7月9日、シャープから「AQUOS R11」が発売された。MNOとしては、ドコモ、ソフトバンクで取り扱われているのに加え、au Flex StyleでもSIMフリー端末を購入できる。
AQUOS Rシリーズといえば、最上位にプロモデルがあることから、準ハイエンドやミッドハイ呼ばれ、10万円前後でハイエンドに近い性能を有しながら、オーバーなスペックを削り、コスパを追求する側面が強かったが、今年は少しハイエンドに寄った構成に仕上がった。性能的には、中の上から、上の下へとステップアップしたようなイメージだ。
とはいえ、AQUOSらしいバランスのよさ、ライカ監修カメラといった特徴はしっかりと継承されている。本記事では、そんなAQUOS R11をお借りできたので、使用感を紹介していく。
コンパクトデザインを踏襲しながら握り心地がアップ
本体サイズは156×74×8.9mm、質量は195gとなる。本体サイズ自体は前モデルからほぼ変わっておらず、近年のスマホとしては持ちやすい部類だ。ボタン類も、右側面に音量ボタン、電源ボタンが搭載されているのみのシンプルな構成で、迷いなく使える。
前モデルと比べると、側面や四隅が丸みを帯びたデザインに変更されている。側面が丸くなったことで、手に持った時の感触はよくなったが、角ばったデザインがクールで好きだったという人にとっては、残念なポイントかもしれない。
ディスプレイは約6.5インチで、AQUOS史上最高の明るさとなるピーク輝度3600ニトに対応。解像度はフルHD+で、1~240Hzのリフレッシュレートに対応している。明るさ、解像度、リフレッシュレートのどこをとっても、文句の出にくいハイエンド仕様という印象で、滑らかで安定した動きが楽しめる。
また、新機能として搭載されている「スマートアウトドアビュー」をオンにすると、ディスプレイに光が差し込むようなシーンでも、画面が見やすいように表示内容、色味を自動補正してくれるため、屋外での使用感が向上している。
本体カラーはネイビー、アイボリー、テラコッタの3色で、今回はネイビーを試用。落ち着いた色合いで、公私問わず持ち出しやすい色味だが、指紋の付着はやや気になる。
望遠カメラが追加されたライカ監修カメラ
アウトカメラは広角(標準)5030万画素、超広角5030万画素、光学2.9倍望遠の3850万画素のトリプルカメラ。新たに望遠カメラを備えたことで、ハイエンド色を強めた構成となった。
チューニングは引き続きライカ監修となっており、エモーショナルでパキっとした色表現とボケ感の演出を特徴とする。どのカメラで撮影しても、コンセプトがはっきりとしており、仕上がりにブレが少ないのがありがたい。夜景撮影も、明るい部分、暗い部分のコントラストがはっきりと表現できる。ただし、シャッターラグが若干気になるシーンもある。
望遠カメラも、広角カメラに近い質感の写真が撮影できている。光学2.9倍、デジタルズーム最大20倍と、ハイエンドモデルとしてはやや焦点距離が短いが、実用性という意味では、これくらいで問題ない印象だ。
望遠カメラの搭載に合わせ、新たに「スマートフィットズーム」機能が用意されている。被写体を認識し、どれくらいの倍率で撮影するといい感じの仕上がりになるのか、AIが自動で判断してくれるという機能だ。
どのくらいの倍率で、どの程度被写体を大きく写すのがいいのかは、個人の感覚に寄るところが大きいが、1つの案としてAIが実例をパッと提示してくれるのは便利だ。手動で倍率を調節するよりも早く、程よい倍率に変更してくれるため、シャッターチャンスを逃しにくいのも魅力だ。
新機能の「アカリウム」は好みが分かれるポイントか
AQUOS R11の目玉的な機能として搭載されているのが、アウトカメラ部分に搭載されたLEDライトを光らせる「アカリウム」だ。光によって通知を受け取れるため、ディスプレイを伏せた状態で置いていても、通知に気が付ける。ライトは8色から設定でき、アプリごとに割り当てることもできるため、LINEは緑、メールは赤といった形で登録しておくと便利だ。
Nothing PhoneシリーズやXiaomiのPOCO X8 Proのように、背面にLEDライトを搭載する機種は、少ないものの0ではない。AQUOS R11では、このライトを使い、くつろぎを提供するというアプローチが行われているのが特徴だ。
機能の名前もそのまま「くつろぎモード」というもので、たき火、せせらぎ、こもれびの3モードが用意されており、自然な光の揺らぎをアカリウムで表現しながら、テーマごとにヒーリングミュージックを流すことができる。
寝るときに寝室を完全に暗くすることに抵抗がある人や、心地よいサウンドがあるとよく眠れるという人には実用的な機能なのだろうが、寝るときは真っ暗、無音派の筆者にとっては、あまりピンと来るものではなかった。通知機能においても、ディスプレイを上に向けて置くことが多く、アカリウムを使うためだけに伏せることはないというのが個人的な見解だ。この辺りは、スマホの使い方や生活習慣によって、刺さり方が大きく異なるだろう。
電話機能が充実しているのが強み
AIをうまく活用し、電話を快適に行うための機能が豊富に搭載されているのが、AQUOS R11の特徴だ。スマホの基本機能である電話にしっかりとアプローチしている点は、好感が持てる。
1つは、AIノイズキャンセリング機能の「Vocalist」。あらかじめ自分の声を登録しておくことで、通話の際に声以外の雑音を抑制し、相手に聞き取りやすい声を届けられる。同時に、電話の向こうから聞こえる雑音を抑え、聞き取りやすくすることも可能だ。
迷惑電話の対策もAIによって実現されており、電話に出る前に、自動音声が応答してくれる機能や、通話中の注意喚起などが利用できる。近年の詐欺被害に合わせ、連絡先の登録に関わらず、国際電話を問答無用でブロックする機能も搭載される。
優秀なバッテリーと耐久性を両立
バッテリーは5100mAh。近年の基準だとそこまで大容量というわけではないが、サイズやPro IGZO OLEDの省電力性を考えれば、必要十分だろう。屋外に持ち出し、SNSやカメラ機能などを使いながら過ごしている日でも、帰宅時に50%を下回ることはほとんどなく、快適に使用できている。36Wの急速充電にも対応しているため、朝の準備時間にサクッと充電しておけば、日中バッテリーが切れる心配がほぼない。
耐久面では、IPX5/IPX8/IPX9/IP6Xの防水防塵性能に加え、MIL-STD-810G準拠の耐衝撃、MIL-STD-810H準拠の15項目をクリアしている。アルコール除菌シートでのふき取り、ハンドソープでの洗浄にも対応しており、長期的に使用するハイエンドスマホにふさわしい耐久性を持つ。
搭載SoCはSnapdragon 8s Gen 4で、メモリは12GB、ストレージは256GB/512GBとなる。発売時には、SoCのコア数が削られているとして少し話題になったが、性能的にはあまり問題を感じず、ヘビーなゲームでもある程度快適にこなせている。強いていえば、今回よりmicroSDカードに非対応となった点が痛いところだ。
ハイエンドに生まれ変わったが値上げをどう捉えるか
もとよりバランスのいいAQUOS Rシリーズだが、今回はハイエンドに寄せることで、高い水準でバランスが整った端末となった。サイズ、カメラ、バッテリーなど、普段使いにおいて不満が出る要素はほぼなく、多くの人が納得できる仕上がりになっているだろう。
注目はやはり価格。SIMフリーモデルは16万3900円(512GBモデル)となっており、同容量のストレージで並べた場合、前モデルから5万円以上の値上げとなっている。これは円安や部材高騰の影響を大きく受けているためだ。
そもそもAQUOS R11がハイエンドに寄ったのは、価格高騰の影響がある。各パーツの価格が上がる影響は、安価なモデルのほうが如実に出てきてしまう。AQUOS R11は、価格高騰は仕方がないものとしつつ、ユーザーが納得できるコスパを実現するために、ハイエンド仕様に仕上げたともいえる。
5万円強の値上がりと書くとインパクトが大きいのは事実だが、これはシャープがどうこうという話ではなく、これだけスマホそのものの価格が上がってしまっているという状況を表している。幸い、AQUOS R11は販路が広いため、端末購入プログラムを活用すれば、出費を抑えることができる。ユーザーにはこれから、できるだけ安く、納得のいく性能の端末を購入するための工夫が求められていくだろう。
取材・文/佐藤文彦
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