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開けば〝4:3〟の美画面! 横長になったサムスン「Galaxy Z Fold8」をスマホのプロがチェック!

2026.07.30

サムスン電子は、フォルダブルスマホのラインナップを刷新した。従来型の「Galaxy Z Fold」シリーズは、「Galaxy Z Fold8 Ultra」に昇格したうえで、新たに開くと4:3の横長ディスプレイになる「Galaxy Z Fold8」を加え、横開きのフォールド型を2モデルに広げている。これに加え、縦開きの「Galaxy Z Flip8」も投入する予定だ。日本では、4キャリアに加え、サムスン自身がSIMフリー版を展開する。

これまでのGalaxy Z Foldは、開くと正方形に近い比率の縦長になっており、4:3が多い写真や16:9が多い動画が必ずしも画面サイズにフィットしていなかった。こうしたコンテンツを表示する際には、上下に“黒帯”が出ており、没入感を低下させる要因になっていた。これに対し、Galaxy Z Fold8は開くと横長でかつ4:3のアスペクト比になるため、コンテンツを無駄なく表示できる。

Galaxy Z Fold8は、パスポートサイズの新しいフォルダブルスマホだ。その実力をチェックしていく

一方で、このディスプレイ比率を実現するため、閉じたときのアスペクト比はスマホとしては特殊な16:10になってしまった。縦長のディスプレイに合わせたアプリが多いのも、スマホとして使う際に気になるポイントになりそうだ。発売に先立ち、新コンセプトになったGalaxy Z Fold8を実際に使ってみることができた。ここでは、その使用感をお届けしたい。

薄さや軽さは継承、電子書籍や動画が見やすい

新しいコンセプトと言っても、ハードウェアにはこれまでのGalaxy Z Foldで培われてきたノウハウが凝縮されている。その1つが、薄さだ。同時発売のGalaxy Z Fold8 Ultraには及ばないものの、Galaxy Z Fold8も、開いた時の厚みは4.5mmに抑えられている。この本体が2つに重なる閉じたときの厚みも9.7mmで、一般的なスマホと大きくは変わらない。

開くと4.5mm、閉じると9.7mmで、Galaxy Z Fold8 Ultraよりは厚いが、十分合格点をつけられるスリムさだ

 しかも重量は、これまでのGalaxy Z Foldシリーズで最軽量の201g。200gを切っていればもっとインパクトがあったと思うだけに、2gを圧縮できなかったのが少々残念だが、確かに手に取ると軽さが分かる。薄くて軽いため、ポケットにも収まりやすい。ただし、これまでのGalaxy Z Foldより高さがないためか、ポケットに入れるとやや存在感が気になるのも事実。これは、重量が分散されないためだろう。

重量は201gと、フォルダブルスマホ最軽量。実測値は204gだった

上記のように、閉じた時のディスプレイ比率は16:10になる。一般的なスマホと比べると、かなり横幅が長く、縦が短い。身近なものに例えると、パスポートがこのサイズ感だ。そのため、ギリギリだが、片手で持つことが可能。キーボードを左右どちらかに寄せておけば、片手での文字入力もこなせるサイズ感だ。特殊だが、使い勝手が悪くなるほどではない絶妙なバランスと言えるかもしれない。

閉じたときの画面比率は16:10。一般的なスマホより横長だが、キーボードを寄せれば文字入力は片手でできる

一方で、スマホのアプリはより縦に長いディスプレイを前提に作られていることが多い。例えば、XやFacebookをはじめとするSNSは、タイムラインとしてユーザーが投稿した内容を、縦方向にズラッと並べている。縦が短いGalaxy Z Fold8は、こうしたコンテンツの表示にやや弱い印象だ。1画面に表示できる内容が減ってしまうため、そのぶんスクロールが多くなる。

縦にコンテンツが続くアプリだと、1画面に表示できる情報量が落ちてしまう。画像は@DIMEのスマホ版レイアウト

開くと、横長で比率が4:3のディスプレイが出現する。これまでのGalaxy Z Foldは正方形に近いが、あくまでも縦長だった。そのため、どちらかと言えば開くと縦長の画面がそのまま拡大するような使い勝手だった。アプリの方向はそのままだ。これに対し、Galaxy Z Fold8は、スマホを横に倒した時のような横長の画面が現れる。この点が、今までとの最大の違いと言っていい。

開くと、4:3の横長ディスプレイが現われる

このディスプレイで表示しやすいのが、文章中心の電子書籍やマンガなどのコンテンツだろう。横長のため、本体を開いてアプリを立ち上げるだけできちんと見開き表示になり、まるで書籍を読んでいるかのような感覚になる。無駄なスペースがあまりないため、これまでのGalaxy Z Foldシリーズよりも没入感が高い。

拙著『通信ビジネス』をKindleで開いたところ、見開きで文字を十分読めるサイズで表示できた

写真や動画の没入感が抜群、スマホ向けアプリは……?

写真の表示にも向いたディスプレイだ。一般的なスマホに搭載されるイメージセンサーは画角が4:3のことが多く、撮影時もデフォルトは4:3に設定されている。そんなセンサーを端から端まで使って撮った写真がピッタリはまるのも、Galaxy Z Fold8のメインディスプレイだ。以下のように、写真に無駄なスペースがまったくないため、あたかも写真そのものを持っているかのような感覚になる。

4:3のサイズで撮った写真が、画面ピッタリに表示される。迫力が増した印象だ

16:9の動画だと、さすがに上下に帯は出てしまうが、これも正方形に近いディスプレイのフォルダブルスマホより、デッドスペースが少なくなる。没入感が高く、画面をめいっぱい使えるという点で、4:3のディスプレイを搭載したのは正解だと感じる。一方で、必ずしもこれに当てはまらないケースもある。スマホ用に最適化されたアプリやコンテンツが、それだ。

16:9の動画も、デッドスペースが少ない

一般的なスマホは、縦長になっているため、これに最適化したサービスは情報を縦方向に積み重ねていくことが多い。SNSは、その傾向が顕著だ。XやFacebookなどを見れば分かるように、タイムラインは縦に表示される。横長ディスプレイだと、こうしたアプリがやや使いづらいうえに、1画面の情報量が減ってしまい、スクロールしなければならない回数が増える。

Xは縦にポストが並ぶため、1画面に表示できる情報量が大きく減ってしまう

アプリによっては、そもそも横表示に対応していないケースもある。こうしたアプリを開くと、強制的に縦表示になってしまうため、Galaxy Z Fold8の場合、本体の向きを変えなければならない。開いて本体の向きを変えるとなるのは、なかなか面倒だ。設定の「ラボ」で強制的に横表示にする機能はあるものの、単に横に広がるだけで、無駄なスペースが多くなってしまう。

アプリの中には、横表示に対応しないものもある。このようなアプリを強制的に横表示する機能もあるが、横に広いディスプレイを無駄に使ったレイアウトになってしまう

スマホ向けコンテンツではないが、電子雑誌のように、単ページが縦長でかつ元々のサイズがA4のような大きいコンテンツの場合も、横表示のままだと読みづらい。以下は、『DIME』を開いたところだが、横長のままだとキャプションを読むのは不可能。このような時にも、本体を縦にして単ページ表示する必要がある。

同じ電子書籍でも、判型が大きい雑誌は見開き表示に向かない。文字が小さくなりすぎてしまうからだ。縦表示であれば、1ページ単位になるが見やすくなる

普段、どのようなコンテンツを多用するかにもよるが、スマホの延長線上と考えると、横長のディスプレイは少々使い勝手がよくない。逆に、電子書籍や動画などを利用する割合が高いのであれば、Galaxy Z Fold8の見やすさは群を抜いている。どのようなコンテンツを重視するかで、評価が変わってきそうな端末だ。

カメラ性能はどう? フレックスモードには非対応

ハイエンドモデルであることは間違いないが、一部仕様が抑えられている点には注意が必要だ。カメラは超広角と広角の2眼。この価格帯だと、一般的には望遠カメラを搭載しているスマホが多いが、残念ながら、Galaxy Z Fold8は非対応だ。ただし、2つのカメラはどちらも5000万画素と高画素で、そこから切り出した2倍までは劣化の少ないズームを利用できる。

カメラは超広角と広角の2つ。ハイエンドモデルながら、望遠カメラは非搭載だ

実際に撮った写真は以下のとおりで、望遠カメラも画素数が高いためか、精細で端の破綻が少ない。また、2倍ズームもいわゆるデジタルズームと違って精細だ。少々驚きだったのが、デジタルズームを組み合わせる4倍ズームの写真も、ディスプレイに表示すると十分なクオリティだったこと。ディテールまでしっかり描き込まれており、実用性が高い。

超広角で撮った写真。ダイナミックな絵になるが、画素数が高いこともあり、ディテールまでしっかり描かれている
1倍で撮影。ディテールまでクッキリしており、色味も自然だ
2倍ズームも劣化はない
4倍ズームで撮影。デジタルズームも使われているが、引き伸ばしたような絵にはなっていない

さらに、同じ被写体でGalaxy Z Fold8のズームの限界である10倍まで拡大してみたが、メインディスプレイに等倍表示するには十分なクオリティだった。さすがに拡大すると粗があることは分かるものの、デジタルズームの倍率がここまで高いとは感じさせないレベルだった。画像処理エンジンやチップセットのISPが進化した成果だろう。

10倍ズームで撮影した写真。さすがに拡大すると粗は分かるが、ディスプレイに映し出すには十分だ

こちらも、しっかり10倍でディテールが描かれている

ロンドン名物のビッグベンも、10倍にすると時計の文字がはっきり読める

また、動画はAIで本体の揺れを抑える「水平ロック」に対応しており、揺れる車内から風景を撮るようなシーンでも、安定した動画を撮影することが可能だ。以下がその作例。揺れの激しいロンドンの旧式2階建てバスの2階から撮影したものだが、あたかもレールの上をスムーズに動いているかのような動きになっている。

水平ロックをオンにして撮影した動画。ブレがほとんどなく、滑らかな動きだ

少々残念なのが、フレックスモードに非対応になったことだ。フレックスモードとは、半開きの状態で置いたまま端末を使う機能のこと。歴代のGalaxy Z Foldが搭載しており、Galaxy Z Fold8 Ultraにも受け継がれているが、Galaxy Z Fold8は非対応になった。半開きにはできるが、専用UIがなく、写真や動画のファインダー部分がちょうど折り目にかかってしまい、被写体を確認しづらくなってしまった。

半開きにすると、ファインダー部分が折り目に重なってしまう

このモードがあると、ビデオ会議に参加しやすかったり、机やテーブルに置いたまま動画を見ることができたりと、フォルダブルスマホの活用の幅が広がっていた。ヒンジが90度以上に固定しづらいためかもしれないが、せっかくの機構を生かせないのはもったいない。ただし、半開きでテントのように立てかけると、メインディスプレイを使って動画視聴は可能。撮影もこなせる。代替策として、こうした使い方も可能なことは付け加えておきたい。

テントのように立てかけると、置いたまま使うことができる。フレックスモードの代替案になるはずだ

電子書籍や動画などのコンテンツ視聴に重きを置いたフォルダブルスマホという意味で、Galaxy Z Fold8はかなりの意欲作であることは間違いない。

256GB版のSIMフリーモデルが26万9880円。カメラが少ないなど、気になる点はあるものの、そのぶん価格もGalaxy Z Fold7から大きくは上がっていない(それでも十分高いが)。一方で、スマホに最適化したアプリを使う人には、慣れも必要だ。この点をどう評価するかで、買うべきかどうかが決まってくる1台と言える。

文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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