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摂取カロリーの計測機能が話題のシャープのウェアラブルデバイスはどれくらい使える?

2026.07.28

2026年7月9日より、シャープのウェアラブルデバイス「からだメイト Watch」、「からだメイト Ring」が発売された。シャープとしては初のウェアラブルデバイスであり、成熟しつつある市場への参入という、チャレンジングなデバイスとなる。

「からだメイト」という名称は、これまでAQUOSシリーズにプリインストールされていたアプリから来ている。従来は歩数計測といったシンプルな機能のみを搭載していたが、ウェアラブルデバイスの発売と同時に刷新されており、統合的な健康管理アプリになった。

ここでは、そんな新たなウェアラブルデバイス2機種について、刷新されたアプリの使い勝手とともに、お借りした実機にて検証していく。

健康管理機能に特化した「からだメイト Watch」

近年のスマートウォッチは、健康管理機能とワークアウト機能の2つを追い求めることが多い。心拍数計測といった日常をサポートする機能と、ダイビングやトレイルランといったハードな運動のサポートを行う機能の、両方をサポートするといった形だ。

からだメイト Watchは、中でも健康管理機能に特化したスマートウォッチだ。多くのスマートウォッチのように、サードパーティ製アプリをインストールするといった機能はなく、あくまで基本機能として搭載されている健康管理機能を使っていくことになるため、機能面のイメージとしてはスマートバンドに近く、5万9400円という価格が高く感じることもある。

とはいえ、他社にない独自の機能をしっかりと搭載し、デザイン面にもこだわられたデバイスであるため、価格相応の価値を感じる人もいるはずだ。これまでスマートウォッチに魅力を感じてこなかった方でも、「この機能は刺さる」と感じる可能性のある、ある意味尖ったアプローチをしたスマートウォッチでもある。

■一見“普通の腕時計”にしか見えないシンプルなデザイン

からだメイトウォッチは、円形ディスプレイを搭載したスマートウォッチだ。ディスプレイは約1.32インチで、有機ELパネル、Gorilla Glass 5が採用されている。スマートウォッチとしては、男性が使うにはやや文字盤が小さく、一度に表示できる情報量もあまり多くないため、個人的にはもうワンサイズ大きなモデルも欲しくなる。今回はファーストモデルであるため、多サイズ展開は難しい部分もあるだろうが、次モデル以降の展開に期待したい。

また、設定できる文字盤の種類は40種類以上となっているが、スマートウォッチの文字盤としてはやや物足りない。文字盤に表示したい情報はユーザーによって大きく異なるのに加え、デジタルがいいのか、アナログがいいのかといった好みも違ってくるため、バリエーションの追加も待ち遠しい。

側面にはスクロール操作に対応したリューズ、ワークアウトモードを起動するショートカットとなるサイドボタンが搭載されているが、全体のデザインとしては、普通の腕時計と見違えるほどシンプルになっている。ガジェット感が強いデザインが好みの場合は合わないかもしれないが、公私問わずどこにでも着けていきやすい。

本体質量は約33gで、腕時計としてはかなり軽い。バンドも柔らかいシリコン素材になっており、蒸れはやや気になるが、着け心地がいい。一般的な20mm幅の腕時計用ベルトとの交換も可能だ。

本体は5ATM、IPX8/IP6Xの防水防塵性能を有する。スマートウォッチとしては文句のない文句のない構成なのに加え、ハンドソープでも洗えるなど、シャープらしい耐久性も魅力だ。

■癖はあるがユニークなカロリー計測機能

からだメイト Watch最大の特徴は、摂取カロリーを計測できるという点だ。これまで消費カロリーが計測できるスマートウォッチや、別途摂取カロリーを計測する機器は手に入ったが、「スマートウォッチで摂取カロリーが計測できる」というコンセプトは類を見なかった。同機能には、HEALBE社の特許技術である「FLOWテクノロジー」が活用されている。

機能について少し解説しておこう。からだメイト Watchには、一般的なスマートウォッチにも搭載される、心拍数といったデータを計測する光学式心拍センサーに加えて、「生体電気インピーダンスセンサー」が搭載されており、これが摂取カロリー計測に活用されている。

食事をすると、食べ物は体内で分解され、たんぱく質や脂質といった形で吸収されていく。血糖値が上がり、最終的には細胞がブドウ糖を吸収するのだが、この際に水分が細胞から排出される。

水分を輩出すると、細胞の組織、細胞外液に動きが現れる。生体電気インピーダンスセンサーから発せられる微弱な電流では、電気抵抗の変化を観測することで、細胞外液の動きを検知。この変化で、どれくらいのエネルギーが体内に取り込まれたのかを逆算できる。

使用感にも繋がる話だが、栄養素が体内に吸収されるまでの時間は、その栄養素によって異なる。つまり、からだメイト Watchでの摂取カロリー計測は、食後すぐに数値が出るというわけではなく、数時間単位で、吸収されたカロリーから順に表示されていく恰好になる。

そのため、「1日の摂取カロリーをパッと計測したい」といったニーズには、実は向かない。1日のほとんどの時間でからだメイト Watchを装着し続け、長期的なデータを蓄積していかなければ、“からだメイト”とはいかないというわけだ。当然、栄養素の吸収は就寝時にも行われるため、正確に摂取カロリーを測りたい場合は、寝ている間にもからだメイト Watchは装着し続ける必要がある。

月額600円のからだメイト Plusプランに加入し、食事の写真を逐一アップロードすれば、栄養素を推定する機能が利用できるが、そこまでマメに写真撮影、アップを行えるのであれば、そもそもからだメイト Watchの目玉機能である摂取カロリーの自動計測機能は輝かない。摂取カロリーの計測機能は、長期間、充電時以外の時間は常にからだメイト Watchを装着し続けられる人だけが正確な情報を取得できる、少々癖の強い機能となる。

また、別のデバイスを併用しない限りは、摂取カロリー、消費カロリーがどこまで正確に計測できているのかは未知数。シャープは、カロリーの推定値精度が約89%と説明しているが、裏を返せば約11%は不十分ということだ。本機は医療機器ではないとアナウンスされている通り、あくまで生活を整えるための参考値程度に捉えておくのが無難な使い方だろう。

カロリー計測のほか、体内の水分量が適切かを計測する機能もユニークだ。正確な数値を計測するため、本機能を利用するためには数日間の着用が求められるが、確かにしばらく水分を取っていないと、アラートが出るように感じる。こちらも参考程度に留めるのが無難ではあるものの、これからの季節には重宝する機能だ。

■細かな仕様には不満も感じる

シャープのウェアラブルデバイス初号機ということもあり、細かな仕様についてはやや不満を感じる部分もある。

1つは独自機能である「サーキットビュー」。ディスプレイをちらっと覗いた際に、摂取カロリーや天気、歩数といった情報をスライドのように表示してくれるという機能だ。

ユーザーが気になる情報を、操作なく表示してくれる機能は便利ではあるが、腕時計のディスプレイに目を向けるシーンは、主に時間や日付を知りたいシーンだ。現在時刻が知りたくて文字盤を見ると、その瞬間に必須とはいえない情報が流れ込んでくるため、少々使いにくさを覚える。

もう1つはバッテリー持続時間。シャープ公式の案内では、最大2日となっているが、筆者の使用環境では丸一日持つか、持たないかといったところだ。通知が多く、バッテリーの消耗が激しいためと推測はできるが、バッテリー持続時間がそこまで長くないとされる他社製品と比較しても、明らかに電池が持たない。

特に目玉機能である摂取カロリーの計測は、就寝時にも装着しておくことが前提の機能であるため、寝る直前のバッテリー残量にはある程度余裕が欲しい。栄養素が吸収されるタイミングがまばらである以上、いつ、どれくらいの時間なら、外していても数値にブレが出ないのかがわからないのも、短いバッテリー持続時間との兼ね合いが悪い。充電速度は非常に早く、隙間時間での充電でもある程度の電池残量を確保できるが、心配性な筆者にとっては、バッテリー管理が少々面倒に感じてしまう。

シャープ最初のウェアラブルデバイスであり、詰めの甘さを感じる部分も否めないが、摂取カロリーの計測という強力な武器を持つのも事実。スマートウォッチとして万人に勧めたくなる完成度とはいわないが、刺さる人にはしっかりと刺さるデバイスだろう。

健康データの計測をサポートするからだメイト Ring

生活している中で、常に腕時計を装着し続けることに抵抗があるという人に向けて提供されているのが、からだメイト Ringだ。腕時計よりも違和感のない装着感で、睡眠時にも邪魔になりにくいのがスマートリングの良さだろう。

からだメイト Ringでは、歩数や活動カロリー、心拍数、血中酸素レベル、睡眠状態の計測といった機能が利用できる。本体のベースはSOXAI RINGとなっており、スマートリング市場の先頭を走るメーカーらしい薄さ、軽さを実現している。もちろん、一般的なアクセサリーリングとしてはまだまだ分厚さがあるものの、腕時計と比べれば十分快適だろう。

ただし、からだメイト Ringでは摂取カロリーの計測は行えないため、本機能が目当ての場合は注意が必要。純粋にスマートリングを試してみたい人や、からだメイト Watchと併用して、より正確な数値を計測したい人などがターゲットになるだろう。

刷新されたからだメイトアプリ

冒頭でも触れたとおり、ウェアラブルデバイスの展開に合わせ、シャープのからだメイトアプリが刷新されている。

アプリでは、ウェアラブルデバイスで計測した健康データを包括的に確認できる。ワークアウト機能はそこまで豊富でないため、計測できるデータ自体が少なく、デバイスの設定項目も簡易的なものしかないといった理由こそあるが、情報を見るという意味では、シンプルで使いやすいデザインになっている。

ただし、計測したデータは、前1週間分こそ日ごとのデータを確認できるが、それ以前のものは、週単位でまとめられたデータから確認するしかない。シンプルといえばそうだが、個人的にはもう少し柔軟にデータを閲覧できるようになってほしいと感じる。

からだメイトアプリは無料でも利用できるが、Plusプランに加入することで、食事改善のアドバイスや睡眠改善のヒント、運動アドバイスといった機能が解放される。有料の機能には、計測したデータをもとにアドバイスを届けるといったアプローチのものが多く、アプリ、ウェアラブルデバイスとともに生活を改善したいと前向きに考えている人にはありがたいものがそろっている。

独自機能が光るが万能ではない“刺さる人向け”のデバイス

シャープにとって初となるウェアラブルデバイス「からだメイト Watch」と「からだメイト Ring」は、成熟したスマートウォッチ市場に対し、「摂取カロリーの計測」というユニークなアプローチで切り込んだ意欲作だ。

特にからだメイト Watchは、これまでのスマートウォッチにはなかった生体電気インピーダンスセンサーを活用したカロリー計測機能や、水分量のアラート機能など、健康管理に特化した独自の強みを持っている。デザインも日常使いしやすいシンプルな腕時計スタイルにまとまっており、着け心地や耐久性の面でも評価できる。

一方で、1日持つかどうかという心もとないバッテリー性能や、情報を半ば強制的に表示するサーキットビューの仕様など、初号機ゆえの荒削りな部分が散見されるのも事実だ。5万9400円という価格設定を考慮すると、万人におすすめできる完成度とはいい難い。

しかし、「自分の摂取カロリーを自動で見える化したい」という明確な目的があり、充電管理や常時装着の手間を許容できるユーザーにとっては、現在市場にある他製品では代替できない唯一無二の価値を提供してくれるデバイスとなる。

からだメイト Ringによる軽量な計測サポートや、Plusプランでのアドバイス機能など、エコシステム全体でユーザーの健康改善を後押ししようとするシャープの姿勢は明確だ。まずはこの尖った初号機を評価しつつ、今後のソフトウェアアップデートによる使い勝手の向上や、ハードウェアのさらなる洗練に期待したい。

取材・文/佐藤文彦

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