モナキ、パンチくん、ボンドロ…2026年上半期のヒット商品&トレンドを総力取材!SNSで話題の『みぃちゃんと山田さん』やマンジャロも独自視点で切り込む大特集!第7回は、上半期の〝芸人の顔〟ドンデコルテにインタビュー!なぜ私たちはドンデコルテを推したくなるのか?2人の掛け合いから、その答えが見えてきた。
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2019年結成、ツッコミの小橋共作さんとボケの渡辺銀次さんからなるお笑いコンビ・ドンデコルテ。初の決勝進出を果たした2025年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で準優勝に輝き、その存在も輝きを放つ。
M-1の翌月に行われた単独ライブの配信チケットは1万2000枚を売り上げ、会場の渋谷よしもと漫才劇場では単独ライブとして歴代最多の販売枚数を記録。
昨年は0本だったテレビ出演が半年で58本へ跳ね上がり、「2026上半期タレント番組出演本数ランキング」(ニホンモニター)の「2026上半期ブレイクタレント」で7位に食い込んだ。
5月にリリースされたデジタル写真集『残響』(集英社)は週刊プレイボーイ公式ECサイトで「発売初日」「週間」「月間」の記録を塗り替えてメンズ写真集歴代最高売り上げをマークし、6月には初の冠番組『ドンデコルテ銀次と弱者たちの鍋会』(テレビ朝日系)が放送、銀次さんは第2シーズンに突入した日曜劇場『VIVANT』(TBS系)で俳優に挑戦……と、多方面で注目度が爆上がりしている。
そんな勢いに乗るドンデコルテの現在地について、ふたりのかけあいを交えながら、4つのキーワードで紐解いていく。
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キーワード➊〝バズった〟

M-1準優勝以降、その名を目にしない日はないほどの活躍を見せるドンデコルテ。この半年で彼らを取り巻く景色は大きく変わった。では、本人たちはどんな瞬間に〝バズった〟ことを実感するのだろうか。
銀次 記憶に新しいところでは、5月放送の『オールナイトニッポン0(ZERO)』で中年世代へ向けた「中年人語」というコーナーをやって、Xのトレンド1位になっていた時ですかね。
小橋 僕たちの写真集が、週刊プレイボーイさんのメンズグラビアで史上1位になったのは面白かったです。5月期のデジタル写真集ランキングのトップ10を見たら、おっぱい、おっぱい、おっぱい……俺らになっていて、全おっぱいに勝っちゃったんですよ。
銀次 ふたりがかりでようやくね。立ち位置的に私は左のおっぱい。
小橋 だったら僕は右。右乳と左乳でドンデコルテです。
ただし〝バズった〟手応えがあるかといえば、そうではないとか。世間的にはブレイク芸人の代表格となった今も、本人たちの感覚は意外なほど地に足がついている。爆発的な数字よりも、目の前の人の反応にこそ実感が宿るようだ。
銀次 自分は40歳ですが、インターネットより年上の人間は〝バズった〟実感がないというか、どうも腹落ちしない。「バズる」というのは〝なんか、そういうのがあるらしい〟という感覚で、わかったふりをしているというか。マックのCM(銀次さんが出演する日本マクドナルドのWebCM『オトナはサイコー!』篇)も再生回数を聞くよりも、身近な人の「CM見たよ」という言葉を聞くほうが波及しているんだなって、かみしめられます。
小橋 インターネットの世界の出来事よりも新聞の一面のほうがわかりやすいんです。テレビで見ていた先輩たちの楽屋へ挨拶に行って「おう! M-1見たぜ」なんて自分たちを知っていてくれると、本当に嬉しくなります。
銀次 M-1後しばらくして、『大悟の芸人領収書』という先輩の番組に呼んでいただいた時に、日テレの番町スタジオで出川哲朗さんにお会いしたんです。白いダンジョンみたいな見た目のスタジオなんですが、廊下の遠くのほうにちっちゃーく出川さんが現れて、こっちへ歩いて来ながら「キミたちー!!!」って。
小橋 キミたち……!? 俺いなかったですね。ナベさんの横にいた若い男性社員を俺と思っていた可能性もあるんじゃ……。
銀次 (頷きながら)じゃあ「キミ!!!」だったか。「面白かったよぉ」と言ってもらえて、すごく嬉しかったです。本好きとしては大先生の朝井リョウさんが漫才をほめてくれたことも、光栄でした。
キーワード➋チャーハン

M-1放送後、一躍脚光を浴びたのが銀次さんのチャーハン。「カゲヤマ」益田康平さんと銀二さんによるYouTube『それいけ益々荘』のチャンネルに〝銀次チャーハン〟の動画が投稿されるとたちまちバズり、すでに213万回超(7月28日現在)再生されている。
芸歴18年の銀次さんはドンデコルテ結成以前に2つのコンビとピンでの活動を経験し、2016年からカゲヤマ・益田さんの実家の1階・益々荘で暮らしてきた。相席スタート・山添寛さんも同居し、否が応でも、売れている芸人との差を感じてしまう日々。チャーハンはそんな鳴かず飛ばずの〝暗黒時代〟に銀次さんが雑念をシャットアウトしようと調理に没頭した結果、生み出された。
約3か月間、鍋を振り続けて完成した特製チャーハンは絶品と評判を呼び、銀次さんは〝チャーハン稼働〟として様々なバラエティー番組で披露することに。お笑い界隈の情報を遮断するようにチャーハンと向き合っていた当時は「将来、このチャーハンが注目されることになるなんて、まったく考えていなかった」と、振り返る。
銀次 チャーハンが注目されてハッとさせられました。そういえば、〝お笑いは流行ってない〟論争じゃないですけど、チャーハンってM-1より有名じゃないですか。世界中で認知されている。ぽっと出のやつの動画でもチャーハンだったら見てみるかって、思ってくれる人がいっぱいいたんでしょうね。1月に単独ライブをしたんですが、M-1後よりも圧倒的にチャーハン動画を投稿した後のほうがチケットの売れ行きに影響していましたし。
小橋 明確だったよね。M-1後も売れてたんですけど、立ち見席ははけていなかったんですよ。それが急に勢いづいて、立ち見も買えないみたいな話になって。「なんだ!?」と思ったらチャーハンがバズってた(笑)。
銀次 なんなら漫才より有名ですから。
小橋 チャーハンと益田さんは僕よりもドンデコルテに貢献している。感謝しています!
銀次 おかげで、お笑いに初めて興味を持ってくれたような新規のお客さんが劇場へ足を運んでくれるようになりました。皆さん、他の芸人も含めて「お笑い」を純粋に楽しんでくださっていて、僕らはそれも嬉しいんです。
キーワード❸ヴェルサーチ

2年前は、月収が5万円ほどだったというふたり。今年に入って収入が安定し、小橋さんは全身ハイブランドで固めるようになった。お気に入りは小橋さんいわく「わかりやすく派手で〝成金〟の象徴」のヴェルサーチ。取材日の私服も、もちろんヴェルサーチだった。
羽振りのよさに芸人仲間からは冗談交じりに「芸人内では結構きらわれている」などと〝タレコミ〟もあるが、小橋さんは「全身50~60万円かけてセンスがダサいって言われるのはいやですけど、いじられるのはおいしいっちゃおいしいというか(笑)。リアルな反感は耳に届かないですしね」と笑う。
小橋 売れていない時から仲良かった人たちが、「もっと高いものを買って、夢を見せてくれ」と言ってくれるんです。エゴサーチしても「もっとお金を使って」みたいな。
銀次 そうか、夢を見るにはちょっと安いのか。ばか高い時計とか、買わないと。
小橋 時計に関してはあまり興味が持ててないので、何百万円を払えない。僕、特徴があって、買い物が全部 10万円前後なんです。特に興味がなくても出せる範囲ということで。
銀次 出せる金、すごいな。
小橋 みんながいじってくれるために出せる金としてね。ただ、ハイブランドって冬物の単価が高いじゃない。今から怖いなと思っています。
売れることで、自分たちに夢を見せてほしい――。その声は漫才で「40歳、独身。厚生労働省の定めた基準によると貧困層、国も認める低所得……」と演説する銀次さんにも届いていた。
銀次 年が明けて3月頃にまとまったお金が入って、これでもう(M-1で披露した)『デジタルデトックス』のネタで「貧困層」と言ったら叩かれるんだろうなと思ったんです。そうしたら違って、〝貧困層〟に共感してくださった方からDMが来て「銀次、お前だけでも!」って。
小橋 助かってくれ!って。
銀次 「蜘蛛の糸」の逆といいますか。〝お前だけでもー〟って押し上げてくれるような。思うに、40歳を過ぎているので嫉妬を受けにくいんじゃないかと。稼いでも〝まぁ長いことしんどかったっぽいし、許してやるか〟って。
小橋 ナベさんに対しては、〝頑張れ!〟感が強いよね。
銀次 18年ですからね、今。NSC時代を入れたら19年売れてなかったわけですよ。その 19年で換算したら、まだ全然割に合ってない。割が合ったぐらいからきらわれだすのかなと思います。
小橋 じゃあ、48歳ぐらいからか。
銀次 相当先ですね。その頃には叩かれるとか、どうでもよくなってそうですけど。
小橋 月収で考えたら43、44歳で超えるかもしれないけど、ボーナスやら保険やら僕らの知らないお金を、一流企業だったら絶対みんなもらってるはずなんですよ。本来20万円の家賃のところに4万円ぐらいで住んでる人がいるんです。家賃補助で。上限額が決まっていない会社で、何割までOKみたいな感じらしくて。
銀次 それは素晴らしい! ガバッと入ればガバッと税金を取られますけど、安定した収入があれば税金も安定していますし。圧倒的に正社員の方がいいと思います。
これだけロジカルに正社員の生活を理解した上で辞めなかった理由を、「やめたら意味がなくなるから」(小橋さん)、「言い訳ができなくなるから」(銀次さん)と語る。一番大きな理由として、銀次さんは「やめる勇気がないだけ」とは言うも、やめようと心が揺れたことは一度たりともなかったと明かす。
銀次 目を逸らしてもスマホとかチャーハンとかけん玉とか、そういうものしか見てなかった。あくまで現実からの逃避。お笑いから逃げようとは考えませんでしたね。
小橋 ほかの職業といっても、やりたいことが別にないんです。だから僕も考えてなかった。フードデリバリーのバイトをしていて、結構稼げたんです。お笑いをやめたら、これ 1本でもっと稼げるだけなんだろうなとは思いました。でも、それでは意味がないですよね。
キーワード❹コンビ

お笑いの道から逃げずに歩み続けて、一夜の舞台を境に人生が変わったふたり。お笑い芸人をやっていて「楽しい」瞬間とは。
銀次 ウケた時です!
小橋 僕も、お笑い芸人をやってて楽しいのはウケた時。プラス絶対、他の人より友達がみんな面白いことですね。合コンでも楽しさで言えば、芸人は最強だと思う。
銀次 確かに。面白い知り合い5人を集めてこいと言われたら、強いです。下手したら、ダウンタウンさんにたどり着けますから。芸人をやっていると、面白い人間に会える確率がすごく高いですね。周囲と話していても、脳への刺激が多い。こないだ出させてもらった『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)は、お笑いの脳みそが刺激される感覚があった。油断するなと気を張りながらやれたのが、たまらなかったです。
小橋 ノンスタ(NON STYLE)石田さんのYouTube(『NON STYLE石田明のよい〜んチャンネル』)でトークをさせてもらった日も、ずっと楽しかった。
ドンデコルテはお互いにコンビを解消して相方のいない時期に、小橋さんが「一番面白い人に声かけてみよう」とダメ元で4期上の銀次さんに声をかけたことで、結成された。周囲のお笑いの才能に対して、刺激を超えた悔しさを感じることもあるのだろうか。
銀次 悔しさは2年目、3年目くらいで終わるんです。結構はやい段階でなくなりますね。悔しがって対抗しているようじゃだめで、同じ土俵で戦うのではなく、自分の土俵をつくるのが仕事です。「競うな、持ち味をイカせッッ」って、『刃牙』シリーズの範馬勇次郎の台詞なんですけど。
小橋 いいね! 強い人の言葉。彼は地上最強の男ですから。
銀次 地上最強の生物な。男じゃない。
小橋 生物最強の男の言葉は本当です!
銀次さんの言葉どおり、自分たちだけの土俵をつくるために欠かせなかったのが、相方の存在だ。性格も経歴も異なるふたりは、互いのどんな部分に信頼を寄せているのだろうか。ドンデコルテの笑いを形づくるうえで、自分にはない相方の長所とは。
銀次 気にしないところ。無理しなくていいので、一緒にいて助けられることもあります。
小橋 相方がいてくれるおかげで思慮深いネタができる。僕は思慮が浅いんで、新ネタを「いいじゃん、このネタやっちゃおうよ」と走り出しちゃうんですけど、相方は「ちゃんとできあがっていないから」と納得がいくまでやらない。『ダブルインパクト』(『ダブルインパクト2026 漫才&コント二刀流No.1決定戦』日本テレビ・読売テレビ系)での漫才もコントも、時間が許す限り手直しをしていました。僕は直前になったら、ウケるかウケないかは当日次第だ、って思えちゃうタイプなんで。
ネタ作りは主に銀次さんが担っている。準優勝で終えた『ダブルインパクト』に続き、2026年の下半期は『KOC(キングオブコント)』『M-1グランプリ』の賞レース参戦を予定し、7月29日と9月15日には単独ライブを開催する。ちなみに11回目となる9月の単独ライブ『ひとたまりもない』の舞台は、なんばグランド花月。伝統ある劇場に単独で初めて立つ。売れっ子として、「心と向き合う余裕がなくなりました。益々荘へ帰ってもとりあえず気絶して寝るだけで、チャーハンもカメラの前でしかつくれていない」(銀次さん)と語るほど多忙となったが、その忙しさこそが原動力ともなっている。
銀次 時間をやりくりできずにネタを消費しているというか、貯金を切り崩している感じで。だから、7月と9月に単独ライブをして、ネタを山ほどつくると決めたんです。ただ(忙しさに)ここらで音を上げているだろうなと思って『ひとたまりもない』とタイトルをつけましたが、9月を待たずに、すでにひとたまりもない状態ではあります。
小橋 相方のそういう言葉は毎日耳に入ってくるので、〝漫才やってるな〟くらいな感覚で聞き流しています。心配しても対処法がたぶんないから。
最後に、ふたりが描く未来は――。
銀次 時間がないとか、環境のガワのほうじゃなくて、芸の内容で悩む未来でありたいです。「こういうものをつくりたい」「こういうものをやりたい」って。
小橋 今、ありがたいことに「売れている」と言ってもらっている状態なんですけど、ちゃんと売れ切った人たちは相方の言った次元で悩んでいると思うんです。ダウンタウンの松本さんが『ガキの使い』(『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』日本テレビ系)に企画構成の立場で入っていたりするみたいに。
銀次 コンテンツをつくるとか、すごいなと思いますね。
小橋 そういうところに自分たちも行けるといいなぁ。でも行けなくてもいいなぁ……という感じです、僕は。
銀次 そうですね。そこに私もあまりこだわりはないです。現場で、漫才に笑ってもらうこと。それが一番重要なので。
磨き上げたドンデコルテの漫才こそがすべて。「笑ってもらうことは絶対。それが自分たちの目標かもしれない」と、ふたりは頷き合った。

取材・文/渡部美也 撮影/横田紋子 編集/井田愛莉寿
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