日経平均株価が6月に7万円の大台を超え、史上最高値となる7万2831.73円を付けました。この歴史的な高値圏を迎えた今、今後どのようなシナリオが考えられるだろうか。投資戦略をひも解いていこう。
【現状の株価】最高値から6万円台半ばへ、半導体の需給に揺れる市場
日経平均は6月22日のザラ場で史上最高値7万2831.73円を記録した。その後は1000~2000円単位で上下に激しく乱高下しながら、現在(7月16日時点)は6万6000円台で推移している。
ここまでの上昇を牽引したのは、中東情勢の沈静化と、米国のAIデータセンター新設ラッシュだ。AIサーバー向け先端半導体の需要が急増したことで半導体関連株が急騰し、日経平均を押し上げた。
しかし7月に入ると潮目が変わる。それまで市場を牽引していた半導体銘柄が一転して利益確定売りに押され、日経平均も大きく値下がった。現在の相場は、良くも悪くも半導体の需給予想に左右される展開が続いている。
【今後の行方】市場の命運を握る「3つの不確実性」
今後しばらくは主に以下の3つの要因により、相場は左右されるだろう。
(1)半導体の需給
(2)中東情勢
(3)米国金利
(1)半導体の需給動向
半導体需要が旺盛なまま価格が高止まりすれば、関連銘柄を中心に日経平均がさらに上値を追う可能性がある。
一方で、半導体高騰はスマホやパソコンなど身近な製品の値上げを招き、実体経済を冷え込ませるリスクも孕んでいる。
また、需要を見込んだ企業が一斉に工場を新設して増産に動けば、将来的な過剰供給による価格暴落(シリコンサイクル)を招く懸念も否定できない。
(2)緊張が再燃する中東情勢
2月末には中東情勢の悪化を受け、原油タンカーの要所であるホルムズ海峡が封鎖され、原油価格の高騰により日経平均が一時的に下落した。
6月に米国とイランが戦闘終結に向けた暫定合意の覚書に署名したことで一時は緊迫が和らいだかに見えたが、7月に入り米中央軍がイランを攻撃。地政学リスクが再び高まったことでホルムズ海峡の運航に不透明感が漂い、原油価格は緩やかに上昇している。
早期の全面解決は難しく、原油の不安定な状況は今後も続きそうだ。
(3)米国金利のジレンマ
コロナ禍以降、日米の市場は金融緩和による大幅な利下げによって資金を循環させ、株価を大きく押し上げてきた。
中央銀行による「利上げ」は、投資資金を収縮させ、株式市場を冷やす要因になることも。
ただし、インフレ率が高ければ消費者の生活が困窮するため、物価を抑えるための利上げは不可欠だ。市場は常にこのジレンマを注視している。
米国インフレ率推移(米国前年比消費者物価指数)
米国FF金利推移(政策金利)
特にインフレが顕著だった米国では、2022年にインフレ率が9%に達し、これを受けて米連邦準備理事会(FRB)は、2022年3月から2023年7月にかけて政策金利を5.5%まで急ピッチで利上げした。
2024年にはインフレ率が3%弱へ落ち着いたため、FRBは3回の利下げを行い、金利を3.75%まで引き下げている。
2026年に入ると、原油価格の上昇から「逆戻りの追加利上げが必要になるのでは」との観測が浮上したが、5月の消費者物価指数(CPI)が前年比4.2%上昇したものの、続く6月は3.5%上昇に留まり、急激なインフレの再燃は回避されている。
結果として、足元で早期に連続利上げが行なわれる可能性は低くなっている。
今後は以下のシナリオが想定されるが、年内は上記のプラス要因とマイナス要因に左右されながら、AとBのどちらかになる可能性が高い。
シナリオA : 7万円を超えてさらに上昇する
シナリオB : 一定の範囲で行ったり来たりする「ボックス相場」が続く
シナリオC : 高値警戒感から大きく下落する
シナリオAになれば、今から投資してもさらなる利益を期待できるが、もしシナリオCの暴落が起きた場合、史上最高値圏というあまりに高い位置からの下落となる。そのため、再び7万円台に戻るまでには長い年月を要することになるかもしれない。
【リスクヘッジ】歴史的高値圏からの下落シナリオに備える「3つの選択肢」
この高値圏において、Cの下落する可能性を考えると、保有株を一度売却して「現金化」するのもひとつの手だが、以下の3つの方法で備えておくこともできる。
(1) 債券
今国内金利が上昇し、3~5年の短期の債券でも年利回りが3%を超える国内債券が購入できる。
債券は満期まで保有すれば、発行体が倒産しない限り元本は割れないため、株式市場が大きく下落ししても安心して運用できる。
(2) 金
金は、中東情勢悪化などの危機があっても、安全資産として保有できる。
金も高値圏ではあるが、中国がドルに代わる外貨として保有を増やしており、株式市場が大きく下落しても、相関性は低いのではないかと考えられる。
運用方法は、現物への投資、投資信託などがあり、投資信託での運用なら、NISAで投資できる。
(3) 日経平均ベア、インバース
日経平均ベアまたはインバースは、上場投資信託(ETF)として上場しており、株式のように取引できる。
日経平均が予想に反して上昇した場合は大きな損失を被るほか、商品の特性上、長期間保有すると日経平均の実際の変動率から徐々にパフォーマンスが下振れしていくため、長期保有には向かない。ETFではあるが、長期運用に適さないため、NISAは適用外である。
【まとめ】先行き不透明な時代だからこそ、今できる適切な対処を
今後どのように動くのか確実に予想することはできないが、どのようなシナリオとなっても安定的に資産を運用できるように、今のうちに検討しておこう。
文/大堀貴子
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