを設立。飲食店のインテリアデザインのほか、これまで100件以上の展示施設のプランニングやイラスト制作を手がけている。
『新装改訂版 お店の解剖図鑑』

著/高橋哲史 エクスナレッジ 1980円
何気なく通っている店にはどんな工夫がなされているのか。ユーモラスなイラストとともに、業態によって異なる店作りの裏側を徹底解剖した一冊。照明や装飾、資材選びなど内装の演出についても詳しく解説。
お気に入りのカフェやふと立ち寄ってしまう雑貨店。人を惹きつける店には、理に適った
理由が存在する。そんな仕掛けを詳細に分析したのが、デザイナー・高橋哲史さんの著書『お店の解剖図鑑』だ。
「元々は2014年に出した本で、その改訂版になります。当時からインテリアの書籍や雑誌というと、建築資料集のような専門書か、簡単な模様替えを紹介するものぐらいしかなかった。そこで、教科書っぽくなく建築や設計を学べる本があれば興味を持って読んでもらえるかなと思ったんです」
本書は初出から12年経った今でも、専門学校の教材として使われるなど、長く愛されつづけている。驚くのは、店ごとに解説された情報の細やかさだ。おおよその寸法や客の服装まで記され、「マインクラフト」のゲームユーザーや漫画家の資料として重宝されているのも頷ける。
「我々デザイナーは、お店の設計をする時、まずは客層を想像します。家族連れが多い飲食店なのか、1人でも入りやすいバーなのかなど。客単価が1万円を超す店なら従業員の数も多いだろうし、席の配置にもゆとりがある。それぞれに見合った空間や調度品の素材、イスの高さなどがあり、そうした細かな配慮や演出が、お客さんの〝また来たい〟に繋がっていくんです」
今回の改訂では、子供連れ歓迎の店やフクロウカフェなど、新形態の店も加わった。
「改めて世間を見渡すと、ニッチなお店が増えてきた印象があります。でも、変わってないなと感じることのほうが多かったです。その意味では、今は流行りがないのが流行りなのかもしれません。一方で、SNSの普及によって、〝映え〟を狙った内装やメニューを出す飲食店が増えました。お店の空間や時間を楽しむということから、店自体が情報化している時代に変化してきているのかなという気がします」
店を選ぶポイントは人それぞれ。だが、自分にとっての最高の場所を見つけるのは、そう簡単ではない。
「店に入る前から見極めるのは至難の業。私にとっても永遠のテーマです(笑)。でも、思っていたのと違うぞって裏切られるのも意外と悪くない。想像するところから結果までの一連をストーリーとして楽しむのも、店探しの醍醐味。そういう意味でこの本はお店のつくり方というだけでなくユーザーとお店側のつき合い方でもあるかもしれません」

ラーメン屋の俯瞰図。テーブル席の間隔や湯切りの姿が見えるカウンターの寸法にまで解説がなされている。
DIME BOOK SELECTION
教養の視点でひもとくゲームの100年の歴史

『東京大学で教わるゲーム学入門』
著/吉田 寛 世界文化社 1980円
老若男女を夢中にさせるゲーム。そこには人間の知性や感性を刺激する仕掛けがされている。著者が東京大学で行なった講義を元にゲームの成り立ちを紹介。
ゆとりある仕事は時間配分こそが命!

『もう、時間に追われない。 逆算時間術』
著/水野 学 ダイヤモンド社 1870円
くまモンや中川政七商店のブランディングなどを手がける水野学。多忙な著者が実践する仕事術を網羅。最短で最高の結果を目指すビジネスマン必読の一冊。
戦後からつづくクイズ文化を解明

『クイズの戦後史「話の泉」、「アメリカ横断ウルトラクイズ」からQuizKnockまで』
著/徳久倫康 平凡社新書 1100円
いつの時代もお茶の間をにぎやかしてきたクイズ番組の変遷をたどるクイズ史の決定版。難問番組の裏側にあった社会背景など、文化としてのクイズに迫る。
取材・文/倉田モトキ 撮影/江藤大作 編集/寺田剛治




DIME MAGAZINE













