ボルボのフラッグシップBEVモデル(電気自動車)のEX90がいよいよ日本の道を走り始めた。
「より安全に」、「より快適に、より直感的に」、「そして、環境への配慮を両立する」という3つのコンセプトを柱に、キーテクノロジーとしてSPA2プラットフォーム/800Vテクノロジー、Hugin Coreコンピューター、新世代のセンサー技術を伴い、ボルボの新時代を切り開く、真にプレミアムな3列シート、7人乗りのラージサイズBEVとしてデビューすることになったのだ。つまり、PHEVを揃えるXC90のBEV版ということになる。
ボルボEX90を実車解説!
そのハイライトのひとつが、最先端の安全技術、事故を軽減するだけではなく、未然に防ぐ設計”Safe Space Technology”による、従来の世界トップレベルの安全性能にインテリジェンスを融合したことだ。
ここで注目すべき”Safe Space Technology”について説明すると、車内ではドライバーの状況を把握して理解する先進の「ドライバー・アンダスタンディング・システム」を標準装備。2台のドライバーモニタリングセンサーがドライバーの視線の動きを、ステアリングホイールの静電容量センサーがステアリング操作などを検知し、独自に開発したアルゴリズムにより解析することで、注意力散漫や眠気などの状態を把握し、必要に応じ適切なサポートを行うものだ。サポートはソフトな警告から始まり、その後は徐々に強く警告を発する。万が一、ドライバーが警告に反応しない場合は安全に停止し、緊急通報を発報するという流れになる。
それ以上に注目したいのが、車内を見守り、車内に誰も取り残されることがないようサポートしてくれる世界初のシステム、「オキュパント・センシング(乗員検知システム)」の搭載だ。オーバーヘッドコンソール、天井のリーディングランプ、荷室に内蔵された60GHzのレーダーセンサーを使用し、ラゲッジスペースを含む車内全域をカバー。寝ている小さな子どもの呼吸による胸の動きのような、サブミリメートル(1mm未満)のわずかな動きまで検知し、独自のアルゴリズムにより人やペットなのかどうかを判断。センサーが車内の置き去りを検知すると、車のロックをできないようにし、車載ディスプレイやアプリ等にリマインダーが表示。さらに、人やペットが車内にいることを検知した場合、車の空調システムを作動させ、熱射病や低体温症のリスク低減にも役立ってくれるのだ。最先端技術の力により、ドライバーがベストな状態でないときでも(うっかり)、大切な家族やペットの置き去り事故の防止をサポートしてくれるというわけだ。
モデルラインナップはすべて電子制御4WDシステム=AWD。ベースグレードのPlus Twin Motor、中間グレードのEX90 Ultra Twin Motor、最上級グレードのEX90 Ultra Twin Motor Performanceが揃う。
堂々たる新しいフラッシュサーフェスデザインにクローズドフロントフェイス、フラッシュドアハンドルや空力最適化スポイラーなどを用いたCD値0.29を誇るプレミアムで洗練されたSUVスタイルのエクステリアのサイズはEX90 Ultra Twin MotorとEX90 Ultra Twin Motor Performance が全長5035×全幅1965×全高1740mm。ホイールベース2985mm。車P両重量2710kg。最低地上高210mm。最小回転半径5.9m。Plus Twin Motorは全長5035×全幅1965×全高1745mm。ホイールベース2985mm。車両重量2680kg。最低地上高215mm。最小回転半径5.9mとなる。
エクステリアのハイライトは数多くあるのだが、中でもパカッと開くハイディフィニッション・ピクセルヘッドライトはチップの解像度が1.3メガピクセルのモジュールで、周囲の状況に応じて光のパターンをほぼ無限に調整可能。最大5台の車両と3つの物体を同時に自動で減光でき、眩惑(まぶしさ)を防ぎ、快適性と安全性を両立してくれるのだ。
駆動用バッテリーは総電圧718V。総電力量106kWh。Plus Twin MotorとEX90 Ultra Twin Motorは最高出力F:177ps、27.0kg-m。R:279ps、41.3kg-m。もっとも強力なUltra Twin Motor PerformanceはF:299ps、39.8kg-m、R:381ps、48.9kg-mというシステム出力680ps、88.7kg-mを発揮。0-100km/h4.2秒というスポーツカーに匹敵するパフォーマンスの持ち主となる。
そうした車重、モーターパワー&トルクを支える足元は、F:ダブルウィッシュボーン、R:インテグラルリンクのサスペンションを採用。タイヤはPlus Twin MotorがF:255/50R20、R:285/45R20、Ultra Twin MotorがF:265/45R21、R:295/40R21、Ultra Twin Motor PerformanceになるとF:265/40R22、R:295/35R22という逞しいサイズとなる。
充電はAC200Vの普通充電と150kW対応のCHAdeMOの急速充電に対応。気になる一充電走行距離は650km(WLTCモード)とされている。
持続可能性に強く取組むEX90のスカンジナビアンデザインが生み出すインテリアは3列7人乗りのゆとりある上質極まるプライベートラウンジを思わせる室内空間を備えるとともに、ボルボ独自のバイオ素材に由来する「ノルディコ」のほか、責任ある方法で調達された天然素材やリサイクル素材を使用。FSC™認証を受けたウッドパネルは太陽光スペクトルLEDライトを採用したインテリアライトとの組み合わせで心地よい雰囲気を演出する。
メーター、インフォテイメントも新鮮だ。ステアリング越しに見るメーターは9インチの高精細ドライバーディスプレイを採用。それと連携するのがヘッドアップディスプレイとボルボ最大級の14.5インチとなるセンターディスプレイでGoogleを標準搭載。必要な情報を適切なタイミングで表示することで、複雑さをシンプルに変え、快適なユーザーエクスペリエンスを実現しているのが大きな特徴だ。
EX90はボルボの新しい「SPA2アーキテクチャー」を採用するとともに、ボルボ独自のハードウェアとソフトウェアの統合型技術基盤「スーパーセット・テックスタック(Superset tech stack)」に基づいて開発された、ボルボ初のソフトウェア・デファインド・カー(SDV)でもある。ボルボ・カーズの独自開発技術と、NVIDIA、Qualcomm Technologies、Googleなどのテクノロジーリーダーの優れたサービスや技術を融合した、「Hugin Core」と呼ばれる次世代コアコンピューティングシステムを搭載。安全システムや駆動システム、インフォテインメントからバッテリー管理まで、車両のすべての機能を統合して制御。高性能なコアコンピューティングシステムが、車両の中核機能を統合的に制御することで、安全性能をさらに高め、インフォテインメントの応答性・操作性の向上も実現。より安全で快適かつシームレスなドライブ体験を提供してくれることになる。※Googleは5年間無料。
具体的には、システムに採用されているDRIVE AGX Orinは、NVIDIAのインテリジェントカー用コアコンピュータで、さまざまな車内の重要なシステムやプロセスを超高速で統合し、制御。254TOPS(毎秒約254兆回の演算)という高レベルの演算能力を持ち、AIベースの最先端のアクティブセーフティ機能、車両センサー、効率的なバッテリーマネージメントなどの機能を管理。また、インフォテイメントシステムに採用されたQualcomm Technologies のSnapdragon® Cockpit Platformsは、高速な処理性能と高品質なグラフィックスにより、車載ディスプレイやヘッドアップディスプレイに優れた操作性と視認性を提供してくれるのだ。しかも、EX90は、定期的なOTA(無線アップデート)によって、安全性や車両性能、ユーザーエクスペリエンスなどを継続的に向上させ、時と共に進化しつづけるよう設計されているのだから心強く、新車時から何年たっても最新のEX90として乗り続けることが可能になるわけだ。
EX90はフルエレクトリックのSUVであり、家族や仲間を乗せ、ドライブ旅行やアウトドアに出かけるのにぴったりの1台。ゆえにラゲッジルームの使い勝手も気になるところ。容量は697L(リア)と広大で、フロントのボンネット下にも200V用充電コードなどをしまえるスペースがあるから便利だ。
もちろん、先進安全機能もボルボ最新、最強のものが全グレードに分け隔てなく搭載されている。すべてを紹介すると大変なことになるので、その一部を紹介すると、歩行者・サイクリスト・大型動物検知機能(夜間含む)、インターセクション・サポート(右折時対向車、直進時側方接近車両検知機能)、対向車対応機能、オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)、ドライバー・アンダスタンディング・システム(視線追跡、ステアリング操作検知機能付)、リア衝突回避・被害軽減ブレーキシステム、ドア・オープニング・アラートなど盛りだくさん。運転支援機能にしても、パイロット・アシスト(車線維持支援機能)、 全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、ステアリング・アシスト付BLIS™(後車衝突回避支援機能付ブラインドスポット・インフォメーション・システム)などは当然として、レーンチェンジ・アシスト(車線変更支援機能)、新機能のカーブスピード・アシスト(カーブ速度抑制機能)、エマージェンシーストップ・アシスト(ドライバー異常時対応機能)、速度制限連動機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ機能付CTA(クロス・トラフィック・アラート)、被追突時警告機能(静止時ブレーキ維持機能付)、3Dビュー機能付360°カメラなど、考えうるあらゆる機能が盛り込まれているから安心・安全だ。
そうした安心・安全を快適面で支える室内装備もすこぶる充実。エアコンはなんと4ゾーンフルオートエアコンディショナー。フロントシート・ベンチレーションやリフレッシュ機能(もみ玉によるマッサージ機能)、PM2.5センサー付きエアピュリファイアーなども用意されている。
デジタルキーにしても、小さなデジタルキープラスとNFCアクセスカードキー×2が付属。もちろん、アプリによるスマートフォンでの操作も可能となる。
と、ボルボの新しいフラッグシップとなる、最新のボルボの価値がすべて詰まっているEX90だが、実は、XC90のPHEVモデル(XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid 1294万円)と変わらない、日本独自の戦略的価格が実現されている点も注目に値する。なお、EX90/ES90デビューパッケージとして「ES90 / EX90Exclusive Package」が用意され、公共充電料金5年無料の特典付きであることも見逃せない。
そんなボルボEX90の初ドライブ試乗は、南青山のボルボスタジオから日光・中禅寺湖間、約380kmを往復。その驚愕の快適性、静粛性、快適を支える走行性能、安全性能、プレミアムオーディオ、パッケージ、そして何といっても、真夏の東北自動車道120km/h区間と山道のいろは坂を走破した、これまた驚きの電費性能については、改めて報告させていただきたい。
また、同時に発売されたボルボのフルエレクトリック・フラッグシップ・サルーンとなるES90についても、紹介、試乗記をお届けする機会がありそうだ。
文/青山尚暉
高性能スポーツカー並みの加速力!ボルボのコンパクトBEV「EX30 Ultra Twin Motor Perfomance」の実力検証
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