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連日の猛暑でたくさん汗をかいているのに、なぜ痩せないのか?専門家に夏の代謝と肝臓ケアのポイントを聞いてみた

2026.07.24

薄着になる夏は、体型や体重など見た目が気になり、ダイエットへの関心が高まる季節だ。一方で、体のエネルギー消費量には季節変動があり、夏は意外と痩せにくい可能性があることが報告されている。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、基礎代謝量の季節変動と「代謝」と「基礎代謝量」との違い、代謝を支える肝臓の役割、そして夏に気をつけたい肝臓の疾患について解説したので、詳細をお伝えしよう。

夏は意外と痩せにくい?「基礎代謝量」の季節変動

「夏は汗をかくから代謝が上がる」と思われがちだが、汗は体温を下げるための反応であり、それ自体が「基礎代謝量の増加」を意味するわけではない。

むしろ寒い環境では体温維持のために熱産生が必要になるため、冬のほうが安静時のエネルギー消費量が高くなりやすいと考えられている。

一方、夏は外気温が高く、体温維持のために熱を作り出す必要が少なくなるため、基礎代謝量は下がりやすいとされているのだ。

近年は空調設備の普及などにより屋内環境が快適になったことで、こうした季節変動は小さくなっているとされる一方、夏と冬の間には依然として差が存在すると報告されている。(1)

実際、日本人若年女性を対象に1年間にわたり測定を行った研究でも、安静時エネルギー消費量(RMR)は冬に最も高く、夏にかけて約20%低下するなど、季節によって変動することが報告されている。(1)

[図表1]安静時エネルギー消費量の季節変動

※Bonferroni補正による多重比較の結果、冬と夏の間で有意差(p<0.05)が認められた。
※Noriko Tanaka. Relationship between Seasonal Changes in Food Intake and Energy Metabolism, Physical Activity, and Body Composition in Young Japanese Womenを参考に作成。

混同されやすい「代謝」と「基礎代謝量」の違いと、「代謝」を支える「肝臓」の役割

ここで整理しておきたいのが、「代謝」と「基礎代謝量」の違いだ。日常会話では、「代謝」という言葉が「エネルギー消費(カロリー消費)」の意味で使われることが多く、基礎代謝量を指している場合がある。

しかし、医学的には、代謝と基礎代謝量は異なる概念なのだ。基礎代謝量は、安静にしていても生命を維持するために消費されるエネルギー量を指す。(2)

一方、代謝とは、糖質、脂質、たんぱく質等の栄養素を体の中で分解し、エネルギーに変えたり、別の物質に作り変えたり、蓄えたりする体内のさまざまな化学反応の総称を指す。(3)(4)

こうした代謝を支えるうえで重要な役割を担う臓器の一つが、肝臓だ。(3)

肝臓は、アルコールや薬などの分解だけでなく、栄養素の代謝調節、グリコーゲンとしてのエネルギーの貯蔵・供給、有害物質の解毒など、生命を維持するうえで欠かせない多くの役割を担っている。その多様な働きから、肝臓は「生体の化学工場」とも呼ばれる。(3)

[図表2]肝臓の主な役割

※日本消化器外科学会「肝臓について」を参考に作成。(3)

調査から見えた「肝臓」の役割の認知と理解のギャップ

しかし、こうした肝臓の働きは、十分に理解されているとはいえないようだ。

日本ベーリンガーインゲルハイムが、脂肪肝に関する実態を調査することを目的として、全国の35~74歳の男女2,000名を対象にインターネット調査にて実施した「脂肪肝に関する認知・理解度調査」(期間:2025年11月27日~12月1日、実施会社:株式会社ネオ・マーケティング)では、肝臓の役割について、「アルコールや薬などの有害物質を分解して無害化する(解毒)」という回答が6割を超えたが、アルコール分解以外の役割の認知はいずれも4割以下に留まり、「特に思い浮かばない/わからない」と回答した人も2割を超える結果となった。(5)

[図表3]肝臓の役割に対する認知度調査の結果

夏の“水分補給”が落とし穴? 糖分摂取と肝臓・脂肪肝の関係

夏は汗を多くかくため水分摂取の機会が増える。そこで気をつけたいのが清涼飲料水やスポーツドリンクによる水分摂取だ。

これらの飲料などには果糖を含む糖類が多く使用されており、果糖は小腸で吸収された後、過剰に摂取された場合には肝臓へ運ばれる。(6)

肝臓はこうした栄養素の代謝を担う臓器であり、過剰な糖の摂取は代謝バランスに影響を与える可能性があるのだ。(7)(8)

その代表的な影響の一つとして、挙げられるのが脂肪肝だ。これは、脂肪合成が促進されることにより生じると考えられている。(7)(8)

全身の代謝と関連する脂肪肝とそのリスク、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は健診結果で確認を

脂肪肝は、肝臓だけの独立した病気として捉えられがちだが、実際には全身の代謝の状態とも深く関わっている。

脂肪肝は、食べ過ぎや不規則な食生活、運動不足といった生活習慣に加え、遺伝的要因、加齢、性差(特に閉経後の女性におけるリスク上昇)などさまざまな要因が関与する。

さらに、インスリン抵抗性、腸内環境の変化、一部の薬剤の影響も発症・進展に関わることが知られている。

その結果、2型糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧などを伴うことが多く、メタボリックシンドロームとも密接に関連していることが指摘されている。(9)(10)

つまり脂肪肝は、単に「肝臓に脂肪がたまっている状態」ではなく、全身の代謝の状態を見直すサインでもあるのだ。さらに脂肪肝を放置すると、肝臓の線維化が進行し、肝硬変や肝がんへと進展するリスクも。(9)(10)

肝臓は代謝の中心的な役割を担い全身の代謝の状態と密接に関わっている一方で、「沈黙の臓器」とも呼ばれるように、異常があっても自覚症状が出にくい臓器だ。だるさなどの症状が出たときには、病気が進行している場合もある。

また、日本人では、肥満がない人にも脂肪肝がみられることが報告されている。(11)そのため、病状の進行を見逃さないためにも、健康診断では、ALT・AST・γ-GTPなどの肝機能関連の検査値を確認することが重要だ。(12)

これらの数値は、肝臓だけでなく全身の代謝状態を見直すきっかけにもなる。体型や体重だけでなく、健診結果から体の内側の状態にも目を向けてみてほしい。

とくにALTは、30 U/Lを超える場合に慢性肝疾患が隠れている可能性があるとして、受診の目安の一つとされている。(13)

ただし、数値だけで病気の有無を判断できるわけではないため、気になる結果があれば医師に相談することが大切だ。

■新百合ヶ丘総合病院 消化器内科 部長 今城 健人 先生からのメッセージ

「代謝」という言葉は日常的によく使われますが、その中心で重要な役割を担っているのが肝臓です。

肝臓は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝、エネルギーの貯蔵と供給、解毒など、全身の健康維持に欠かせない働きを担っています。

一方で、肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、病気が進行するまで自覚症状が出にくいことも少なくありません。

夏場は清涼飲料水やスポーツドリンクなどを口にする機会が増えますが、糖分の摂りすぎは脂肪肝をはじめとする代謝異常につながる可能性があります。

体重や見た目だけでなく、健診結果のALT・AST・γ-GTPなどにも目を向け、特にALTが30 U/Lを超えている場合には、一度医師に相談することをおすすめします。

肝臓の病気は、早く気づき、早く対応することが大切です。気になる結果があれば、自己判断せず医師に相談しましょう。

References
1. Noriko Tanaka. Relationship between Seasonal Changes in Food Intake and Energy Metabolism, Physical Activity, and Body Composition in Young Japanese Women.
2. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版).
3. 日本消化器外科学会. 肝臓について.
4. MSDマニュアル. 肝臓の構造および機能
5. 日本ベーリンガーインゲルハイム調べ. 「脂肪肝に関する認知・理解度調査」(2025年11月27日~12月1日、ネットリサーチにて実施
n=2,000、実施企業:株式会社ネオ・マーケティング)
6. Jang C, et al. The Small Intestine Converts Dietary Fructose into Glucose and Organic Acids. Cell Metab. 2018.
7. Geidl-Flueck B, Gerber PA. Fructose drives de novo lipogenesis affecting metabolic health. J Endocrinol. 2023.
8. Muriel P, et al. Fructose and the Liver. Int J Mol Sci. 2021.
9. 日本消化器病学会・日本肝臓学会「患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023」
10. 日本消化器病学会・日本肝臓学会「MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)-代謝機能障害関連脂肪性肝疾患-」南江堂, 2026.
11. Ito T, Ishigami M, Zou B, et al. The epidemiology of NAFLD and lean NAFLD in Japan: a meta-analysis with individual and forecasting analysis, 1995–2040. Hepatology International. 2021;15:366–379.
12. 日本人間ドック・予防医療学会. 検査表の見方.
13. 日本肝臓学会. 奈良宣言2023.

関連情報
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp

構成/Ara

昭和63年生まれ。最新のトレンドを横断的に紹介するオールラウンド系ライター。編集プロダクションでの書籍制作や、男性向け美容・健康WEBマガジンでのライター経験を経て、現在は最新ファッションアイテムを中心に執筆活動を展開中。

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