1957年、新潟県で設立した『亀田製菓』は、「亀田の柿の種」「ソフトサラダ」「ぽたぽた焼」「こつぶっこ」「ハイハイン」「技のこだ割り」など。数々のヒットを世に送り出す米菓メーカーである。
その代表作の一つであり、「亀田の柿の種」に次ぐ売り上げ2位を誇る「ハッピーターン」が、2026年で50周年を迎えたことをご存知だろうか?
からあげクンにLチキ、シュガートーストまで?
筆者がハッピーターン50周年を認識したのは、2026年5月、自宅最寄りの『LAWSON(ローソン)』である。朝食のパンを買おうと商品棚を眺めていたら、「シュガートースト ハッピーターン味」(税込200円)なるものを発見。2026年5月19日に発売された、50周年を記念したコラボレーション商品だという。

筆者は自宅にハッピーターンを常備しているフリークである。お味やいかに?ひと口頬張ると、おぉ、砂糖と塩気のバランスが、確かにハッピーターンを感じさせる。
節目だから、ほかにもさまざまな企画が用意されていると踏んだ筆者。

調べると、「亀田の柿の種」とハッピーターンでのコラボレーションの他、『マクドナルド』のシャカシャカポテトや『TOHOシネマズ』のポップコーンなどにもハッピーターン味が登場。さらに、東京〜神奈川間を走る『京急電鉄』のラッピングトレインに、広瀬香美さんの歌声を起用したCMなど、お菓子という枠に止まらない特別企画がぞくぞくと繰り広げられている。
ロングセラーの座に甘んじず、攻めているなあ!
だがしかし、失礼を承知で言うと、これらの企画は一見まとまりがないようにも感じられる。うーん、ハッピーターンは、どこに向かおうとしているんだ?
ハッピーをターン
答えは「ハッピーターンという名前と、その原点にある」というのは、『亀田製菓』マーケティング戦略部 ハッピーターンブランド担当マネージャーであり、50周年企画の仕掛け人である歴舎直輝(れきしゃ なおき)さんだ。
そこで歴舎さんに、ハッピーターンの原点から伺った。

ハッピーターンが誕生した1976年は、オイルショックにロッキード事件など、暗いニュースが続き、高度経済成長期にも陰りが見えた頃。日本全体に少し元気がなかった。
「そんな時代だからこそ、幸せ(ハッピー)がお客様に戻って来る(ターン)ようにという意味を込めて発売されました」(以下「」内、全て歴舎 直輝さん)

当時、せんべいといえば醤油味や塩味が王道である。せんべい=お茶請けというイメージが強かったそうだ。
「ハッピーターンは、女性やお子さまにも明るくたのしんでいただける、これまでにないせんべいを目指しました。そこで、味付けは洋風のあまじょっぱい味わいにして、形も従来とはちがう楕円型の食べやすいサイズに。包装は、かわいらしいキャンディ状で、親しい人たちに配りやすくしたと聞いています」

粉(ハッピーパウダー)で味付けをするという新しさもあり、当時としては斬新な商品だった。満を持して発売したものの、売れ行きは芳しくなかったという。
「まず、『ハッピーターン』という名前から味の想像がまったくつかないこと。また、独特のあまじょっぱさが、醤油味や塩味のしょっぱいせんべいに慣れたお客様に浸透しませんでした。それが雛あられなど、甘い米菓を食べる文化が根付いていた関西圏から徐々に火がついていったんです」

やがて「亀田の柿の種」に次ぐ『亀田製菓』の看板商品に。その後の躍進は、言わずもがなであろう。

「ありがたいことに、いまでは40〜50代の女性を中心にお子様や若い方にもお召し上がりいただき、50周年を迎えることができました。これからも美味しさを追求する手は緩めずに、次の100周年に向けては、お客様にハッピーな体験を生み出していくブランドを目指したいと考えています。
というのもまず、名前に〝ハッピー〟とついているお菓子って、日本中を見渡してもほとんどないように思うんです。しかも味とは関係のない、ハッピーをターンしたいという想いでつけられた名前で、50年もご愛顧いただいていることが、いちばんの独自性。
それからカテゴリーエントリーポイントといって、商品を購入する時にお客様がイメージするシーンがあるのですが、たとえば『亀田の柿の種』ならお酒のおつまみ、『技のこだ割り』なら濃厚な味わいを食べたい時、といった具合です。それがハッピーターンの場合は、贅沢な気持ちになりたい時、ご褒美タイム、お茶請け、小腹を満たしたい時、ストレス発散など、いろいろなイメージで手に取られることが多い。つまり、ハッピーターンを日常のさまざまなシーンに登場させることが、好きになったり手に取ったりするきっかけになると考えています。

そこで50周年企画は、お菓子売り場を飛び出しました。コンビニでランチに唐揚げを買ったら、ハッピーターン味で気分転換になった。出勤の時にラッピングトレインを見かけたことで、今日は何かいいことがありそうと思えた。広瀬香美さんのパワフルな歌声に元気をもらった。そういう、日常のふとした瞬間に転がる体験価値を重視して企画したんです。
ですから次なる100周年に向けては、大げさかもしれませんが、モノとしてのブランドだけではなく、あらゆる瞬間にハッピーがターンするコトブランドになってゆきたいと考えています」

なるほど。一見まとまりがないなどとは、大変失礼しました。ハッピーターンはこれからも、お菓子としての美味しさはもちろん、しあわせな記憶をわれわれに届けるべく、ハッピーをターンし続けるのだ。
なぜハッピーな中毒性があるのか
ハッピーターンの行く末がわかったところで、ハッピーターンを愛する筆者は素朴な疑問をぶつけてみた。
ハッピーターンといえば、あの粉(ハッピーパウダー)!ハッピーになれたり中毒になったりする〝あまじょっぱい〟味わいは、いかにして生まれたのか?

粉をしっかりまぶすため、せんべいの表面にパウダーポケットなる溝をつけたり、2019年からはハッピーオイルというコク旨オイルとともに粉がまぶされたりしていることは、ファンの多くが知るところ。しかし粉そのものについては、あまり言及されていないような……。

「すみません。ハッピーパウダーのレシピは門外不出で、社内でも限られた人しか知らないんです。
「ただ、これはあくまでも私の仮説ですが……おせんべいはお米が原料なので、噛み締めるとお米の旨みや香りが口の中に広がります。その風味と、単純に甘いだけとかチーズだけとか、シンプルな洋風の味付けはなじまないんです。ですからきっと、お米の風味に合う絶妙なバランスを追求したのだと思います。
だから実は、ハッピーパウダーは単体で舐めても〝とまらないおいしさ〟じゃないんですよ。おせんべいのお米の風味と合わさって、初めて〝とまらないおいしさ〟になるんです」

ははぁ〜。ハッピーパウダーの中毒性は、お米の風味ありきだったとは!そりゃ個包装なのに食べる手が止まらないわけだ。しかも歴舎さんによると、あの味は完成形ではなく、時代ごとにブラッシュアップされ続けているというから頭がさがる。

50周年企画も折り返し!引き続き、乞うご期待
現在は夏にぴったりの『71g ハッピーターン 辛いって幸せ』『35g ハッピーターン 激辛って幸せ』などの期間限定フレーバーも登場し、ノリにノっているハッピーターン。
今後の50周年企画については、順次発表されるという。われわれをどんなハッピーに巻き込んでくれるのか?乞うご期待!

取材・文/ニイミユカ




DIME MAGAZINE













