2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生した(令和8年熊本地震)。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く日常が戻ることを願っています。
真夏の被災である。現地では地震活動への警戒とあわせて、熱中症への注意も呼びかけられている。
被害の報道を見ながら、こう考えた人も多いのではないだろうか。もし自分の地域で同じことが起きて、しばらく家から出られなくなったら、どうすればいいのか。
避難所ではなく自宅にとどまる「在宅避難」は、いまや行政も推奨する選択肢だ。ただしそれは、自宅に倒壊・火災・浸水などの危険がなく、安全に生活できる場合の話である。自治体から避難指示が出ている場合や、自宅の安全に不安がある場合は、在宅避難にこだわらず安全な場所へ移動してほしい。
そのうえで、真夏となると話が一気にややこしくなる。エアコンが止まるからだ。
もうひとつ先にお断りしておく。いま優先されるべきは、被災地へ物資が行き渡ることだ。この記事は「今週中に買い揃えろ」という話ではない。日常の買い物のなかで、少しずつ整えていくための目安として読んでほしい。
※水140Lは公的な推奨量ではなく、真夏の在宅避難を想定した本記事独自の試算です(詳細は④)。
① ポータブル電源でエアコンは「動くが、続かない」

「ポータブル電源があればエアコンが使える」という説明を目にする。これは間違いではない。メーカー各社も条件付きで可能としている。ただし動かせることと、夜を越せることは別だ。
確認1:自宅のエアコンは100Vか、200Vか
一般的なポータブル電源のAC出力は100Vである。AnkerもJackeryも、200V仕様のエアコンは一般的なポータブル電源では動かせないと明記しており、200V出力に対応するのは各社のフラッグシップ機に限られる。
100Vと200Vではコンセントの形状が異なるため、見た目は手がかりになる。ただし100Vにもアース極付きの3つ穴タイプがあるので、形状だけで断定せず、エアコン本体の銘板か取扱説明書で定格電圧を確認したい。10畳以上の大型ルームエアコンには200Vタイプが多い。つまり家族が集まるリビングのエアコンほど、動かせない可能性が高い。いちばん動かしたい部屋が、いちばん動かない。
確認2:何時間もつのか
100Vだったとしても、次に容量の壁がある。冷房時の消費電力は6畳で400〜600W、10畳で600〜900W、20畳以上なら1,500〜2,200W程度(Jackery調べ)。以下はそのうち900W、10畳クラスを想定した稼働時間だ。
| ポタ電の容量 | エアコンの稼働時間(参考) |
|---|---|
| 1,070Wh | 約0.9時間 |
| 2,042Wh | 約2時間 |
| 3,072Wh | 約2.5時間 |
| 3,584Wh | 約3.3時間 |
| 5,042Wh | 約4.5時間 |
Ankerの参考値もほぼ同じで、600Wのエアコンに対し約1,000Whで約1時間24分としている。
5,000Wh級のフラッグシップ機を用意しても、4〜5時間。熱帯夜を一晩越えるには足りず、しかもこのクラスはソーラーパネルとのセットで100万円近い価格帯になる。加えてエアコンは起動時に通常運転の2〜3倍の電力を瞬間的に消費するため、容量だけでなく瞬間最大出力も確認がいる。
ただし公平のために付け加えると、インバーターエアコンは設定温度に達すると消費電力が下がるため、実際には計算より長く動くことがある。Jackeryは5,040Whのモデルで約24時間という実測値も示しているが、その条件は外気温30℃・冷房25℃設定であり、猛暑日の停電とは前提が違う。
なお壁付けエアコンのコンセントは天井付近にあることが多く、床置きのポータブル電源には届かない。延長コードはメーカーが指定・推奨する仕様のものに限られる。
今日できること
エアコン本体の銘板で「100V/200V」の表示を確認し、スマホで写真を撮っておく。それだけで自分の家の前提が決まる。
② 扇風機を見くびってはいけない

同じ電源で、エアコンの100倍動く
エアコンが数時間しかもたないとわかったところで、朗報がある。
稼働時間は「容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)」で計算できる(0.8は変換ロスを2割と見た概算)。この式を扇風機に当てはめると、景色が一変する。
| ポタ電容量 | AC扇風機・強 40W |
AC扇風機・弱 25W |
DC扇風機・中 15W |
DC扇風機・弱 5W |
|---|---|---|---|---|
| 300Wh | 6時間 | 約9.5時間 | 16時間 | 48時間 |
| 500Wh | 10時間 | 16時間 | 約27時間 | 80時間 |
| 1,000Wh | 20時間 | 32時間 | 約53時間 | 160時間 |
1000WhのポータブルとDCモーター扇風機の弱運転で、約160時間=6日半。同じ1000Whでエアコンなら、①で見たとおり1時間前後で尽きる。電気を「部屋全体の冷房」ではなく「体の近くの送風」に使うと、稼働時間は桁違いに伸びる。
さらに言えば、DC扇風機の弱を夜通し8時間動かすのに必要な容量はわずか50Wh。大容量のモバイルバッテリー1台でまかなえる水準だ。
一般にDCモーターの扇風機は弱運転時の消費電力が小さい(10W台以下)。ただし消費電力だけで方式を断定はできないので、最終的には取扱説明書や仕様表で確認したい。この差は電気代の話としてはよく語られるが、停電時に何日もつかという話ではほとんど語られない。いま急いで買いに走る必要はないが、次に扇風機を買い替えるときには、防災を判断材料のひとつに加える価値がある。
今日できること
自宅の扇風機の消費電力表示(W)を見る。本体の裏か取扱説明書にある。
ただし、扇風機だけではダメな温度がある
ここは正確に書いておきたい。
扇風機は室温を下げない。体表の空気を入れ替え、汗の蒸発を促して体感温度を下げているだけだ。むしろモーターの発熱で室温はわずかに上がる。
そして温度の上限がある。WHOは2024年に一般向けの目安を更新し、現在は「気温40℃未満でのみ扇風機を使用する」としている。ただし研究者の間では、高齢者など汗をかきにくい人では35℃前後から効果が不十分になるという指摘が続いており、環境省も気温が36℃を超えると扇風機は熱風を送ることになり逆効果になりうるとしている。効果は湿度や年齢、持病によっても変わる。
エアコンの止まった真夏の室内は、この温度域に容易に入る。「扇風機さえ回していれば安全」とは言えない。
ではどうするか。答えは単純で、扇風機は水とセットで使う。濡らしたタオルを首や肩にかけて風を当てれば、汗を待たずに気化熱が発生する。空気を冷やすのではなく、体の表面で冷やす。高温域で扇風機を安全に使う方法は、事実上これだけだ。
③ 部屋ではなく、体を冷やす。5つの方法
②で見たとおり、扇風機は室温を下げない。そして停電した真夏の部屋で、室温そのものを下げる手段はほぼない。エアコンが止まった時点で、部屋を冷やすことは諦めたほうがいい。
やるべきは、部屋ではなく体を冷やすことだ。
- 濡れタオル+風。濡らしたタオルを首や肩、腕にかけたうえで風を当てる。霧吹きや、濡らした薄手の衣服でもいい。汗を待たずに気化熱が起きるので、②で触れた温度域でも体温を下げる方向に働く
- 首の周り・脇の下・脚の付け根を冷やす。太い血管が皮膚の近くを通る3か所で、熱中症が疑われるときに厚生労働省が示している冷却箇所でもある。保冷剤は布で包み、長時間直接肌に当てない
- 冷凍庫を保冷庫として使い切る。停電時、冷蔵室は扉を閉めたままで約4時間、冷凍庫は満杯なら約48時間、半分程度なら約24時間が目安。裏を返せば停電後は氷を作れないので、平時から凍結対応の容器やペットボトルで水を凍らせておく。溶ければ飲料水になる
- 日射を止める。外気温が室温より高い日中は窓を閉め、遮光カーテンやすだれ、なければ段ボールやアルミシートで直射日光を遮る。特に西日の窓は早めに対策する
- 夜は扇風機を「排気」に使う。外気温が室温を下回る時間帯に窓を開け、扇風機を自分にではなく窓の外へ向けて熱気を押し出す
ひとつ、線を引いておきたい。めまい、頭痛、吐き気、強いだるさ、意識がぼんやりするといった症状が出たら、在宅避難を続けるかどうかを考える段階ではない。体を冷やし、涼しい場所へ移り、自力で水分を取れない・意識がおかしいという場合は救急要請が必要になる。
今日できること
冷凍庫の空きに、水を入れた凍結対応の容器やペットボトルを立てて凍らせる。保冷剤になり、溶ければ飲料水になる。
④ 結局、いちばん要るのは水とトイレ

真夏は1人1日5L。4人7日で140L
ここまで挙げた冷やし方を見返してほしい。濡れタオルも、体を拭くのも、凍らせたペットボトルも、すべて水がいる。真夏の在宅避難は、突き詰めると水の問題になる。
そしてここが、この記事でいちばん伝えたいことでもある。
政府が示す災害時の備蓄水の目安は、飲料用・調理用として1人1日3L。4人家族の7日分なら84Lだ。だが真夏の在宅避難では、体を拭く・濡らすための水が別に要る。停電と断水が重なれば、シャワーも水風呂も使えない。汗を流す手段が備蓄水しかなくなる。
そこで本記事では真夏の独自想定として、飲用・調理用を4L、体を濡らす・拭く生活用水を1L、合計1人1日5Lで試算する。
| 想定 | 内訳 | 合計 | 2Lペットボトル換算 |
|---|---|---|---|
| 公的な飲用・調理用の目安 | 3L×4人×7日 | 84L | 42本/7ケース |
| 真夏(本記事の独自試算) | 5L×4人×7日 | 140L | 70本/約12ケース |
140Lは行政の推奨量ではなく、暑さ対策の水まで含めた上乗せの試算である。約12ケースは押し入れの一段を占領する量だ。いきなりは難しいので、まず公的目安の3日分=36Lを確保し、真夏想定の3日分=60L(約5ケース)を次の目標に積み増すのが現実的だろう。
ただし、これは一度に買う量ではない。災害の直後に全国で買い占めが起きると、いちばん水を必要としている被災地に届かなくなる。2024年8月の南海トラフ地震臨時情報のときにも、水や米の品薄が全国に広がった。次の買い物で1ケース足す、くらいのペースで十分だ。日常的に使うものを少し多めに買い、消費した分だけ買い足す「ローリングストック」なら、賞味期限を切らす心配もない。
そして、買わずに増やせる分がある。地震の直後、水道が生きているうちに浴槽に水を張っておけば、100L以上の生活用水を確保できる。飲用にはせず、体を拭く、床を拭くといった用途に使う(排水管が破損している可能性があるうちは、トイレに流す用途には使わない。詳しくは記事末のQ&Aへ)。飲料用のくみ置きは、清潔でふたのできる容器に蛇口から直接、口元いっぱいまで入れ、直射日光を避ける。東京都水道局は常温で3日程度を目安としている。
ここで、DIMEの過去記事で防災研究家青山さんの記事から2つの補足を添えておく。
2Lだけでなく500mlも用意する。断水するとコップが洗えない。500mlなら飲み切れる(@DIMEの防災記事で防災研究家の青山尚暉さんが繰り返し指摘している点だ)
ボディシートやドライシャンプーは、実質的に水の備蓄。体を拭ければ、その分の水を飲用に回せる
避難所の防災訓練に参加してみてわかった、災害時に本当に必要なもの
防災訓練で避難所開設に立ち合って感じたこと 先日、地域の防災訓練に参加した。実際に学校の体育館に集まり、避難所の開設に立ち会うとともに、体育館の床の上で数時間を…
入る量を決めたら、出る量も決める
水の話をしたら、トイレの話が必ずついてくる。断水すれば、当然トイレも流せなくなるからだ。
必要数の考え方はシンプルで、上記記事で青山さんは「1人1日5回×人数×日数」という計算式を挙げている(東京都の「東京防災」も同様の考え方を示している)。4人家族の7日分なら140回分だ。水140L、トイレ140回分。偶然だが、覚えやすい数字が揃った。
ここを軽く見ると、備えが根本から崩れる。トイレがないと、人はトイレに行く回数を減らそうとして水分を控える。せっかく用意した140Lの水が飲まれなくなる。真夏にこれをやると熱中症に直行するし、⑤で触れる車中泊のリスクとも同じ構造だ。
今日できること
家にある水と非常用トイレの数を数える。4人家族なら、まず3日分の目安として水36〜60Lとトイレ60回分を確認する。
⑤ 「車のエアコン」は切り札にならない

家がだめなら車で、と考える人は多い。実際、2016年の熊本地震では、熊本県のアンケートで避難を経験した人の約7割が車中泊を経験したと回答している。避難所に入れなかった人、ペットと離れられなかった人、余震のたびにすぐ逃げられるようにしたかった人。理由はどれも理解できるものだ。
ただし、車中泊には固有のリスクがある。長時間同じ姿勢で座り続けると脚の深部静脈に血栓ができる、エコノミークラス症候群だ。熊本地震では車中泊をした被災者に発症が相次いだことが報告されている。新潟県中越地震で車中泊をした人の調査では、約3割に血栓が見つかったという報告もある。
熊本市は2026年4月、車中泊避難者支援ガイドラインとマニュアルを策定した。車中泊を推奨するものではなく、やむを得ず車中泊を行う人の安全を守るためのものだ。車中泊は「あってはならないもの」ではなく「リスクを管理して行うもの」へと位置づけが変わりつつある。押さえておきたい要点は3つ。
- 水分をこまめに取る。トイレを我慢して水を控えるのが最大の罠。④の備蓄は、そのまま予防策でもある
- 1時間に1回は脚や足指を動かす。ときどき車外で体を動かす(余震や周囲の安全に注意する)
- 座ったまま寝ない。シートを倒し、脚を伸ばせる環境を作る
なお、持病のある方、妊娠中・出産直後の方、高齢の家族がいる場合は、車中泊を第一選択にしないほうがいい。
加えて真夏なら、瓦礫や土砂で排気口がふさがれる一酸化炭素中毒のリスク、そして燃料の問題がある。車庫や換気の悪い場所ではエンジンをかけない。そして冷房で燃料を使い切れば、移動という次の選択肢が消える。
そのうえで一つ提案したい。車は涼む場所ではなく、電源として使うほうがいい。一部のハイブリッド車、PHEV、EVはAC100Vの外部給電機能を備えており、車載バッテリーの容量はポータブル電源とは桁が違う。①で見たとおり5,000Wh級のポータブル電源でもエアコンは4〜5時間だが、EVの駆動用バッテリーはその数倍から十倍の容量を持つ。車内で座って過ごすより、家で脚を伸ばして扇風機に当たれるほうが、安全でも効率でも上回る。出力や使用条件は車種で異なるので、屋内配線への自己流の接続はせず、車両と機器の取扱説明書に従うこと。
今日できること
車の取扱説明書で「AC外部給電」「非常時給電」の有無、定格出力、使用条件を確認する。
真夏の在宅避難、最低限そろえるならこの5つ
ここまでの内容を踏まえて、真夏に自宅で数日を過ごすために最低限そろえたいものを、優先順位をつけて並べておく。なお、これらがあれば必ず自宅にとどまれるという意味ではない。住宅の安全性、室温、家族の体調によっては移動が必要になる。
1.水
前述のとおり。まずは3日分から、そして揺れたら浴槽に張る。
2.非常用トイレ
水とセットで考えたい。断水すると、飲む水があってもトイレがなければトイレを我慢するために水分を控えることになる。これは⑤で触れたエコノミークラス症候群の引き金と同じ構造で、災害時にいちばん起こりやすい失敗だ。入るものだけ用意して、出るものを用意しない備えは成り立たない。凝固剤だけでなく、排泄袋・臭いを閉じ込める保管袋・手袋もセットで確認する。
3.非常食
停電すると冷蔵庫が止まり、家にある食材は数日で使えなくなる。真夏なら傷むのも早い。常温で保存できて、調理せずに食べられるものが要る。カセットコンロとカセットガスがあれば、温かいものを口にできて選択肢が広がる。
4.スマホの電源
停電すると、スマホは情報源であり、明かりであり、家族との連絡手段になる。だからこそ最初に電池が尽きる。モバイルバッテリーの容量表記はmAhだが、Wh換算すると20,000mAhでおよそ74Wh。変換ロスを引くと、スマホ約2〜3回分の充電、または5WのUSB扇風機を約10時間動かせる容量にあたる。「または」であって、両方を十分に使える容量ではない。家族分を考えるなら、複数台か役割分担が必要だ。それでも、数十万円のポータブル電源の話をしてきたなかで、最低限のラインはここまで下がる。
なお防災用に置きっぱなしにすると、いざというとき残量がないことがある。普段から使って、充電を保っておきたい。
5.扇風機
多くの家にすでにある。買い足すとすれば、USB扇風機を1台。モバイルバッテリーで動くものを選んでおくと、上の計算がそのまま使える。ただし室温は下がらないので、③の冷やし方と必ず組み合わせる。
なお、一般的な防災用品ランキングでは保存食が1位に来る。被災経験者に聞く「準備していてよかった防災用品」TOP3でも、1位が保存食、2位がヘッドライト・懐中電灯、3位が現金だった。
ここで水を先に置いているのは、真夏に自宅で数日を過ごすという条件を優先したからだ。暑さと水分のほうが先に効いてくる。ただし順位が下だからといって、食料の重要度が下がるわけではない。
この5つが揃えば、真夏の停電でも数日はしのげる。次に足すなら明かり(スマホの電池を節約できる)と現金、という順序になる。
最後に
在宅避難は目的ではなく手段だ。室温が下がらず、水も電源も尽き、体調に異変を感じたなら、とどまり続ける理由はない。冷房の使える避難所や、電気が復旧した地域の親族宅へ移る判断は、備えの失敗ではなく、備えの一部である。
自宅に何日いられるかを知っておく価値は、「もう限界だ」と判断できる基準を先に持てることにある。
各セクションの「今日できること」を並べ直すと、こうなる。エアコンの銘板を写真に撮る。扇風機の消費電力を見る。冷凍庫にペットボトルを凍らせる。水とトイレの数を数える。車の給電機能を調べる。そして揺れたら、水道が生きているうちに浴槽に水を張る。
どれもお金がかからない。
買い足すのは、そのあとでいい。
よくある疑問
Q. 避難所に行けば、涼しいのでは?
そうとは限らない。コチラの記事にあるの調査では、避難所生活の経験者に「もっとも困ったこと」を一つだけ選んでもらったところ、1位は「暑さ・寒さ対策が不十分だった」(9.0%)だった。プライバシーやトイレより上位である。加えて、防災研究家の青山尚暉さんが訓練で訪れた避難所には、備蓄品が十分でないため3日間程度の自助対応を要請する旨の掲示があったという。避難所に行っても、暑さ対策と最初の数日の物資は自前と考えたほうがいい。一方で、自宅の室温が下がらず体調に危険がある場合は、冷房の使える避難所や自治体のクーリングシェルターへ移る判断が必要だ。
Q. 断水したとき、風呂の残り湯でトイレを流していい?
青山さんは、これを明確な誤りとして注意喚起している。地震で給排水管や下水道が破損していた場合、流すと汚水の逆流や、マンションでは階下への漏水につながる恐れがあるからだ。上水が復旧しても下水が復旧していなければ同じことが起きる。青山さん自身、東日本大震災の被災時は上水が1か月ほどで復旧したのに対し、風呂とトイレが使えない状態が2か月ほど続いたという。自治体や管理会社の案内が出るまでは、非常用トイレを使う。
Q. 停電したら、まず何をすればいい?
中部電力ミライズの調査(構成/Ara)によれば、認知度が最も高い対処は「避難時はブレーカーを落とす」で54.9%。ただしどの項目も4割以上の人が「知らなかった」と答えている。冷蔵庫・冷凍庫の扉は閉めたままにし、発熱する家電のプラグを抜く。通電火災を防ぐため、家を離れるときはブレーカーを落とす。医療機器を使っている家庭は、停電時の対応を平時に医療機関や機器事業者と確認しておく。
Q. 調理はどうする?
同調査には、IHコンロなので調理ができずに困った、という声が寄せられている(秋田県・55歳女性)。真夏は冷凍・冷蔵庫の中身が先に傷むので、停電したら冷蔵室のものから順に消費するのが基本になる。目安の時間(冷蔵約4時間、冷凍48/24時間)を過ぎた生鮮食品は、においが平気でも食べない。青山さんは、カップ麺の汁を捨てられないため凝固剤を用意すること、皿にポリラップを敷いて洗わずに済ませることも勧めている。断水していると食器が洗えないためだ。
Q. マンションの上の階だと、何が問題になる?
同調査には、11階に住んでいてエレベーターが使えなくなり水や生活用品を運ぶのに苦労した(兵庫県・38歳女性)、オートロックが開かなかった(茨城県・55歳男性)といった声がある。停電すると給水ポンプが止まり、断水していなくても水が出なくなる建物もある。給水車から水を運ぶ場面も含め、折り畳み式のカートやアウトドアワゴンがあると負担が大きく変わる(ベビーカートやペットカートでも代用可能)。
Q. ペットがいる場合はどうする?
環境省のいう「同行避難」は、飼い主がペットと一緒に安全な場所まで避難する行動を指し、避難所で同じ室内に入れるという意味ではない。実際の受け入れ方は避難所ごとに異なり、青山さんの記事では、隣接する地域どうしで扱いが違うケースが紹介されている。ペットと離れられないことが、在宅避難を選ぶ大きな理由になる。自分の地域の避難所がどう受け入れるのかは、平時のうちに確認しておきたい。
Q. 結局、何日分を備えればいい?
最低3日分、できれば1週間分が基本とされる。ただし中部電力ミライズの調査で7日分を備えていた人は17.9%にとどまった。いきなり7日は難しいので、まず3日分を「水・食料・トイレ・電源」のセットで完成させ、そこから積み増すのが現実的だ。ローリングストックなら、買い占めにも賞味期限切れにもつながりにくい。
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出典・注記(2026年7月29日時点)
- 地震の発生時刻・震源・規模・命名:気象庁発表(2026年7月28日)
- 家庭備蓄・飲料水の目安(1人1日3L、最低3日〜1週間分):政府広報オンライン「災害に備えた家庭備蓄のポイント」ほか
- 水道水のくみ置き(常温3日目安):東京都水道局「くみ置く際の留意事項」
- 扇風機の使用温度:WHO「Heat and health」ファクトシート(2024年更新、40℃未満)、環境省の熱中症予防情報(36℃超で逆効果になりうる)、および扇風機の有効温度域に関する近年の研究報告
- 熱中症時の冷却箇所:厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」
- 停電時の冷蔵・冷凍食品の目安(冷蔵約4時間、冷凍満杯48時間・半分24時間):FoodSafety.gov
- 非常用トイレの必要数(1日の排泄回数×人数×日数):東京都「東京防災」
- エアコンの消費電力目安・稼働時間の参考値:Jackery Japan「ポータブル電源でエアコンは何時間動く?」(2026年6月1日更新)、Anker Japan「ポータブル電源でエアコンは何時間動かせる?」(2026年7月14日公開)
- 車中泊経験率(避難者の約7割):熊本県「平成28年熊本地震における車中泊の状況について」(内閣府検討会資料)
- エコノミークラス症候群の予防:厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」/中越地震の血栓発生率:新潟大学・榛沢和彦教授らの調査
- 車中泊避難の支援:熊本市「車中泊避難者支援ガイドライン・マニュアル」(2026年4月2日公表)
- ペットの同行避難:環境省「ペットの災害対策」
- エアコン・扇風機・モバイルバッテリーの稼働時間はいずれも「容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)」による概算。機種、バッテリーの劣化、室温・湿度、断熱性能、設定などにより変動する
- 水140L(1人1日5L)は、公的目安(飲用・調理用3L)に真夏の飲用増と生活用水を上乗せした本記事独自の試算であり、公的な推奨量ではない
- 災害時は、自治体・気象庁・電力/水道事業者・医療機関などの最新情報を優先してほしい
※この記事の執筆には一部生成AIを利用しています。




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