土用の丑の日といえば、うなぎ。夏の暑さを乗り切るために、滋養豊富なうなぎを食べるという風習は江戸時代に始まり、令和の現代にも受け継がれている。
今年は7月26日がその日にあたり、スーパーの売り場には、パック詰めのうなぎの蒲焼が並び始めた。ご存知のとおり、漁獲量の減少や物価高などが影響して安くはない。もはや、高級魚の扱いと言ってもいいだろう。
そんな現状を反映してか、近年見かけるようになったのが、うなぎの蒲焼に似せた加工食品。安価な魚肉のすり身などを原料に使い、うなぎの蒲焼らしく仕上げたものである。
では、風味はどうなのだろうか? 興味がわいて、4製品を実食した。
見た目・味ともに完成度の高い「うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック」
カニ風味かまぼこ「サラダスティック」で知られる一正蒲鉾(株)が手がけた商品で、今年で発売10年のロングセラー。これを節目にリニューアルし、よりジューシーな食感を目指したという。
主な原料は、日本産の「魚肉」のすり身。魚種は書かれていないが、もちろんうなぎは含まれていない。約55gの蒲焼風が2切れに、たれと山椒がついている。基本の調理法は、電子レンジで加熱(500W=1分)し、添付のたれと山椒をかける。
写真のとおり、うなぎの蒲焼によく似ている。裏返すと、“皮”にも焼き目がついていて開発者のこだわりが見て取れる。
味はどうか? 「これは実はうなぎではない」という先入観が邪魔するが、それでもうなぎの蒲焼に割と近い風味でうれしい。たれの風味も、本物の蒲焼で使われているものに近い。ノーヒントで他の人に食べさせると、おそらくうなぎではないことはバレるが、「これはこれであり」だと、おいしく食べてもらえると思う。見た目・味ともにかなり頑張っているので、文句なしの合格点を上げたい。
魚肉は一切使わずに開発された「ヴィーガンデリ うなぎの蒲焼き風(たれ付き)」
菜食の総合プロデュース業などを営む(株)かるなぁが、7月1日に発売した新商品。新ブランド「ヴィーガンデリシリーズ」第一弾とのことで、動物性食品不使用が特徴となっている。2切れとたれが付いて780円。冷凍食品なので、解凍してから温めて食べる。
見た感じは、どことなく蒲焼感があるが、はっきり別物だとわかる。実際の主原料は、国産大豆から作った豆腐と湯葉、たれは砂糖と醤油、黒い皮は海苔である。
メーカーによれば、「どれだけ本物のうなぎに近づけるか」ではなく、豆腐と湯葉という素材から生み出せる新しいおいしさを追求したとのこと。外見でなく中身で勝負というわけだ。
食べてみると、適度なやわらかさとクセのない淡泊な味わいが口の中に広がる。もちろん磯臭さは皆無。あくまでもうなぎの蒲焼「風」なのだが、精進料理に出てくる副菜といった趣がある。ヴィーガンやベジタリアンの料理に興味があれば、いつもの食事に加えてみると面白いだろう。
プラントベースでうなぎの風味を追求した「日清謎うなぎ丼」
日清食品が7月14日に発売した、この時期限定の即席カップライス。昨年は地域を限っての販売であったが、「まるで “うなぎ丼” を食べているみたい」といった賛辞が多かったそうで、今年は全国発売となった。
発売翌日に近辺の店を見て回ったが、セブンイレブンでたくさん棚売りしているのを発見。さっそく購入した。
ところで、いったい何が「謎」なのか? カップには、「うなぎの風味を追求」「うなぎ不使用」と表記されていて、「謎」の秘密はここに隠されている。実は、大豆たん白を原料に、うなぎの蒲焼きに似せた具材が使用されているのだ。公式サイトには、昨年バージョンと比べ、「大豆たん白が持つ独特な香りを抑えることで、より “うなぎ” の味わいに近づきました」とある。他の原料はほぼ国産米で、ふたにはしょうゆをベースにした、たれの袋が乗っている。
作り方は、熱湯をカップの半分ほどまで入れて5分待ち、たれを加えてかき混ぜるだけ。
水分多めで「丼」というより「雑炊」にやや近い。コロコロとした”うなぎ”は意外と小さい。忌憚ない意見を言ってしまうと、小ささゆえか、「まさにうなぎ!」と言えるほどの風味は感じられなかった。あくまで一個人の味覚の印象にすぎないものの、この具材をもっと大きくしてもよかったのではと思う。
また、(いかにも日清食品らしい)濃い味付けと甘辛のたれが、カップライスの味全体を支配しており、ここはもう少し抑えてもよかったと感じる。ライスはおいしいので完食したが、398円という価格もあり、ちょっと期待しすぎたようだ。
名産地のうなぎが使われた「鹿児島産うなぎソーセージ」
今回取り上げたなかで唯一、本物のうなぎが含まれている食品で、鹿児島産のうなぎが2.9%配合と書かれている。魚肉ソーセージのトップブランドであるUmios製で、1本65gが3本セットで販売。378円(編集部調べ)で、1本あたり126円とリーズナブル感がある。
主原料は、たちうお、たら、ままかり(さっぱ)、そしてうなぎなどの魚肉。ままかりは初耳だが、ニシン科の小魚である。また、結着材料として小麦・大豆のたんぱく質が使われている。「うなぎのたれ」も少量含まれており、あらためてたれをつけなくても、そのまま食べられるようだ。
食べてみると、従来の魚肉ソーセージらしからぬ濃厚さと弾力があり、魚の風味がよく感じられる。旨味と甘味がミックスしたたれも、ほどよい隠し味となっている。さすがにうなぎの蒲焼には代われないが、酒のつまみや汁物料理の具材にすれば、ぴったりハマるように思った。
文/鈴木拓也
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