先日のFIFAワールドカップについて、日夜、観戦を楽しんだ人も多いのではないだろうか。そんなサッカーファンにもおすすめなのが、近年、盛り上がりを見せているソサイチだ。ソサイチ観戦のサッカーとの違いや楽しみ方のポイントをプロに聞いた。
W杯期間中の予定登録は1.3倍に増加。その裏で「ソサイチ」の関心が右肩上がりの理由
TimeTree未来総合研究所が分析した「ワールドカップ」や「サッカー」などに関する予定登録データの結果によれば、会期間中の2026年6月11日~7月19日のうち、最も多く予定が入った試合は、日本代表のチュニジア戦の6月21日だった。
チュニジア戦は日曜日の13時スタートだったため、家族や友人と視聴しやすい時間で開催されたことが予定件数を増やした要因と分析されている。
次いで初戦の6月15日のオランダ戦が多い結果となった。朝5時からの試合開始にもかかわらず、注目度の高い試合となったようだ。
残りの6月26日のスウェーデン戦と、6月30日のブラジル戦も含めた予定件数の結果は次のようになった。
前回調査の2022年と比較し、登録予定1万件あたりの「ワールドカップ」関連予定の出現数は約1.3倍に増加したという。
そして注目なのは「ソサイチ」について、2021年から登録予定1万件あたりの出現数がほぼ右肩上がりに増加中であることだ。
ソサイチと聞いても耳慣れない人も多いと思われるが、近年、盛り上がっているサッカーに似たスポーツ。観戦者が増えていることから、ぜひサッカーとの違いをトレンドとして押さえておこう。
ソサイチって?サッカーとの違いとは?
まずはソサイチの基本から。
ソサイチ(SOCIETY)とは、南米ブラジルのリオデジャネイロで発祥した7人制サッカーのことだ。ポルトガル語で「社交的サッカー」を意味する「Football Society」を語源とし、年齢や性別を問わずプレーしやすい生涯スポーツとして世界中で親しまれている。
サッカー王国のブラジルでは生活に深く根付いており、日本国内では一般社団法人日本ソサイチ連盟が設立され、リーグ戦の運営や競技力向上の推進に取り組んでいる。
11人で行なうサッカーと、5人で行なうフットサル。そのちょうど中間に位置するソサイチは、ルール的にもまさに〝サッカーとフットサルのあいのこ〟と表現されることが多い。具体的な機材や環境の違いは以下の通りだ。
• ピッチ(コート):サッカーの約4分の1程度の広さ(縦50×横30m程度)
• ゴール:少年用サッカーゴールと同じサイズを採用
• 使用球:弾みを抑えた「低反発の専用5号球」を使用
福満氏によると、特にボールは重く、飛びにくいため、自ずとボールをつなぐプレーが多くなるという。選手間のボールのやり取りが自然と増えることから、激しい攻防が繰り広げられる。これがソサイチの魅力のひとつになっている。
激しさがノンストップで続く!サッカー観戦とは決定的に異なる「3つの衝撃」
日本ソサイチ連盟事務局長の福満俊也氏は、ソサイチ観戦ならではの魅力を次のように語る。
「サッカー観戦との決定的な違いは、『試合展開のスピード感』と『ピッチや選手との物理的・心理的な近さ』にあります」
1. 攻守の切り替え(トランジション)の圧倒的な速さ
「サッカーのピッチ『縦105×横68m』に比べ、ソサイチのピッチはおよそ『縦50×横30m』とサッカーの約4分の1のサイズです。
そのため、ボールを奪ってから相手ゴール前に迫るまでの時間が非常に短く、常にゴール前での緊迫したシーンが連続します。
サッカーのように中盤でじっくりパスを回す時間は少なく、一瞬の隙が命取りになるノンストップな攻防が魅力です」
2. 「自由な交代制」がもたらす激しいプレッシング
「サッカーでは一度ベンチに下がった選手は、交代枠の制限もあり、基本的には戻れませんが、ソサイチはフットサルと同様に『自由交代制(一度退いた選手も何度でも交代可能)』です。
これにより選手は体力を温存する必要がなく、ピッチにいる間は100%の力で激しいプレッシングやスプリントを繰り返すことができます。
常にフレッシュな選手が激しくぶつかり合うため、試合の強度が落ちません」
3. 選手との圧倒的な近さと臨場感
「プロサッカー観戦の場合、スタンドとピッチの間にトラックや距離があったりしますが、ソサイチは観客席(またはコート脇のフェンス)とピッチが目と鼻の先です。
選手同士が激しくぶつかり合う音、息遣い、監督や選手の声の掛け合いがダイレクトに聞こえます。
まるで自分もチームのベンチにいるかのような圧倒的な没入感を味わえます」
【プロ直伝】ソサイチを10倍深く楽しむための「4つの着眼点」
さらに福満氏は、ソサイチをより深く、楽しく観戦するためのポイントを4つ教えてくれた。
1.「猛烈なシュートの手数」と「至近距離からの神セーブ」に興奮する
「ピッチが狭くゴールもサッカーよりひと回り小さいため、どこからでもシュートが飛んできます。そのため観戦中はシュートシーンが非常に多く、飽きることがありません。
また、至近距離から強烈なシュートが何本も放たれるため、ゴールキーパーの超人的なファインセーブや、体を張ったブロックは見どころ満載です」
2.「オフサイドなし」が生み出す裏への飛び出しとスリル
「ソサイチには原則としてオフサイド(※)がありません。そのため、常に相手ゴールのすぐ近くにフォワードが張り付いて一発のロングパスを狙うような駆け引きが行なわれます。
守備側は一瞬も目を離せず、攻撃側はいつロングボールが放たれるかというスリルがあり、サッカーとは異なる戦術的なおもしろさがあります」
※オフサイド:攻撃側の選手が、相手ゴールに近すぎる位置でプレーに関わる場合などを制限するルール
3. 「個人のテクニック」と「狭いスペースでの崩し」を見る
「11人制サッカーよりも一人あたりのボールタッチ回数が圧倒的に多いです。
フットサルのような狭いスペースでの細かいワンツーパスや、ブラジル仕込みの華麗な足裏を使ったフェイント、鋭いドリブル突破が頻繁に見られます。
個人の高いテクニックが濃縮されているため、技術的なプレーが好きなファンにはたまりません」
4.「選手・ベンチの声」に耳を傾け、戦術のリアルタイム感を楽しむ
「観客席とピッチが近いため、選手たちがピッチ内で『右切れ!』『裏警戒!』と指示し合う声や、ベンチからの戦術的な声かけが丸聞こえ。
今どちらのチームが冷静で、どちらが焦っているのかといった『試合の空気感や心理戦』を生で感じ取るのもソサイチならではの楽しみ方です」
福満氏は、最後に日本のスポーツファンに向けて次のようなメッセージをくれた。
「ソサイチはサッカーの『ダイナミックさ』とフットサルの『緻密さ・スピード感』を掛け合わせた、非常にエキサイティングなスポーツです。ぜひピッチのすぐそばで、その熱量を体感していただきたいです」
ソサイチを知らなかった人、知ってはいても見どころがわからなかった人は、ぜひポイントを押さえて観戦してみよう。
ソサイチの公式リーグを観戦するなら、FOOTBALL 7 SOCIETY LEAGUE 公式サイトを参照して全国各地の試合をチェックしよう。関東では毎週、その他の地域では月に1~2回程度開催されている。ハイライト映像などは、日本ソサイチ公式YouTubeチャンネルや、FOOTBALL 7 SOCIETY LEAGUE 公式サイトにおける「Veo」というAIカメラによる配信で楽しめる。
取材・文/石原亜香利
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