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食べると消えるから廃棄ゼロ!ブルボン「クッキーストロー」が拓く、おいしいサステナビリティ

2026.08.02

2018年頃から、世界的な脱プラスチックの流れを受けて急速に広がった紙ストロー。日本でも大手カフェチェーンを皮切りに導入が進み、「環境配慮の象徴」として定着した。筆者も当時、環境保護に熱心な飲食会社が、より安全で環境負荷の少ない紙ストローの研究会を開催しているのを見た記憶がある。

「ストローそのものを食べられるお菓子にする」という新発想

一方、口当たりの悪さや、ドリンクの味への悪影響、すぐふやける不便さなどの小さなストレスを訴える声も少なくなかった。そんな中、“使い終わったら食べてしまう”という、まったく新しい環境負荷への対抗策から生まれたのが、株式会社ブルボン(以下「ブルボン」)が2026年7月7日に発売を開始した「クッキーストロー」だ。

ブルボンによると、耐水性を均一化させる製法開発に検証を重ねたことで、シェイクやスムージータイプのドリンクの場合、約30分。ソフトドリンクやアイスコーヒーの場合は、約15分間はストローとして飲み物を吸うことができるとのこと。さらにさまざまなドリンクに合うよう、ほんのりバターが香る甘さ控えめでプレーンな味付けにしているという。

「クッキーストロー(20本入り)」(税込み2,160円))※オンラインショップでの販売 一部コンビニエンスストアでは取り扱いあり
「クッキーストロー」のサイズは直径12~13mm(内径8~9mm)、長さ200mm。
ドリンクの味わいに影響しないが、クッキーとして食べてもおいしい、絶妙な甘さ加減
アイスカフェオレに15分間浸した後の先端。少しやわらかくなっている程度で、まったく崩れていない

最も苦労したのは、“吸い上げ機能”と“おいしさ”の両立

ブルボンがクッキーストローの開発に着手したのは、プラスチックごみによる海洋汚染への社会的関心が一気に高まった2018年頃。試作段階で最も苦労した点は、「ストローとしての機能」と「お菓子としてのおいしさ」の両立方法だった。

「当初は耐水性を重視し、パスタや飴などの硬い素材から試しましたが、飲み物と一緒に食べたときのおいしさについては目指していた品質ではありませんでした。お菓子のメーカーとしてまずはおいしさを大事にしたいと素材を考える中で、業務用商品として販売している、中が空洞になっているスティッククッキー『チュエル』をベースとし、耐水性を付与する方向で開発を進めることとなりました」(ブルボン)

「チュエル」は、薄く焼き上げたココアクレープ生地をクルッと巻き上げ、中にたっぷりのミルクチョコレートを詰め込んだスティックタイプのクッキー。 ※現在は業務用商品として販売 ※画像提供:ブルボン

大きな課題となったのは、ストローとして使える吸い上げ機能を満たす耐水性と、おいしさの両立。チョコレートやキャラメルなどでコーティングする方法も試したが、溶けるにしたがい飲み物自体の味が変わってしまうという問題が生じた。試行錯誤を経てたどり着いたのが、「油の撥水作用」だった。

「クッキー生地に油脂を染み込ませることで、飲み物の味を変えずにクッキーの形状を長く保持できると考えたのですが、食べたときの後味やくちどけを考慮し、油脂の選定にも時間を要しました。何度も検証を重ねてようやく耐水性とおいしさの両面を兼ね備えたクッキーを開発することができました。召し上がった方々からは『本当に吸えた』『飲み終わる前にかじってしまう』など好意的な反応をいただいています。」(ブルボン)

こうして完成したのが、2020年1月から業務用商品として販売を開始した「コロネクッキー」。喫茶店やカフェなどでドリンクに使用されているのを見たり、食べたりした経験がある人もいるかもしれない。紙ストローとは段違いの口あたりのよさ、飲み終わった後に食べられるというお得感、環境負荷の少なさなどで話題となっていたが、今回、クッキー本来のおいしさがより感じられるように改良してバター風味をアップして一般販売がスタートしたのが「クッキーストロー」というわけだ。

2020年1月より、業務用商品として販売していた「コロネクッキー」※現在は終売 ※画像提供:ブルボン

課題は“割高感”だが…

おいしくて、ドリンクの味を邪魔せず、環境負荷も低いとなるといいことしかないように思えるが、ネックとなりそうなのが価格だ。通常のプラスチックストローでは、50本入りを200円程度で購入できる(編集部調べ)。しかし、クッキーストローは20本入りで2,160円(税込)、店頭販売では1本92円前後。1本当りの価格はどうしてもプラスチックストローに分がある。

とはいえ、プラスチックや紙はあくまでも“資材”なのに対し、クッキーストローは嗜好品である“お菓子”なので、そもそも対比するのが間違っているともいえる。クッキーストローは価格の高さに応じた楽しさ、特別感があるので、逆に“ご褒美消費”に適した商品かもしれない。

もうひとつ注目したいのは、クッキーストローは「飲む道具」を「食べるお菓子」でつくるという発想の転換により、飲み物と連動する“味の拡張体験”を提供しているという点。

思えば紙ストローが定着しなかったのは、プラスチックストローより高いのに、プラスチックストローより使い心地が悪いという理不尽さも大きな理由だった。しかしクッキーストローの場合は、仮に環境保護に関心が無くても「おいしくて楽しいから選ぶ」という層も一定数、いそう(SNSとの相性もいい)。

したがってクッキーストローがヒットすれば、「環境にいいから我慢する」ではなく、「楽しいから結果的に環境保護に参加している」という新たなトレンドをつくることができる可能性がある。

「環境省が2019年5月に策定した『プラスチック資源循環戦略』では、ストロー等のワンウェイプラスチックは、2030年までに累積25%の排出抑制を掲げ、取り組みを呼び掛けています。当社では『クッキーストロー』を、菓子メーカーだからこそできる楽しさで手軽においしく、普段の生活の身近なところから環境ついて考えるきっかけになる商品として捉えています。ただ、クッキーストローもプラスチックストローもそれぞれに利点があるため、用途に合わせて使い分けていただくことで、持続可能な社会の実現に貢献できるものと考えています」(ブルボン)

取材協力/株式会社ブルボン

取材・文/桑原恵美子

Author
フリーライター。日経トレンディネット、日経クロストレンドで長く大手チェー ン飲食店や新オープンの商業施設、食品メーカーなどの取材に携わる。ぐるなび が運営するレストランガイド媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材し、 自身の推し飲食店を紹介する「満たされメニュー」をぐるなびPROで連載中。

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