無印良品を展開する良品計画は、「暮らしに、いい音。」をコンセプトにしたオーディオデバイス5機種8製品を7月15日から発売する。ラインアップはワイヤレスヘッドホン、カナル型とインナーイヤー型の完全ワイヤレスイヤホン、そして2種類のBluetoothスピーカー。いずれも重低音を過度に強調することなく、長時間でも聴き疲れしにくい自然なサウンドを目指したという。
今回の発表会では、それぞれの製品を実際に試聴する機会が設けられた。価格を抑えながらも音質や使い勝手へのこだわりが感じられ、単なる生活雑貨ではなく、オーディオメーカー出身エンジニアのノウハウを投入した本格的な製品に仕上がっていた。
「録音された音を誠実に再現する」ことを目指した音作り
良品計画で製品開発を担当した矢野健氏は、「低音だけを無理に持ち上げるのではなく、中低域から高域までのバランスを整え、それぞれの音の輪郭を聞き分けられるチューニングを重視した」と説明する。
ベースとバスドラムが混ざってしまわないよう周波数特性を細かく調整し、ボーカルや楽器の定位まで感じられる音場表現を目指したという。開発では無響室で測定を繰り返し、オーディオメーカーでスピーカー設計を経験したエンジニアとともにチューニングを行なったという。
ループ付きモバイルスピーカーは価格を超えた完成度
最も印象に残ったのが「ワイヤレス モバイルスピーカー ループ付」だ。
ループを備えたコンパクトなBluetoothスピーカーで、デスクやキッチンはもちろん、ベランダやアウトドアにも気軽に持ち出せる。背面にはパッシブラジエーターを搭載し、低域の再現力を高めながら、2台接続によるTWSステレオ再生にも対応する。IPX5相当の防水性能も備える。
実際に試聴すると、パッシブラジエーター搭載機によくある「低音を強調し過ぎた音作り」とは一線を画していた。低域は十分な厚みを確保しながらも膨らみ過ぎず、中高域の輪郭が非常に明瞭だ。ボーカルの存在感やギターのアタック感がしっかり伝わり、小型スピーカーとは思えない見通しの良さを実現している。
価格を考えると完成度は非常に高く、もう1台購入してステレオ再生を楽しみたくなる製品だった。2台でも導入しやすい価格設定は、この製品ならではの魅力といえる。
空間全体に音を広げるコンパクトスピーカー
もう一つの「ワイヤレスコンパクトスピーカー」は、上向きにユニットを配置したユニークな設計を採用。音が天井方向へ放射されるため、部屋全体へ自然に音が広がるのが特徴だ。
矢野氏によれば、人の声が聞き取りやすい帯域を重視してチューニングしており、音楽だけでなくWeb会議やポッドキャスト、朗読コンテンツにも適したバランスになっているという。こちらも2台接続によるステレオ再生に対応し、防水性能やマイク機能も備えている。
装着感で選べる2種類の完全ワイヤレスイヤホン
完全ワイヤレスイヤホンは、カナル型とインナーイヤー型の2タイプをラインアップ。ユーザーの好みや利用シーンに応じて選べる構成となっている。
カナル型は耳への密閉性が高く、低音までしっかり再現するモデル。S・M・Lのイヤーピースが付属し、自分の耳に合わせることで本来の音質を引き出せる。片側のみのパーツ販売にも対応し、万一紛失しても片耳だけ購入できる点も魅力だ。実際に試聴すると、小型ボディながら低域の量感が感じられ、リズムの力強さもしっかり味わえる。音楽をダイナミックに楽しみたい人にはこちらがおすすめだ。
一方のインナーイヤー型は耳を塞ぎ過ぎないため圧迫感が少なく、長時間でも快適に装着できた。音の印象も非常に自然で、低域から高域までバランス良くまとまっている。低音は必要十分に確保しながら中高域の抜けがよく、ボーカルも聞き取りやすい。周囲の音も適度に聞こえるため、家事や散歩、オフィスワークなど日常使いとの相性が高そうだ。
片側だけ990円で購入できるパーツ販売を用意した点も無印良品らしい発想だ。完全ワイヤレスイヤホンは片方だけ紛失して買い替えを余儀なくされるケースが少なくないが、この仕組みなら安心して長く使える。
初めてのヘッドホンにもおすすめできる1台
ワイヤレスヘッドホンはアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載し、有線接続にも対応。交換可能なイヤーパッドやシリコン製ヘッドバンドなど、長く使える工夫も盛り込まれている。ゲームモードや約70時間(ANCオフ)の長時間再生など、基本性能も充実している。
実際にANCを試したところ、最新のハイエンドモデルほど強力ではないものの電車内などで聞こえる低い走行音を和らげるには十分な効果を確認できた。音楽を再生すれば周囲の騒音はさらに気にならなくなるレベルで、通勤・通学用途なら実用性は高い。
音質はイヤホン同様に自然なバランスを重視した仕上がりだが、ヘッドホンらしく低域には適度な厚みがあり、迫力も楽しめる。長時間聴いても疲れにくく、映画鑑賞やゲーム用途にも向いていると感じた。
暮らしに寄り添う“ちょうどいい音”
無印良品の新しいオーディオシリーズは、派手なスペック競争ではなく、「暮らしの中で心地よく使える音」を追求した製品群だった。
特にループ付きモバイルスピーカーは価格を超える音質を実現しており、2台購入してステレオ再生を楽しみたくなる完成度だった。イヤホンやヘッドホンも自然な音作りを徹底し、さらにこの価格帯でも、片側だけ購入できる補修パーツや交換用イヤーパッドなど、長く使える配慮も光る。
近年は高価格帯オーディオが注目されがちだが、毎日気軽に使えて、価格以上の満足感を得られる製品という意味では、この無印良品の新シリーズは非常に魅力的な選択肢になりそうだ。
関連情報
https://www.ryohin-keikaku.jp
写真・文/ゴン川野
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