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アルファロメオ伝統の走りを受け継いだコンパクトEV「ジュニア エレットリカ」の遊び方

2026.07.27

イタリアのアルファロメオは、今ではステランティスグループの一員として、スポーティなSUVを中心としたモデルをラインアップするメーカーだが、1910年にミラノで創業した時は、スポーツカーブランドとして、次々と強力なクルマを発表し、イタリアを代表するブランドだった。創業から115年の2025年に発表した「ジュニア」は、コンパクトSUVだが、久々にアルファロメオらしいスポーツ魂に溢れたクルマである。デビュー当初から1.2Lガソリンエンジン+モーターのマイルドハイブリッドと、100%電気のEVをラインアップしていた。

デビューから約半年が経ち、ようやくEVモデルに試乗することができた。「ジュニア」のEVモデルの正式名称は「ジュニア エレットリカ」。リチウムイオンバッテリーの総容量は54.06kWh。一充電あたりの航続距離は494km(WLTCモード)。フロントに搭載されたモーターは156PS、270Nmで前輪を駆動する。

ハイブリッド車との違いは、フロントのアルファロメオグリルの模様が異なっているので見分けがつく。ボディサイズは、全長4195mm、全幅1780mm、全高1585mm、ホイールベース2560mmなので、全高を除けば都会でも扱いやすいコンパクトなサイズだ。充電は急速充電のCHAdeMO方式と普通充電の両方に対応している。デザインは内外装のいたるところにかつてのアルファロメオの名車のイメージが用いられており、カーマニアにとってはうれしい。

例えば、角型3連のフロントランプは80年代のスポーツクーペ「SZ」を、スパッと断ち切れたようなテールの形状は60年代の名車、「TZ」をイメージしている。室内も運転席前方の大径のメーターは、70年代からアルファロメオに採用されたカノッキアール(双眼鏡)型クラスターを用いている。そして、車名も「ジュニア(Junior)」は60年代のコンパクトスポーツ「1300ジュニア」に由来している。60年代からのアルファロメオの栄光を背負って生まれた「ジュニア」のEVモデルだが、その意気込みは、駐車している時から伝わってきた。

コンパクトなボディは、SUVに姿を変えてはいるが、かつてのスポーツモデルの血統を感じさせる。最近のアルファロメオは「ステルビオ」「トナーレ」といったSUV系に力を入れている。いずれも走りの良さをアピールしていたが、かつてのアルファユーザーとして、走りの楽しみ方を体験した者にとっては、いまひとつピリッとくるものがなかった。

しかし「ジュニア」のEVモデルは、見た瞬間から最近のアルファ車にはない、パッションを感じた。ファブリックとテクノレザーの運転席に座り、ポジションを調整するとハンドルの向こうにはダブルに盛り上がった。双眼鏡型のメータークラスター、その隣りには運転席側に角度をつけた10.25インチのタッチスクリーンが視界に入ってくる。

センターコンソールのスタートボタンを押して、走行態勢に入る。変速スイッチはR/N/Dがひとまとめになり、PとBはその上下に独立している。ドライブモードはd/n/aで、スイッチで選択する。スポーティな走りのd、普段使いのn、電費を最大効率化したaの中から、まずはnにシフトしてスタートした。

やや高めの運転姿勢での走りは、視界も良く、操作性は直進時がやや重め、切り込んでいくと軽めになるのがnモード。乗り心地もやや硬めだが、ゼブラ模様での突き上げはない。dモードに切り換えると、操舵力は全域で重めになり、直進性も強くなる。乗り心地もさらに硬めになり、上下動も短い振幅が身体に伝わってくる。この動きが不快かというと、そこがアルファの奥深いところ。115年もスポーツモデルを中心にクルマを造り続けている実績は伊達じゃない。運転する楽しさは、アルファがはじめて手がけた100%EVでもきちんと残されていた。

dモードでレスポンスがよりリニアになった状態での0→100km/h加速は8秒台なので、凄く速いわけではない。しかし、コンパクトで、床下に電池を敷いた低重心が、これまでのコンパクトアルファとは、ちょっと異なる小気味さを味わせてくれる。直進からハンドルを切ると間髪を入れずノーズがインを向く。全高が高いが不安はない。強めの戻しと戦いながら、加速する。ほとんど音のしない加速も迫力がある。コンパクトなボディは扱いやすい。スポーティEVとして不満なのは、パドルレバーでの回生モードの選択がないこと。これをエンジンブレーキ代わりに使えば、さらに楽しいEVドライビングができるに違いない。

最後に電費だが、ワインディングを攻めたときに実走52kmで充電量は67%から40%にまで減少した。ちなみに、車両を受け取ったときは100%充電状態で、航続距離は400kmと表示されていた。さらに、自宅で充電したときは、77%から100%への充電は、3kWの家庭用電力で4時間40分と表示された。これ位の減り方ならば、日常の足としては十分だし、長距離走行も実走300kmは使えそうだ。コンパクトな電動SUVでドライビングを楽しみたい人に、ぜひ一度ハンドルを握って走りを試してみてほしい1台だ。

■関連情報
https://www.alfaromeo-jp.com/models/junior-elettrica

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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