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注意喚起を車外から車内で!「ETC踏切」は踏切事故を防ぐ切り札となるか?

2026.08.17

 自動車でおなじみの電子料金収受システム「ETC」が、踏切事故を防ぐ救世主として活躍したという意外なニュースが飛び込んできた。採用したのはJR西日本の中国総括本部。

自動車の運転に役立つETC2.0を鉄道でも

「山陽本線と広島電鉄が並走する区間にある蟹原第2踏切に『ETC2.0 簡易型路側機』を設置し、踏切を渡る自動車に対して線路内にとどまらないよう、ETCを通じて音声と画像で注意喚起する実験を昨年11月から今年3月まで行ないました」

 蟹原第2踏切は4本の線路が走り、間にスペースがあるため、遮断器が下りた後で線路内に自動車が残ってしまうことが頻発。JR西日本によると「年間で60件前後、月に5回はあった」という。

 そこで重大な事故を防ぐため、ETCを使って解決しようという試みだ。その効果は絶大で、

「実証実験の期間中は車の停滞が月に1.5件に下がりました。

 ETC2.0を搭載していない車もあることをふまえると、効果は十分あったと考えています。警報システムの設置については、今後実用化の際に費用対効果を見極めて、本施工を検討していきたい」(JR西日本)

 JR西日本のほかにも名古屋鉄道も実証実験を行っており、今後拡大していく可能性は高そうだ。

 あくまでも現在は試験段階のため、設置に関する費用は明確にはできないものの、更なる試験を重ねていったのち、実用化に向けた導入の輪が広がれば、費用面においても現実味を帯びてくるだろう。

「踏切での事故は事業者の努力だけでは防ぎきれない側面があります。それでも輸送障害や重大事故を防ぐために、安全への投資を進めていきます。今回の取り組みは、技術の進歩によって自動車運転のあり方が変わってきた中で、それに対する注意喚起の方法もまた変化させていかなければならないものだと認識しています」(JR西日本)

 渋滞回避や高速料金の割引など、自動車の運転に役立つETC2.0だが、鉄道のためにも普及が進んでほしい。

【DIMEの読み】
踏切問題を解決する一番の手段は線路の高架化だ。しかし、これには莫大な費用がかかる。最新技術で比較的安価に対策できれば、鉄道会社の助けになる。ETC以外の安全対策にも期待したい。

ETCの車載器に電波を送り、音声とナビ連動で音声+画像で注意喚起する

ETC踏切

上図の斜線部に車が立ち往生してしまうケースが相次いでいた。ETC2.0を利用して、踏切近くに設置したETC2.0簡易型路側機から自動車に向けて音声と映像を送り、注意を促す。「これまで看板を設置してドライバーに注意喚起してきましたが、自動車内で音声と映像が流れるほうがインパクトがあります」(JR西日本)

踏切全体の数は減る一方、維持管理の大変な第1種踏切は数が増えている

踏切

第1種は警報機と遮断器がある踏切で、第3種は警報機だけ、第4種はどちらもない踏切のこと。第4種での事故は件数が減りづらく、減少に向けた取り組みが行なわれている。設置のコストは警報機と遮断器が必要な第1種が一番高い。

第4種踏切でも、自分で持ち上げて進む「踏切ゲート」などが開発されている

踏切ゲート

鉄道会社にとって踏切事故は大きな課題。JR西日本では第4種踏切に「踏切ゲート」を設置。踏切を渡るには遮断棹を動かす必要があり、このひと手間によって左右の確認を促すシステムだ。アナログながら高い効果があり、山陽・山陰エリアを中心に設置が進んでいる。

取材・文/金子長武 編集/轡田緒早

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