トヨタのEVシリーズの第1弾である「bZ4X」は、トヨタとSUBARUが共同開発したクロスオーバーSUVで、100%電気+モーターで駆動する電気自動車だ。2022年5月から日本市場で販売がスタートした。当初はリース販売専用モデルで、2023年11月から一般販売も始まった。しかし、販売台数は伸びなかった。それでもトヨタとスバルの技術陣は、地道に改良を重ね、クルマとしての完成度は徐々に上がっていった。ビッグマイナーチェンジは2025年10月。これが現行モデルになるのだが、「使いやすさの改善」「BEVならではの楽しさを追求する」という目的での改良だった。
具体的には、急速充電に関しては駆動用電池容量表示で、約10%から80%までの充電時間を150kW(350A)の場合、最短28分に短縮。航続距離も従来モデル比で約3割延びた。その距離はZグレードで746km(FF)、687km(4WD)、Gグレードで544km(FFのみ)となった。利便性の向上としては、寒冷地での急速充電時に事前に電池温度を温めることで、低温時の充電速度を速くするバッテリープレコンディショニングを搭載した。
走りの楽しさに関しては、トランスアクスル、モーター、インバーターを一体化したe-Axleの小型化と、形状の最適化を行ない、出力も向上させた。フロントモーターはZグレードで、フロントが227PS(203.9PS=旧型)、268Nm(266Nm=同)、リアが120PS(109ps=同)、169Nm(169Nm=同)となった。これにより、加速性能も0→100km/hが5秒台まで向上している。
ハンドリングに関しても、電動パワーステアリングのギアボックスフィールを向上させ、サスペンションやショックアブゾーバーのチューニングにより、乗り心地と操縦安定性も確実感のあるものにしている。パドルシフトは、回生ブレーキの減速度を4段階で調節可能とした。4WDモデルは4輪走行時の制動制御と走行制御をさらにレベルアップさせ、走破性を向上させている。
また、外観についても手が加えられた。フロントマスクはデイタイムランニングライトの形状が変更され、シャープなイメージになった。ライト類はすべてLEDになり、ヘッドライトにはオートレベリング機能が付いた。ヘッドランプクリーナーも装備されている。ホイールもZには20インチがメーカーオプションとなっており、18インチがZ、Gに標準装備となっている。
内装もインパネのデザインが変更された。水平基調が強調され、メーターパネルはハンドル上部からの視認性が向上。オウンディスプレイオーディオはコネクテッドナビに対応し、14インチまで拡大された。拡大されたディスプレイ画面に合わせるようにセンターコンソールもデザインが変わっている。シフトコントロールダイヤルが後方になり、前方のスペースに置くだけで充電できるスマホ2台分の平らな空間が設けられている。
デザインが新しくなった運転席まわりは、足元のスペースも広く、着座位置はやや高め。それでもハンドルの上部から見えるメーター部分に死角は残る。スターターボタンを押して、Dレンジを選択。充電状態は100%で、航続可能距離は454kmと表示されている。カタログ数値との差は大きい。
スタートからの動きは軽快。約2tの車体をグングンと引っぱる。加速タイムは0→100km/hを手持ちのストップウォッチで計測すると5秒台を計測。メーカーの公表値に近い数値を記録した。これも「bZ4X」の実力が高くなっている証拠といえる。
ドライブモードセレクトはエコ/ノーマル。いずれもパワー/トルクのコントロールで、サスペンション系ほどは調整できない。ノーマルモードでのハンドリングは重めの操舵力が低速から高速域までキープされている。コーナーでも、切りこみは重めで、戻しもやや強めなセッティングだ。床下に置かれた電池の重さで、重心から低く、コーナーでのロールは抑えられている。高速走行での上下動も抑えられているので、安定性はハイレベルだ。
乗り心地も床下に重量物を搭載しているので、上下動は抑えられ、目地などの凹凸も大きく揺すられることはなかった。下半身がしっかりしている、という印象だ。走りの選択に関しては、ドライブモードのほかに、Xモードが装備されている。これは、SUBARUの技術だが、4WDでの走行バリエーションになる。モードはディープス/マッド、スノー/ダート。さらに速度を低速域で一定に保って走行するグリップモードもある。
今回の試乗ではこうしたオフロード系の走行を試す機会がなかったが、スバルの4WDオフロード技術+トヨタのノウハウが生かされている走りは、きっと安定感と楽しさを味わえるはず。しかもそれをEVで試せるのはさらに楽しさが増すに違いない。EVの新しい魅力を味わせてくれるモデルといえる。
車両本体価格は試乗したZ・4WDで600万円(税込み)。補助金は国から130万円。さらに地方自治体からの補助金も購入地域により加算される。
文/石川真禧照 撮影/萩原文博




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