サムスンは、同社8世代目となる折りたたみスマホの展開を発表した。従来は縦折りのZ Flip、横折りのZ Foldの2モデル展開だったが、今回はラインアップを刷新。従来からの横折り形状は“Ultra”を冠し、無印モデルは開くとワイドディスプレイが広がる、新しいデザインへと変化した。
取り扱いモデル(カラー)にこそ違いはあるが、3モデル全てが4キャリアにて取り扱われる、販路の広さも魅力。ただでさえハイエンドモデルであるのに加え、メモリ高騰といった要素が重なり、痺れる価格になっているのは事実だが、折りたたみの中にもしっかりと選択肢を用意できているあたりには、これまでの7世代で培ってきた確かな技術が感じられる。
折りたたみ3モデル共通のソフトウエア最新情報
Galaxy Z Flip8、Galaxy Z Fold8、Galaxy Z Fold8 Ultraは、基本的に同じソフトウエアを搭載しており、新機能もほぼ横並びで提供される。一部は画面サイズの関係で、表示内容、機能に差が出る部分もあるが、まずは最新機能についてまとめてチェックしていこう。
■「先回りするAI」がフォルダブル仕様で登場
2026年春に先んじて発売されているGalaxy S26シリーズでは、ユーザーの行動を予測し、AIが先回りする機能「Now Nudge」が搭載されている。具体的には、LINEといったチャットアプリ上で、「この前の旅行の写真を送って」とメッセージが届いたら、キーボード上に写真アプリへアクセスできるショートカットが表示されるといったものだ。
このNow NudgeがGalaxy Zシリーズにも初搭載となる。加えて、これまではキーボード上にのみショートカットが表示されていたが、画面右下にアイコンが表示され、提案されたアプリへとアクセスできるようになった。
Galaxy Z Fold8、Galaxy Z Fold8 Ultraの2機種では、メインディスプレイでショートカットをタップした場合、自動的にチャットアプリと新たに開いたアプリの2つが分割表示される。
1つのアプリを大画面に表示するのはもちろんだが、特にGalaxy Z Fold8 Ultraのような正方形に近いディスプレイは、アプリを2つ表示した際に、一般的な板状スマホに近い比率になるのが強みだ。Now Nudgeのフォルダブル対応は、先回りするAIを便利に活用できることを実感できる機能の1つとなるだろう。
■1つの指示でアプリ操作が完結する「オートメーション機能」が日本語対応
これまで韓国語、英語のみの対応だった「オートメーション機能」が、ついに9月末より、日本語に対応予定となる。
具体的には、特定のアプリを指定して「この日でホテルを探して」と指示を出すことで、AIが対象のアプリ内で空き日程を検索し、ユーザーはワンタップするだけで予約を完了させるといった動作が可能とのこと。
ユーザーとしては、カレンダーアプリと旅行アプリを行き来して日程をすり合わせるといった作業が不要となる。もちろん、Galaxy Z Flip8のコンパクトなカバー画面でも利用できる。
なお、詳細な対応アプリリストは現時点で未定だが、すでに40個以上のアプリに対応することが予定されているとのこと。アップデートにより対応アプリがどんどん増えていけば、アプリを開いて特定の作業を行うといった従来のスマホの使い方が、すべてAIに丸投げするという新しいものに変わる期待感がある。
■「Now Brief」は直接次のアクションができるように進化
OneUI 7より搭載されているパーソナライズAIの「Now Brief」は、ユーザーの居住地や好み、スケジュールに合わせて、天気やおすすめの動画といった情報を提示してくれる、個人専用の掲示板のような機能。
これが進化し、情報をまとめるだけでなく、カレンダーへとスケジュールを追加するといった、次のアクションが提案され、ワンタップで実行できるようになる。
■動画撮影、編集機能も進化
動画撮影や編集機能にもアップデートがある。1つは、Galaxy S26 Ultraに搭載されている「水平ロック」機能で、動画撮影時の手振れを強く補正できるようになる。極端な話だが、撮影中に端末を180度回転させても、画角は水平を保ったまま録画されるほど強力で、特にビデオカメラのような持ち方で動画撮影ができるGalaxy Z Flip8との相性がいい機能だ。
動画編集機能としては、「マイファンカム」が追加される。複数人が映る動画を撮影したのち、特定の人物を指定することで、その刃部うだけをトラッキングした動画を自動生成できる。近年、ライブ映像の配信などで用意されている、「推しカメラ」のような映像を、手元で作成できるというわけだ。
マイファンカムは、名前の通り推し活をターゲットとした機能ではあるが、運動会で子供の映像をした際に、アップにした映像を作成するといった使い方もできるため、便利に感じる人もいるはずだ。
縦折り、横折りに新たなワイド型の3モデル展開
冒頭から触れている通り、今年のGalaxyは、3モデルの折りたたみスマホを展開する。ハードウエアの違いについてもチェックしていこう。
■新たに登場したワイド折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」
従来の横折りタイプがUltraモデルへと昇格し、新たに登場したのがワイド型のGalaxy Z Fold8。名称的にGalaxy Z Fold7の後続機に見えるが、形状は大きく異なるため、乗り換えの際には注意して欲しい。
Galaxy Z Fold8は、畳んだ状態だと約61.9×123.9×9.7mm。ディスプレイは5.5インチと、近年のスマホとしては非常にコンパクトだ。横幅はそれなりにあるが、縦幅が短いため、画面の隅まで指を伸ばしやすい、扱いやすいデザインとなる。本体質量は約201gと、折りたたみスマホとしては軽量な仕上がりだ。
開くと7.6インチのメインディスプレイが出現し、約161.4×123.9×4.5mmとなる。これまで日本で発売されてきた折りたたみスマホと異なり、横幅がかなり広くとられたディスプレイとなっている。イメージとしては、横向きに構えたタブレットに近い。
画面比率は閉じた状態で16:10、開くと4:3になる。16:10は、縦型のショート動画などを見るのに最適な画面比率であり、4:3は漫画の見開きページや横向き動画の視聴といったコンテンツ表示に最適。板状スマホに最適化されていることが多い、ゲームアプリのようなコンテンツも快適に楽しめるだろう。
アウトカメラは5000万画素メイン、5000万画素超広角の2眼構成。望遠カメラが非搭載な点は残念だが、本体サイズや厚さを考えれば、妥協するべきポイントかもしれない。
個人的には、今回の3モデルで最も気に入っているのがこのワイド型。閉じた状態のコンパクトさは、チャットアプリやSNSなどのコミュニケーションツールを使うのに適しており、コンテンツを楽しみたいシーンでは画面を開けば、本体の向きを変えることなく横に広い画角が楽しめる。折りたたみというギミックを、適した形で落とし込んだスマホだと感じられる。
ただし、本モデルは折りたたみスマホとして非常に便利な、画面を自由な角度で立ち上げる「フレックスモード」に対応していない。また、3モデル共通ではあるが、メインディスプレイのインカメラの位置や、昨年から引き続きSペンに非対応となるなど、細かく不満を感じる部分があるのも事実だろう。
■アウトディスプレイですべてのアプリが動くようになった「Galaxy Z Flip8」
縦折りタイプのGalaxy Z Flip8は、閉じると4.1インチのカバーディスプレイ、開くと6.9インチのメインディスプレイが使用できる。本体サイズは閉じた状態で約75.4×85.7×13.1mm、開くと約75.4×166.9×6.1mmで、質量は約180g。前モデルから若干薄く、軽くなっており、相変わらず胸ポケットにも収まるコンパクトさが魅力だ。
アップデートポイントとしては、カバーディスプレイのUIが刷新され、より「ホーム画面」としてのカスタマイズ性が向上した。
また、従来はカバーディスプレイで動作するアプリが限定的で、別途“カバーディスプレイで多数のアプリを動かせるようにするためのアプリ”を入れる必要があったが、これが不要となり、直接すべてのアプリが表示できるようになる。カバーディスプレイへのアプリ追加も簡略化され、より扱いやすくなった。
アウトカメラは5000万画素メイン、1200万画素超広角の2眼構成、バッテリーは4300mAhと、この辺りは前モデルから変化がない。Galaxyの折りたたみスマホとして進化を見比べると、今回のGalaxy Z Flip8はマイナーアップデートと言えるほど、進化幅が少ない印象だ。
■サムスンの折りたたみモデル史上初の“Ultra”を冠した「Galaxy Z Fold8 Ultra」
従来シリーズからの正当進化モデルでありながら、最上位モデルの証であるUltraと名付けられたのがGalaxy Z Fold8 Ultraだ。
本体サイズは閉じると約72.8×158.4×8.9mm、開くと約143.2×158.4×4.1mmで、質量は約215gとなる。前モデルが大幅に薄型軽量化しているため、今年のインパクトはやや小さめだが、今回もさらに薄く、軽くなっている点は見逃せない。
大きく変化しているのがメインディスプレイ。フレックスチタニウム技術を採用し、髪の毛の30%未満の薄さであるチタン合金フィルムと、チタンプレートの2層構造を採用し、薄さを保ちながら従来の20倍の剛性を発揮。折り目が目立ちにくい、フラットな画面を実現している。合わせて、Galaxy史上最高となる3000ニトの明るさ、フォルダブルとしては初の反射防止加工が施されている。
アウトカメラは2億画素メイン、5000万画素超広角、1000万画素望遠の3眼構成。薄さの維持や価格が上がりすぎるのを避けるためといった理由は理解できるが、Ultraを冠しながら望遠カメラが1000万画素に留まる点はやや残念だ。とはいえ、フォルダブルスマホで3眼カメラをしっかりと搭載しているのは、フラッグシップモデルならではの特徴だろう。
バッテリーも5000mAhにアップデートされており、前モデルよりも長い駆動時間に期待ができるが、同形状の他社モデルは6000mAhを搭載し始めていることもあり、物足りなさを感じるのも事実だ。
Galaxy折りたたみ3モデルの価格
3モデルの、サムスン公式オンラインショップでの販売価格は以下の通り。
・Galaxy Z Fold8
256GB:26万9880円
512GB:29万9880円
1TB:35万9880円
・Galaxy Z Flip8
256GB:19万2680円
512GB:22万2680円
・Galaxy Z Fold8 Ultra
256GB:29万6780円
512GB:32万6780円
1TB:38万6780円
メモリ価格の高騰や円安、中東情勢など、スマホの販売価格が上がる要素であふれているいま、値上げはある程度仕方のない部分でもあるが、今回の3モデルもしっかりと影響を受けていることが伺える。
3モデル展開は他社競合の色が強いか
7月下旬に発表され、8月上旬に発売となるサムスンの折りたたみスマホだが、例年通りであれば、8月中にGoogle Pixelシリーズの新モデルが発表されることとなる。また、今年はiPhoneも折りたたみスマホを出すことが既定路線とされており、フォルダブル市場は、今後一気に競争が激化していく可能性が高い。
サムスンが今回、新たな形状を含める3モデルを展開するのには、他社と異なり、折りたたみスマホの中にも選択肢を提示することで、競争力を持たせたいという狙いが強い。特にGalaxy Z Fold8は、iPhoneの折りたたみモデルに近いデザインとも言われているため、ここで真っ向勝負をしつつ、異なるニーズもしっかりと押さえる戦略だろう。8世代続けてきたフォルダブルスマホの知見をフル活用する格好だ。
個人的にやや気になるのが、ワイド型の折りたたみスマホが登場したことで、Flipタイプの立ち位置はやや難しくなったとも見れる点だ。どちらもコンパクトであるのに加え、ワイド型には、開いた時のコンテンツの見やすさという圧倒的な強みがあるが、Flipタイプは、開いても一般的な板状スマホの形状になるのみであるため、特徴を出しにくいのも事実だろう。
とはいえ、アウトカメラがカバーディスプレイ側に搭載されているため、ディスプレイをフレックスモードで立ち上げることで、アウトカメラで自撮り撮影がしやすいといったメリットもある。価格面で見ても、サムスンでは最も安価な折りたたみスマホであるため、一定の支持を集める可能性はある。今回は競争の色も強い3モデル展開だが、今後サムスンの端末ラインアップがどのように変遷していき、フォルダブル市場を押し広げていくのかという意味でも、第8世代は注目の製品となる。
取材・文/佐藤文彦
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