プジョーは、1891年に自動車メーカーとして創業している世界最古の会社だ。フランス人の生活道具としてのクルマを造り続ける一方で、モータースポーツにも積極的に参加し、いまでも世界耐久レース選手権にワークスチームを送りこんでいる。しかし、同社の生産車のなかにはスポーツカーは存在せず、実用車をつくり続けているというメーカーだ。
そのプジョーのフラッグシップモデルが「3008」で、現行モデルは2025年7月に日本に上陸している。C/Dセグメント専用に設計された「ステラミディアム」というプラットフォームを採用する最新モデルだ。この「3008」に新たに加わったのが「E-3008」。車名でもわかるように「E」=EVが追加され、2026年2月に日本で発売された。
スタイリングはフロントに大型のフレームレスグリルと、ライオンの爪痕をモチーフにしたタテ3本のLEDデイタイムランニングライトが特徴の5ドアファストバック。Eモデム専用の外観としては、ホイールデザインが異なり、ホイールアーチとボディサイド下部に塗装仕上げを採用。リアゲートのエムブレムも「E3008」の専用バッヂが装着されている。
このボディに73kWhの電池を搭載し、一充電航路距離(WLTCモード)604kmを実現した。EVとしての使い勝手を向上させるために電池の温度を一定に保つ水冷式の温度調節システムを搭載しており、最大150kWの急速充電に対応。150kWの充電器を利用した場合、充電残量20%から80%までにする充電を約30分で行なえる利便性を備えている。さらに寒冷時の急速充電効率を高めるバッテリー予熱機能も搭載している。
グレードは「GTアルカンターラパッケージ」アダプティブポルスター機能で肩から腰までドライバーの身体をしっかりとホールドするシートの座面、背もたれにアルカンターラ素材を使用している。運転席に乗り込むと、やや高めの着座位置からの前方視界は、今までの乗用車とは異なる独自の世界が拡がる。
特徴的なのは、前方のメーターパネルとハンドルの位置関係。メーターパネルはハンドルの上から見るスタイルになる。そのメーターパネルは、21インチという長さの弧を描いたカーブドディスプレイにスピード計やATのポジション表示、電池残量などと、オーディオやエアコンの操作系が内蔵されている。
変速機はドライブバイワイヤで短いつまみのスライド式。R/N/Dの3ポジションで、Pはボタン式。ハンドルにはパドルレバーも備わるが、これはシフト用ではなく、回生モードの強さを調整するレバー。コンソール上にはドライブモードのスイッチもあり、こちらはスポーツ/ノーマル/エコのモードが選べる。やや高めのドライビングポジションでもドア上縁は頭と接触しない。スタートボタンを押すと、カーブドディスプレイの情報が立ち上がる。
ノーマルモードで走り出す。スタートの動きはEVとしては、ややゆっくりめだ。スポーツモデルではないので、運転するほうも余裕が持てる。0→100km/hの加速を計測しても8秒台なので、過激な動きはない。ファミリーカーとしての性格を心得ているチューニングだ。パドルで回生モードを選択する。最強にしても安全停止はしないセッティングだ。
スタート時の充電状況は100%で、表示されていた航続可能距離は464km。ノーマルモードでの走りは、前輪駆動モデルらしい特徴である直進性の強さが低速域から高速域まで体感できる。操舵力も重めで、車線変更でも重めの動きが強い。それは、ワインディングでも同じ。コーナーの切りこみは重めで、ハンドルの戻しも強めだった。この動きは、スポーツモードに切り換えてもあまり変化はなく、直進性の強さと、ハンドルを切り込んだ時の、抵抗感は同じだった。
乗り心地に関しては、低速域ではやや硬め。上下の動きも、ややきつめの動きだった。プジョー車というと、ネコ足と言われるしなやかさがウリだったが、最近のセッティングは硬めの方向だ。乗り心地に関しては、各メーカーでも流行があり、プジョーはどちらかと言えば、最近はドイツ車的な硬さを求めているように感じた。コーナーでもハンドルを切ると、グラッと傾き、その傾きを保ちながら、コーナーをクリアしていく、という動きではなく、ロールを抑え、そのままコーナーを曲がっていくという感じの動きだ。しなやかさを感じたのは、高速でのゼブラ舗装の凹凸を走行したときのフラット感。この動きは、かつてのプジョーらしさが残っていた。
居住性に関しては、室内は基本的にハイブリッド車と同じ。リアのラゲージスペースは、床面の下のサブスペースが上下120mmもあり、ここに充電ケーブルを収納できるのは便利だ。その充電だが、充電残量69%の状態から100%までを自宅の200V充電で行うと、9時間05分と表示された。途中、残量が80%の時に確かめると、100%まで5時間53分だった。
残量69%までに194km走行していたので、計算上は600km近く走行できることになる。日常使いで、夜に家庭充電すれば、常に100%からのスタートなので、充電に関しては十分だろう。ミドルクラスのEVで上級ファミリーカーとして高い評価をつけられるクルマだ。
■関連情報
https://www.peugeot.co.jp/range/new-peugeot-3008/electric.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博




DIME MAGAZINE



































