昨年度はどれくらいの日本人が国内旅行を楽しみ、また、一人当たり平均どれくらいの金額を国内旅行で使ったのだろうか?
リクルートの観光に関する調査・研究、地域振興機関「じゃらんリサーチセンター」はこのほど、全国1万5,548人の宿泊旅行者を対象に「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2026」を実施し、その結果を発表した。
この調査は、観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の実態を調べるものだ。
国内宿泊旅行実施率、延べ宿泊旅行者数、延べ宿泊数推計
2025年度の1年間に国内宿泊旅行(※1)を実施した18~79歳の割合は48.9%。前年度(49.3%)から0.4ポイント減少し、伸び悩みが続いた。実施者における年間平均旅行回数は2.78回、1回の旅行当たりの平均宿泊数は1.75泊で、いずれも前年度から微増した。実宿泊旅行者数の推計値は4589万人、延べ宿泊旅行者数(※2)は1億2763万人回、延べ宿泊数(※3)は2億2372万人泊となった。
前年度と比べると、実宿泊旅行者数、延べ宿泊旅行者数は微減した一方、延べ宿泊数は微増となった。
性・年代別に見ると、宿泊旅行実施率が最も高いのは18~29歳女性で61.8%と唯一6割を超えた。ほか、18~29歳男性、30代女性、60代男性が5割台となっている。前年度との差では、60代男性や50代女性で増加が見られる一方、30~40代や70代では男女とも減少した。延べ宿泊旅行者数では、男女ともに18~29歳の減少幅が大きく、若年層の旅行実施率は高いものの、旅行量としては前年度を下回った。
都道府県別の延べ宿泊旅行者数と居住ブロック別の傾向
都道府県別に見ると、延べ宿泊旅行者数が最も多かったのは東京都で1102万人。次いで北海道(975万人)、大阪府(940万人)となった。前年度と比較すると、増加幅が最も大きかったのは大阪府(+174万人)、次いで静岡県(+89万人)、福岡県(+32万人)。増加率では徳島県(+23.3%)、大阪府(+22.8%)、佐賀県(+22.0%)の順に高い。
宿泊先ブロックの延べ宿泊旅行者数は、関西ブロック、東海ブロック、九州ブロックなどで前年度から増加した一方、甲信越・北陸ブロック、関東ブロックでは減少した。
関西ブロックを居住ブロック別に見ると、関東ブロックからの旅行者が66万人回増、九州ブロックや甲信越・北陸ブロックなどからも増加しており、大阪府を中心に広域からの旅行需要を取り込んだことがうかがえる。一方、甲信越・北陸ブロックでは関東ブロックからの旅行者が72万人回減となり、減少幅の大きさが目立った。
1回の国内宿泊旅行にかかった費用(大人一人当たり)、国内宿泊旅行の費用総額
1回の国内宿泊旅行にかかった費用総額は全旅行者の平均で大人一人当たり6万5,700円。宿泊・交通費が3万6,900円、現地消費が2万8,800円であった。前年度と比較すると、全旅行者では総額で+1,600円、現地消費で+1,700円となった一方、宿泊・交通費はほぼ横ばいであった。個人旅行は、総額6万3,400円で、宿泊費1万9,200円、交通費1万5,500円、現地消費2万8,700円となり、前年度からは現地消費が上昇。パック旅行は総額8万9,100円で、前年度から+5,800円と大きく上昇した。
国内宿泊旅行にかけられた費用総額は、推計で8兆3883億円、前年度比+2.5%となった。費目別では現地消費が3兆6767億円と最も大きく、全体の43.8%を占めた。宿泊旅行実施率は微減したものの、旅行単価の上昇により市場規模は拡大しており、特に現地での消費が市場を支えている。
宿泊先都道府県別1回の国内宿泊旅行にかかった費用(大人一人当たり)
宿泊先都道府県別に全旅行者の総額を見ると、最も高いのは沖縄県で12万8,800円。一方、最も低いのは山梨県で4万3,000円だった。個人旅行1泊当たりの宿泊費に注目すると、最も高いのは千葉県で1万6,900円、最も低いのは宮崎県で8,200円だった。東京都や大阪府など都市圏では全体を下回る一方、千葉県、静岡県、大分県などで全体を大きく上回った。
また、個人旅行1泊当たりの宿泊費を前年度と比較すると、全体では300円低下した。宿泊費が上昇している地域もある一方、徳島県、宮崎県、長崎県、千葉県、山梨県など多くの地域で低下しており、地域によって動きに差が見られる。
国内宿泊旅行の同行形態
同行形態として最も割合が高かったのは「夫婦2人での旅行」で26.0%。次いで「ひとり旅」が18.5%、「友人との旅行」が12.2%、「小学生以下連れ親子旅行」が10.9%で続く。
2025年度から新たに追加した「成人以上の親子旅行」は8.7%と一定の割合を占めており、これまで「その他の家族旅行」に含まれていた同行形態の一部が可視化された。前年度と比較可能な項目では、「ひとり旅」が0.5ポイント増加した一方、「小学生以下連れ親子旅行」は1.1ポイント減少した。
性・年代別に見ると、男性では「ひとり旅」の割合が高い傾向にあり、18~29歳、50代では最も高い同行形態となっている。18~29歳女性は「友人との旅行」(22.1%)に次いで「恋人との旅行」(20.1%)が続き、複数人旅行を好む傾向がある。
30~40代は男女とも「小学生以下連れ親子旅行」の割合が最も高い。60代以上になると男女とも「夫婦2人での旅行」が最も高くなり、70代女性においては「友人との旅行」も17.3%と高くなる。
宿泊旅行の目的
国内宿泊旅行の目的は、「地元の美味しいものを食べる」(43.7%)が最も高く、次いで「温泉や露天風呂に入る」 「宿を楽しむ」(ともに35.6%)が続く。前年度と比較すると、「宿を楽しむ」は1.4ポイント増加した一方、「地元の美味しいものを食べる」は1.5ポイント減少した。食、温泉、宿といった定番の目的が引き続き上位を占めている。
同行者別に見ると、恋人との旅行、夫婦2人での旅行、成人以上の親子旅行、3世代家族旅行では「地元の美味しいものを食べる」が全体と比べて高い。小学生以下連れ親子旅行では「テーマパークに行く」、中高生連れ親子旅行では「ショッピングセンターやアウトレットに行く」などが全体と比べて高く、子どもの年齢によって目的に違いが見られる。また、ひとり旅では「スポーツ観戦や芸能鑑賞をする」や「友人・親戚を訪ねる」が全体と比べて高く、同行者によって旅行目的の違いがあることがわかる。
《担当研究員コメント》JRC研究員池内 摩耶氏 旅行単価の上昇を、持続的な市場拡大につなげられるか
2025年度の国内宿泊旅行実施率は48.9%と、前年度からの伸びは見られませんでした。実宿泊旅行者数、延べ宿泊旅行者数が微減となった一方、国内宿泊旅行費用総額は8兆3883億円と前年度を上回りました。旅行者数が伸び悩む中で、1回当たりの旅行費用、特に現地消費の上昇が市場を支えています。人口減少も見据えると、国内宿泊旅行市場は、旅行者数の拡大だけを前提に成長を描くことが難しい局面にあります。
また、旅行単価の上昇には、人件費や物価の上昇など、観光事業者や地域を取り巻くコスト構造の変化も影響していると考えられます。今後は、単価上昇を旅行者の負担増で終わらせず、満足度や支出への納得感を下げないことが重要です。そのためには、同行者・旅行目的に応じた過ごし方の提案や、地域ならではの食・体験・土産などの魅力を磨き、旅行者が「行ってよかった」と感じられる滞在価値をつくることが求められます。
加えて、適正な価格転嫁によって事業者の収益向上や従業員の処遇改善を図り、地域への還元につなげるといった、地域住民にとっても観光の意義を実感できる環境づくりも欠かせません。旅行者、事業者、地域住民のそれぞれにとって納得感のある観光施策を積み重ねることが、持続的な市場拡大につながると考えています。
出典元:リクルートグループ
構成/こじへい




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