2023年7月に日本へ参入して以来、急速に利用者数を伸ばしているECプラットフォーム「Temu」。2022年にアメリカで誕生した同サービスは、現在、世界90以上の市場で“激安ECサイト・アプリ”としてその名を馳せている。
しかし、Temuの本当の強みは「安さ」だけではない。
従来のショッピングモール型サイトとは一線を画す、独自の“新鮮な購入体験”がユーザーを惹きつけているのだ。単なるお得な買い物に留まらない、Temuの具体的な特徴や楽しみ方に迫る。
新しい商品との出会いを生み出すレコメンド機能
Instagramを開くと、「#Temu購入品紹介」「#可愛すぎるTemu」といったハッシュタグと共に、数多くの投稿がタイムラインを賑わせている。日本でも、サイト内で思わぬ「掘り出し物」を見つけて楽しむユーザーが確実に増えている印象だ。
Temuには700以上の商品カテゴリーがあり、アパレルからコスメ、雑貨、家具、アクセサリー、電化製品、食品、書籍&メディアまで幅広い。
早速訪れてみると、どこのカテゴリーから見るべきか迷う。
トップページにランダムに現れる商品のうち、スティック掃除機の商品をクリックすると、家電以外のアイテムもレコメンドで出てくるのに気づいた。
スティック掃除機を買おうとしているユーザーにとって気になるものがピックアップされるのだろうか。
空気清浄機、冷風機、調理器具、フロアチェアなど生活に役立つアイテムが目白押し。思わず興味を引かれ、出てくる商品に見入ってしまう。いずれにしても感性や欲求が刺激される。
昨年、国際的な市場調査会社「Ipsos(イプソス)」が実施した調査によると、Temuユーザーの47%が「ユニークで興味深い商品が見つかる」と回答し、46%が「幅広い商品ラインナップにより探している商品が見つかる」と回答。
さらに興味深いのは、22%のユーザーが「新しい趣味を始めるきっかけになった」と回答している点だ。単なる消費の場ではなく、さまざまな商品との偶然の出会いが、ユーザーの新しい関心や体験を引き出すトリガーになっていることが統計からも窺える。
日本の食品セラーの販路拡大を支援
Temuは、2026年7月で日本上陸3周年を迎えた。これまで海外セラーの印象が強かった同プラットフォームだが、2025年5月以降は「Local Seller Program(ローカルセラープログラム)」を本格始動。日本のローカルセラーが続々と参加し、新たな顧客層へのリーチや販路拡大の支援を受けるケースが急増している。
その成功事例は、すでに全国へ広がりつつある。
例えば、山形県産の米や果物、加工食品を販売する「JAてんどうフーズ」は、同プログラムによる支援を受けた結果、参入からわずか2か月で、自社が展開する全ECチャネルの中で「最も早い成長スピード」を記録したという。
また、熊本県の卸売事業者は「規格外のみかん」をTemuに出品したところ、参入からわずか3か月で月間6,000万円という過去最高の売上を達成。この爆発的なヒットを契機に、農地の賃借や生産拡大といった新たな投資を開始しただけでなく、地域で30名以上の障がい者雇用を創出することにも繋がったというから驚きだ。
消費者の関心に基づいて商品が表示される仕組みにより、広告費に大きく依存することなく顧客獲得が可能。この仕組みを通じて、Temuは消費者とセラー双方に価値を提供するエコシステムの構築を目指しているという。
知的財産保護および商品コンプライアンスへの取り組み
Temuは、知的財産保護にも力を入れている。その仕組みとして、セラーのオンボーディングから商品登録審査、継続的なマーケットプレイス監視まで、セラーや商品のライフサイクル全体をカバーしているという。
監視データベースには、現在4,700万枚以上の画像と950万以上のキーワードが登録されており、15,000以上のブランドの知的財産保護を行なっているそうだ。
商品コンプライアンスや品質管理の分野では、事前審査、継続的モニタリング、是正措置、そして消費者や関連当局からのフィードバックを組み合わせた多層的なガバナンス体制を構築。
自動化と人的審査を組み合わせることで、潜在的リスクの早期発見と迅速かつ適切な対応の強化を目指しているという。
長期的なビジョン
Temuが掲げる長期的なビジョンは、「高品質で信頼性があり、かつ手頃な価格の商品をより多くの消費者に届けると同時に、規模の大小を問わずすべてのセラーの成長を支援すること」だ。
特に日本市場においては、今後さらにローカルに根ざした取り組みを強化していく方針だという。これは単に「安くて良いものが買える」という消費者側のメリットに留まらない。
日本の中小企業や地方の生産者が、デジタル時代における新たな成長機会を掴み取るための「プラットフォーム」としての役割も期待されている。
今後は、さらに安心できる基盤を作り、日本のユーザーにとって楽しいショッピング体験を提供してくれることに期待したい。
文/石原亜香利
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