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この夏、注目!石ノ森章太郎ふるさと記念館の特別企画「高橋よしひろ 銀牙 -流れ星 銀- の世界」展

2026.07.18

「仮面ライダー」、「サイボーグ009」、「さるとびエッちゃん」、「佐武と市捕物控」、「HOTEL」、「マンガ日本経済入門」など、広いジャンルの作品を生み出してきた「萬画の王様」こと石ノ森章太郎氏(1938~1998年)の記念館が、宮城県登米市にある。

今夏、この石ノ森章太郎ふるさと記念館では、企画展として高橋よしひろ作画の「銀牙」特別展が開催されているので、ぜひ親子で漫画の世界を堪能してみて欲しい。「仮面ライダー」に心を躍らせた大人から、作品を読んだことのない子どもまで、忘れられない思い出となるはず。ビジネスパーソンにとっては、日本を代表する偉大なクリエイターの発想の源流に触れて、想像力が養われるだろう。

登米の自然を堪能できる記念館

石ノ森章太郎氏は、1938年、宮城県登米郡石森町(現在の登米市)で誕生した。ふるさと記念館近くには宮城県立佐沼高等学校を卒業後、上京するまで過ごした生家が残されている。石ノ森章太郎ふるさと記念館は、日本が生んだ偉大なクリエイターであった石ノ森章太郎氏を顕彰するとともに、漫画を活用した生涯学習の推進を目指して設立された記念館で、「過去と未来を繋ぐ、私たちの遺伝子である」を建築の基本コンセプトとして2000年にオープンした。

蔵造りのような外観を入ると、水が流れる庭園があり、記念館入り口までの間にも豊かな自然を堪能できるようになっている。石ノ森章太郎氏は生涯多くの作品を残しているが、生まれ育った地域の風土や、自然とのふれあいが感性を醸成し、作品に色濃く影響されていると言われている。ページを開いた瞬間から、読む人を強く引き付ける作風にも通じるようなエントランスに仕上がっている。

記念館の外壁の中には小さなガラスの中に「仮面ライダー」や「サイボーグ009」のミニチュアが飾られていて、館内に入る前から石ノ森章太郎ワールドに自然に入り込める仕掛けになっている。期待を膨らませながら館内入り口に入ると、正面にもたくさんのドールやフィギュアが迎えてくれて、その数と多彩なキャラクターに圧倒されるだろう。

企画展では原画に触れ、犬について学ぶ場に

館内入り口から右手側が常設展で、左手側に企画展の展示会場となっている。現在、開催されている第74回特別企画展は、『高橋よしひろ 銀牙ー流れ星 銀ーの世界』展。高橋よしひろ氏と石ノ森章太郎氏は、同じ東北の出身だった。

現在は高橋よしひろ氏の代表作のひとつ「銀牙―流れ星 銀―」の原画と、犬と人の歴史を学ぶパネルが展示されている。

高橋よしひろ著、「銀牙―流れ星 銀―」は、週刊少年ジャンプ(集英社刊)で1983~1987年に連載された傑作動物漫画で、コミックスの累計発行部数は1000万部を超え、テレビアニメが製作され、国内だけでなく米国、韓国、ハンガリー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドで放送されてきた。特にノルウェーなど北欧3か国では大人気となり、フィンランドではムーミンと並ぶ人気を集め、ミュージカルも作られた。

この作品が国境を越え、世代を超えても、なぜこれほど多くの人々の心を掴んだのか、展示では高橋よしひろ氏が作品を通して伝えてくれた「人と犬との絆」を軸に、作品の魅力を深堀りすることができる。

作品の深堀りと同時に、日本人が犬とどのようにかかわってきたのか、主人公の銀はマタギ犬だが、マタギとマタギ犬の深い絆や、マタギの減少で増えた熊被害などについても紹介されている。子どもの夏休みの自由研究にも役立ちそうだ。

特に名場面の展示&大型出力は圧巻で、原画は犬の毛を一本ずつ描いていたり、コマ割りの迫力なども見て取れる。下描きの原稿などは、実際に制作に使用しているものを展示しており、読んだことのある人はシーンを思い出して感動するはず。

宿敵赤カブトを模した大きな熊のぬいぐるみは大人気で、子どもたちがたくさん集まっていた。作品に登場する犬たちの人気投票もあり、シールを貼ってひいきの犬を推せるのも楽しい。単に見るだけでなく、触ったり、シールを貼るなど、随所に参加できるような工夫があるため、子どもも飽きずに楽しめる。7月20日には高橋よしひろ氏のサイン会も予定されている。

常設展で偉大なクリエイターの創造の現場を見る

常設展では、石ノ森章太郎氏の作品である「仮面ライダー」や「サイボーグ009」などの原画のほか、実際に使っていた愛用品や若き日に仲間と過ごした「トキワ荘」の部屋を完全再現している。

一風変わった展示となっているのは、床下展示と年表で、活躍を年代順に紹介した年表風の床下展示がとてもユニーク。また、「ビデオシアター」では、故郷・中田町への思いをキャラクターを交えて描いたオリジナルアニメ「小川のメダカ」が上映されていた。

見どころの一つは青春を過ごしたトキワ荘の部屋を再現した展示。ちらばった紙やペンなどがリアルに再現されていて、小さな机から大きな世界を描き切った石ノ森章太郎氏の豊かな想像力に圧倒される。ものを生み出す現場に触れて、明日の仕事の背中を押してくれそうな気がする展示だった。

ファンの「聖地」石ノ森章太郎氏の生家

記念館に行ったら、徒歩2~3分の場所にある石ノ森章太郎氏の生家もぜひ訪れたい。入り口は専売品を販売していた店舗だった跡があり、2階には石ノ森氏が高校時代まで過ごした部屋が残されている。

「ここで手塚治虫氏にファンレターを書き、返事がきて大喜びしていたのか」、とか、「この畳の部屋で、病弱の姉のために絵を描いて外の様子を伝えていたのか」など、思いを馳せることができる。ファンにとってはたまらない聖地だった。

記念館周辺には神社や、通っていた小学校などがあり、美しい田園風景を眺めながら散策するには最高のロケーションとなっている。東京からだと仙台駅から車で約1時間半ほど。ぜひ夏休みを利用して、東北を旅してみては?

石ノ森章太郎ふるさと記念館

文/柿川鮎子

Author
明治大学政経学部卒業後、経済系新聞社で自動車、ISOなどの担当記者に。退社後5年間、動物病院に勤務した経験から、飼い主さんの気持ちに寄り添ったペット記事を執筆中。 得意なテーマは 1)生産性向上などのマネジメント関連と、 2)犬猫やエキゾチックを含 めた飼育動物全般、の2つ。 作家として小説「犬にまたたび猫に骨」(講談社刊)、「極楽お不妊物語」(河出書房新社)を発刊。ノンフィクションでは小学館刊「全国から飼い 主が駆けつける!犬の名医さん100人データブック」、文春新書「動物病院119番」、ほか多数。趣味は野鳥観察、現在、2羽のオカメインコを溺愛中。

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