2026年7月28日、BYD AUTO Japanは、新型軽自動車の電気自動車(以下BEV)「RACCO(ラッコ)」の国内販売を開始した。「RACCO」は、満充電時の走行可能距離(WLTCモード)が約210kmの「RACCO 200」と約320kmの「RACCO 300 Premium」と「RACCO 300 Plus」の3グレード展開。車両本体価格は「RACCO 200」の214万5000円~「RACCO 300 Premium」の249万7000円で、15万円のCEV補助金を利用すると、「RACCO 200」は200万円を切り、ガソリン車の軽スーパーハイトワゴンと同じ価格帯で手に入る。
シャシー、ボディ、駆動・制御システムなど、すべてが新設計
「RACCO」は海外の自動車メーカーで初となる日本の軽規格専用設計の“軽BEV”シャシー、ボディ、駆動・制御システムなど、すべてが新設計となっている。クルマの基本骨格となる新設計のシャアシーは、2024年から投入されているEV専用プラットフォーム「e-プラットフォーム3.0」をベースに、バッテリーを祖業とするBYDの安心・安全なリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用した駆動用バッテリーを、車体構造の一部として組み込むCTB(セル・トゥ・ボディ」技術という独自の設計手法を採用した。
さらに「RACCO」のシャシーには約70%の高強度鋼板をしたことに加え、ルーフサイドとサイドパネルは従来のスポット溶接ではなく、高級車に使われるレーザー溶接によりシームレスにつなぎ合わせることで高いボディ剛性を実現。これにより優れた走行性能、高い静粛性そして安全性能を実現している。
ただし、軽EVの「RACCO」は、ボディサイズに制約があり、一般的にエンジンを搭載した軽自動車では安全性、居住空間そしてBEVで注目される航続距離を高次元で実現することが困難だった。そこでBYDは「RACCO」のために革新的な統合型の電気自動車技術である「X-PACK」を新たに設計。この「X-PACK」は、BYDが得意とするリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いたブレードバッテリーとCTB技術の統合方法を刷新した画期的な技術であり、本来、エンジンルームにレイアウトあれる駆動用バッテリー、電子制御ユニット、高電圧配電ユニット、バッテリーコントローラー、暖房用のPTCヒーター、冷房用のエアコンコンプレッサーの作動を制御する電子制御ユニットなどをバッテリーユニット内統合することで、事故などの際にボンネット下のスペースと乗員空間を受ける衝撃エネルギーを吸収する広いスペースを確保している。
また、「RACCO」に搭載されているブレードバッテリーは、1000ジュールの衝撃試験でも、バッテリーの温度の上昇することもない。また全領域の熱マネージメントシステムとの組み合わせにより冬季でも安定した航続距離を維持することができる。エントリーグレードの「RACCO 200」のバッテリー容量は22.4kWhでWLTCモード満充電時の走行可能距離は約210km。そして上級グレードとなる「RACCO 300」のバッテリー容量は35.8kWhでWLTCモード満充電時の走行可能距離は約320kmとなっている。搭載しているバッテリー容量によって充電性能も異なり、は22.4kWhのRACCO 200は普通充電が3kWh、急速充電は35.8kWhに対応。対して35.8kWhの「RACCO 300」は、普通充電は6kWh、急速充電は49.7kWに対応している。
航続走行可能距離や充電性能を見れば、「RACCO 200」は買い物や子供の送迎など街乗りメインのユーザー向け。一方「RACCO 300」は街乗りに加えて、たまにロングドライブを行うユーザー向けと言える。ガソリン車で言えば、「RACCO 200」は自然吸気車。「RACCO 300」はターボ車と言えばイメージしやすいかもしれない。バッテリー容量で航続走行距離や充電機能に差はあるものの、安全装備についてはタイヤ空気モニタリングシステムと幼児置き去り検知機能が「RACCO 200」には設定がないが、自動緊急ブレーキやアダプティブクルーズコントロールといった運転支援機能は全車標準装備となっている。
快適装備については、軽スーパーハイトモデルでは必須アイテムである両側電動スライドドアは全車標準装備で、最上級グレードの「RACCO 300 Premium」では、ハンズフリースライドドア機能も備わっている。発表会では、アンバサダーとして登場した俳優の広瀬アリスさんもデモンストレーションを行ない、非常に便利だと話していた。さらに軽自動車では珍しい運転席電動調整機能も装備しており、軽自動車の域を超えている充実度だ。
今回、軽EVを初めて購入する人の不安を払拭するため、ロングラン新車保証を設定。駆動用バッテリーについては基本保証の8年/16万kmに加え、1万8000円の有償延長保証を用意。これに加入すると最長で10年/20万kmの保証期間が適用される。さらに軽EVの「RACCO」に手軽に乗れるように「ラッコ楽っとローン」を設定するなど購入面でも軽BEV最強プランを用意し、より多くの日本のユーザーにEVを受け入れてもらえるような策を講じている。
電池メーカーのBYDだからこそ、これほど安価で軽EVしかも人気のスーパーハイトワゴンを作ることができたともいえる。これから軽自動車は、国内メーカーだけでなく海外ブランドが参入したことで、新車販売が激化するのは必至だ。
■関連情報
https://www.byd.com/jp/lineup/racco
取材・文/萩原文博
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