■連載/阿部純子のトレンド探検隊
2020年に設立された、中国・四川省成都市に本社を置くAI・ARスマートグラスのメーカー「SICHUAN YINGMU TECHNOLOGY」は、開発から製造・流通までを一貫して手がけ、次世代を担うウェアラブル端末の普及を進めている。
同社のAIスマートグラスブランド「INMO(イノモ)」が日本に初上陸。日常的に使える最新のAIスマートグラス「INMO GO3」(99,800円)の予約販売を開始した。正式販売は7月30日からで、オンラインではAmazon、オフラインでは家電量販店で取り扱う。
スマホに触らずリアルタイム翻訳、マップ、議事録などの機能をAIでサポート
日本国内における「INMO」や周辺機器の企画、開発、製造、販売、輸出入を担う日本法人のイノモ日本株式会社 代表取締役 野村洋平氏は、同社が手掛ける製品は、「未来っぽさの誇示」ではなく、ウェアラブルAIを快適で実用的、日常で役立つものにすることを目標にしていると話す。
「初期の取り組みであった『GO1』ではウェアラブルディスプレイとインタラクション技術の基盤を構築し、『GO2』ではリアルタイム翻訳やAIテレプロンプターなど、AI活用の実用性を強化、より日常利用に近づけました。そして今回の『GO3』は、軽量化と自然な装着、日常のリアルなシーンへ包括的にアップグレードさせ、毎日使える便利なツールという製品思想を体現しました。
今回INMOが日本初上陸となりましたが、私たちは日本市場を非常に重要視しています。日本のユーザーは快適性、信頼性、デザイン完成度、プライバシー配慮への期待値が高く、インバウンド観光、国際会議、展示会、メディアコミュニケーション、ブランドコラボレーションなど、言語の壁を越えなければならないシーンが多くあります。
また、メガネとしてのかけ心地にもこだわる文化もあり、これらの要件を満たす製品が『GO3』 であると思っています」(野村氏)
「毎日使えるスマートグラス」をコンセプトにしているINMO GO3は、メガネとしての快適なかけ心地も追求している。重量約58gの軽量ボディで長時間装着の負担を軽減。テンプル幅約8mmのスリム設計、テンプルが外側に15度広がる構造で顔の形状に無理なくフィットする。
エアクッション構造の鼻パッドで圧迫感を軽減。前方への張り出しを抑え、一般的なメガネに近い自然な見た目でビジネスシーンでも違和感なく使用できる。また、前後の重量バランスの最適化で下にズレにくく、鼻の圧迫も防止する。
レンズは視認性やレンズ保護性能の向上と、クリアな視界を実現する「IMARピュアクリア光学システム」を採用。最大1500nitsの高輝度表示で、明るい環境でも情報確認がしやすく光漏れも抑制する。
虹模様の発生現象を50%低減して視界の自然さも向上させ、回析格子面積を22%低減することでコンパクト化し、一般的なメガネに近い自然な外観となっている。
また、AR+AFコーティングにより反射を抑え、指紋や汚れ付着をつきにくくお手入れも簡単でクリア状態を維持する。
INMO GO3の最大の特長は様々なシーンを想定した多様な翻訳機能にある。
「他社と比べて弊社の製品の一番大きな特長は、ひとつのメガネで双方向の交流ができるということ。相手が話した言葉がメール翻訳されて字幕として表示され、こちらから話した言葉は、スピーカーとして相手に音声で伝えます」(野村氏)
「GO3の体験の中心にあるのは98の言語に対応したAI翻訳で、GO3の翻訳機能は3つの特長があります。1つ目は、独自開発の翻訳モデルです。翻訳内容をスムーズに一括表示することで、内容の理解とより自然な会話を助けます。
2つ目は、INMOスピーカーとの連携です。これにより、音声による双方向の同時通訳が可能となり、より自然に多言語でのコミュニケーションを行うことができます。
3つ目は、会話翻訳です。会話モードでは、90度の指向性集音により、1対1での会話に特化した翻訳が可能です。円卓モードでは、360度の全方向集音により、グループでの会話に向いています。これらの2つのモードの使い分けによって、様々なシーンでのコミュニケーションに対応することができます。
さらにGO3には、様々な翻訳シーンを想定したモードが搭載されています。対話翻訳では、INMOスピーカーと連携し、AIが声と対応することで、温かみのある自然な会話をすることができます。
同時通訳では、一文一句をリアルタイムに理解できるようサポート。授業、会議、商談など、より詳細で確実な理解が必要なシーンで活用できます。オフライン翻訳では、9言語の同時翻訳に対応しており、飛行機の中や海外など、ネット環境がない場合でもお使いいただけます。
写真の翻訳も搭載しており、看板やメニュー、資料などを内蔵カメラで撮影するだけですぐに翻訳できますので、旅行先や仕事中など、言葉の異なる環境における中でかなり頼りになる機能です」(イノモ日本株式会社 日本セールスマネージャー 長野元親氏)
プレゼンター、クリエイター、ビジネスパーソン、イベント登壇者に有用なのが「スピーチプロンプター」機能。原稿をワンタップでインポートでき、txt、Word、PDFなど複数ファイル形式に対応する。
ページ送りは手動と音声追従の切り替えが可能で、話すリズムに合わせて原稿の確認でき、視線を落とさず自然で自信あるスピーチを支援する。
「AIミーティングアシスタント」機能は、オンライン会議、対面会議、電話、外部アプリなど様々な会議シーンの録音に対応し、録音した会議音声は自動で文字起こしをして要約。重要な決定事項ややるべきことを自動で抽出して、会議後の確認やフォローアップをより効率的に行うことができる。また、4マイクアレーにより、全方向から集音し、重要なポイントを正確にキャッチし聞き逃しも防ぐ。
前方の視界での案内を行う「ARナビゲーション」は、徒歩、自転車移動時、スマホ画面を見ずに、残り時間、距離、到着予定時刻などを前方視界で確認することができる機能。音声によるルート案内も併用可能で、目と耳の両方で案内を提供する。通勤・通学のほか、旅行や、慣れない場所への移動で利便性が高い。
様々なAIアプリケーションも搭載。「AI Q&A」は複数の大規模AIモデルを搭載し、いつでもAI対話を開始することができる。「AIメモ」は音声で瞬時に記録し、メモやアイデアを素早く保存。「通知リマインダー」はスマホ通知を受信し、テキストと音声読み上げで重要通知をすぐに確認できる。
毎日使うことを想定してGO3は説明書いらずの直感的な操作方法になっている。テンプルのタッチ操作では、GOボタンですぐに起動し、よく使う機能をワンタップで呼び出すことができる。
音声操作では、音声コマンドに素早く反応。さらにINMO Ring4と組み合わせることで、声を出す必要もグラスを触る必要もなく操作が可能。目立たず手軽に使えるため、ビジネスシーンや移動中でも自然に操作できる。
バッテリーは通常使用で最大8時間、テレプロモーター使用で約3.3時間、対話翻訳で約3時間の駆動に対応。長時間使用をサポートするために交換式のバッテリー設計になっており、交換したバッテリーは付属の充電ケースにより持ち運びしながら充電できる。バッテリーはマグネット式で素早く着脱できるので外出先でもスムーズに交換が可能だ。
度付きレンズに関しては、各社のスマートグラスのサポートレンズを手掛ける「JUN GINZA」と共同開発した、薄くてフラットなレンズを開発。見た目もかけ心地も従来のメガネと同じ感覚で使用できる。
【AJの読み】通訳やガイドなしでも海外で自由自在にコミュニケーションできる
「INMO GO3」は、ビジネスパーソンはもちろん、海外旅行で役立つデバイスとして観光での使用も想定している。
SICHUAN YINGMU TECHNOLOGY 海外セールス部 バイスプレジデント 何迎鑫(ホー・インシン)氏は、フランスでの商談でINMO GO3とスピーカーを駆使したという。
「商談はもちろん、ラグジュアリーショップから屋台まで、街でコミュニケーションを取る際には、中国語で直接話かけてそのまま意思疎通ができ、GO3を使って値切りまでしました(笑)」(ホー氏)
海外旅行する際の、パケット使い放題や海外用のWi-Fiを借りるというようなレンタルとしての使い方も想定しており、空港と提携をし、ユーザーが空港で借りて帰国時に返却できるようなシステムも実現していきたいと同社は話す。
「観光会社と連携してツアーでの標準ツールとして導入していただく形や、博物館のような場所でのレンタルも想定しています。日本やヨーロッパといった博物館の多いエリアにおいてGO3は非常に役に立つのではないかと思っています。メガネをかけて搭載しているカメラを通して、博物館の中の展示や、建築をカメラで読み取り、解説をメガネを通して見ることができます。
私たちの本社がある中国・四川省の成都には世界的に有名なパンダ基地があります。そこですでにINMOのメガネは全世界のお客様に向けてリースサービスを展開していますので、そちらに訪れる際はINMOを借りてぜひ体験いただければと思います」(ホー氏)
取材・文/阿部純子




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