中東リスクの緊迫で一時35まで急上昇した「VIX指数」。相場急落時に上昇する特性を持ち、他の保有資産のヘッジ手段として注目されている。しかし、米国上場ETFが買えない今、私たちはどう投資すべきか?
本記事では、最新の「VIX短期先物指数ETF」の購入方法や、知っておかないと損をする価格低減リスクなどについて解説する。
VIX指数とは?
アメリカを代表する企業を500社選出して、その銘柄の株価をもとに算出されるスタンダード・アンド・プアーズ500種指数(以下、S&P 500)という指数がある。いわゆる日本のTOPIXのようなものだが、NYダウ指数と並ぶアメリカの代表的な株価指数だ。
このS&P 500を対象に、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)がオプション取引の変動率(ボラティリティ)をもとに算出した数値をVIX指数と呼ぶ。
VIX指数は、恐怖指数とも呼ばれ、投資家の将来の相場に対する心理が反映されているといわれており、先行きに不透明感が生じ、その恐怖感が強いほど指数が上昇する。
普段安定しているときは、15付近を推移しているが、先行き不透明感が出ると50を超えて数値が高くなる。2026年に入ってからは、中東情勢の悪化により、3月2日に35まで上昇した。
VIX指数の買い時と注意すべきこと
VIX指数は、VIX指数に連動したETFが上場しており、株式のように売買できる。残念ながら、米国に上場するETFは現在税務上などの問題により取引できないが、日本に上場するETFなら取引できる。
日本に上場しているETFは、「VIX短期先物指数ETF(銘柄コード:318A)」で、1口438.9円(7月7日終値)で、10口単位で購入でき、最低投資単位は4389円。
VIX指数は、大きな不安要素が起きて相場が大きく下落したときなどに大きく上昇する傾向があるため、他の資産のヘッジ手段として、または相場が大きく下落するかもしれないと予想するときに投資するのに適している。
一方で、株式や投資信託のような伝統資産に比べると、リスクが大きいのも注意が必要だ。
VIX指数ETFにおける「3つのリスク」
投資する前に、以下の3つのリスクを必ず頭に入れておきたい。
(1) 本家のVIX指数と値動きが乖離する可能性
(2) 長期保有すると価格が徐々に低減していく特性
(3) 相場急変動によるボラティリティの大きさ
まずは(1)について。本家のVIX指数は「米ドル建て」だが、国内のETFは「円建て」だ。そのため、為替が円高に振れると、本家VIXが上がっていても円建てETFの価格が相殺されて下がる場合がある。また、先物取引を乗り換えながら指数を算出する仕組み上、本家と完全に同じ値動きにはならない。
最も注意すべきは(2)の「長期の価格低減」だ。VIX指数は「パニックで急上昇し、市場が安定すると元の水準に下がる」を繰り返す。この特性上、ETFを長期間保有し続けると構造的に価格が目減りしていく。つまり、「買って放置」する長期投資にはまったく適さない商品なのだ。
そして最後の(3)が「値動きの激しさ」だ。VIX指数は、市場がパニックになると一瞬で2倍、3倍へと跳ね上がる爆発力を持つ。しかし、市場の警戒感が和らぐと、今度は一転して急落する。買うタイミングを一歩間違えれば、短期間で大きな損失を抱えるリスクがあるため、「予想が外れたらすぐに手放す(損切り)」というシビアな判断が求められる、中・上級者向けの商品といえる。
投資の参考に
投資家心理を映すVIX指数は、オプション価格をもとにしているため、株式市場そのものよりも反応が速いという特徴がある。そのため、実際の値動きに先んじて相場の状況を把握でき、株式投資の大きな参考になる。
その一方で、あくまで投資家の心理であるため、時に過剰反応しやすく、実際の株価や経済状況とは異なる動きを見せたり、結果的にはそこまで株価が値下がりしなかったりというケースもある点には留意が必要だ。
文/大堀貴子
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