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甘い焼き菓子からだしの旨み!?「茅乃舎」のクッキーが入手困難になるほど人気なワケ

2026.07.10

「茅乃舎(かやのや)」と聞いてピンとくる方は、きっと料理が好きな食いしん坊だろう。看板商品は、和風だしパックの「茅乃舎だし」。福岡・久山町の里山にある料理店「御料理 茅乃舎」で評判の味を商品化、2026年で誕生から21年を迎える食品・調味料ブランドである。

焼きあごやかつおなど、こだわりの素材をブレンドした本格的な和風だしながら、家庭でも気軽にたのしめる「茅乃舎だし」。いまや日本全国のみならず世界にもファンがおり、押しも押されもせぬ〝だしパックの雄〟!

……と思いきや、2026年3月2日に定番商品「野菜だし」と「生七味」を使った「茅乃舎 里山クッキー」なるものを発売した。だしで知られるメーカーが、スイーツ!?しかも、だしの旨みを生かしているだと?噂によると、あまりの人気に一時は入手困難だったというではないか。

トレンド情報を扱うライターとして、これは食べるべき!

「茅乃舎 里山クッキー」はガチで入手困難?

東京・銀座駅からほど近く、藍色の暖簾が目をひく「東京銀座 茅乃舎」に、開店とほぼ同時に訪れた。店内には数名の先客がおり、「茅乃舎」の人気ぶりが窺える。

銀座3丁目にある「東京銀座 茅乃舎」。ここだけの限定品や、2階には工芸品なども展示されている。

店内には、「茅乃舎だし」や「野菜だし」といった定番はもちろん、混ぜ込みご飯のもと、玉子焼きのもと、カレー、そうめんつゆ、フリーズドライ味噌汁など。さまざまな商品が並ぶ。

しかし肝心の「茅乃舎 里山クッキー」が、どこにも見当たらぬではないか!

店員さんに聞くと、「当店では売り切れてしまいまして……」と申し訳なさそうな表情。そして、その場で最寄り店の在庫を調べあげ、「茅乃舎 コレド室町日本橋店」には取り置きをせずとも十分な「茅乃舎 里山クッキー」があると教えてくれた。

ほっと胸を撫で下ろし、その足で「茅乃舎 コレド室町日本橋店」へ。無事購入と相成ったわけだ。

まさか発売から3ヶ月以上経つ今も、売り切れるほど人気とは。茅乃舎 里山クッキー」が入手困難という噂はガチであった。

無事に購入できてほっとした。税込2,268円。

食べてみたら……お酒が飲みたくなった

「茅乃舎」ブランドの原点である「御料理 茅乃舎」がある、福岡・久山の里山風景がモチーフになっている「茅乃舎 里山クッキー」(税込2,268円)のパッケージ。中には「野菜だし」「生七味」「抹茶」「黒胡麻」という4つの味が4枚ずつアソートになっている。

紙製の箱を開けると、4種のクッキーがお行儀よく並ぶ。

近ごろ何かと人気のクッキー缶とはちがい、1枚ずつ個包装になっているから、手土産にしやすそう。味ごとに、春夏秋冬、四季折々の風景が描かれているところもにくい。

1枚ずつのパッケージにも、四季折々の里山が描かれている。

というわけで、もったいぶらずに「野菜だし」からいただいてみる。

「野菜だし」は、オニオンスープのような香り。

国産小麦と全粒粉を使用したクッキー生地は、ザクッと齧るとまるでオニオンスープのような香りが広がった。甘さは控えめ。コーヒーよりワインがほしくなる

「野菜だし」の断面。生地はザクッと系。

これはアレだ!おしゃれなパティスリーで扱っている〝サレ(塩)〟味のクッキーと同じ方向!〝だし〟という言葉の響きから、ついつい魚介系を想像して甘いクッキーと合うのか?と心配していたけれど、甘さは控えめだし、野菜のだしだからコンソメのような旨みも感じられる。もう一枚食べたくなる味わいで、筆者の子ども(7歳)も「これ、美味しいねえ〜」としみじみ噛み締めていた。

続いて「生七味」もいただこう。

「生七味」は黒胡麻があしらわれている。

表面に黒胡麻があしらわれているが、香りを嗅いでも七味感は……?

「生七味」の断面。こちらも生地はザクッと系。

ザクッとひと口。おっ、こちらは同じ〝サレ(塩)〟味のクッキーでも、唐辛子や山椒の辛味がピリッときいている。そこに柚子皮や胡麻の風味も加わり、焼き菓子の概念をちょっと覆されるような新しい味だ。完全に大人のクッキーで、筆者は日本酒をいただきたくなったぞ。

一方で、「抹茶」と「黒胡麻」は、いわゆる甘いクッキーである。といっても同じく甘さは控えめ。「抹茶」には福岡・八女抹茶を、「黒胡麻」にはねり胡麻と黒胡麻の2種が使用されているそうで、素材へのこだわりはさすが「茅乃舎」。ほろっとした食感も先の2つとはまた違い、4種4様の美味しさをたのしませてもらった。

クッキーと一緒に入っていたリーフレット。

なぜ「茅乃舎」がクッキーをつくるのか?

しかし食べてみて、改めて疑問に思う。なぜ「茅乃舎」ほどの〝だしパックの雄〟が、スイーツを?

企画・開発を手がけたブランドマーケティング部 次長の野口香織さんにお話を伺った。

ブランドマーケティング部 次長・野口香織さん。

「われわれの主力商品はおっしゃる通り〝だしパック〟で、『茅乃舎だし』は2006年に発売して以来、長年お客様にお喜びいただいています。主な客層は50代以上の女性で、ご家族のためにお料理をする方が多いですね。

ただ、時代の流れやライフスタイルの変化などもあり、お料理をする方が減っているのも事実です。『茅乃舎』の味やだしの魅力を、お料理をしない方や、若い世代にも親しんでいただきたいと考えるようになりました。

そうなった時、そもそもだしパックは、お料理をすることが前提です。自分で買うにしても、どなたかに贈るにしても、お料理をしなければ手に取っていただけません。誰にとっても私のため(あの人のため)に買いたくなるものをと開発しました」(以下「」内、全て野口香織さん)

だしを生かしたお菓子としては第二弾。第一弾は、2025年に発売した「おかき」(取り扱いは一部店舗のみ)。

そこで白羽の矢が立ったのが、クッキーなのある。

「クッキーは、年齢や性別問わず、どなたでも気軽に食べられて、贈りものとしても喜ばれ、贈る相手も選びません。また、フランスでは〝サレ(塩)〟味のクッキーも人気ですし、『茅乃舎』の味づくりを生かしやすいと、最初からクッキー一択でした」

何を作るかは一発で決まった。しかし現在の4種の味に漕ぎ着けるまで約2年と、開発には長い年月を要することに。そこには「茅乃舎」の徹底したものづくりへのこだわりがある。

「私たちは、お客様にお届けするものは、製品でもDMでも全て徹底してこだわります。素材、美味しさ、安全性、デザイン性、分かりやすさなど。

クッキーの場合、最初に『茅乃舎』らしさとは?を考え、だしを入れることはパッと決まりました。

試作しただしは、全種類です(笑)。調味料も含むと数十種類ほどでしょうか。主力である『茅乃舎だし』も、入れたかったんですけれどね。『茅乃舎だし』は、あごやかつおの風味が特徴です。クッキーにすると、美味しいは美味しいのですが、リピートしたいか?と聞かれれば……。自己満足で『茅乃舎だし』味を出すのはちがうと考えました。

その後、単品で10種類ほどの味に絞り、さまざまな味同士を掛け合わせてみたりもしました。そして、『茅乃舎』のよさが伝わり、妥協のない美味しさを求めた結果が『野菜だし』と『生七味』です。『抹茶』と『黒胡麻』は、和素材にこだわり、『野菜だし』『生七味』と並んだ時の風味や彩りのバランスも考えました」

風味はもちろん、彩りのバランスも考え抜いた4種のアソートだ。

だしの可能性を広げていきたい

ロングセラーの「茅乃舎だし」、そして「野菜だし」が活躍するのは、和食だけではない

野口さんによると、スープにパスタ、スパイスカレーなどといった洋食や、スイーツなど、さまざまな活用方法があるそうだ。そして今回のクッキーのように、奇をてらわず真剣につくった美味しいものを届けることで、「だしの可能性を広げていきたい」と続ける。

「大地の恵みシェイク とうもろこしミルク黒蜜がけ」税込450円。2026年8月31日までの提供。提供時間は10〜17時で、悪天候などで提供できない場合もある。

その一つとして、福岡・久山の「久原本家 総本店」限定ではあるが、「北海道 大地の恵みだし とうもろこし」を使った「だしシェイク」なるものも、この夏登場。

「『北海道 大地の恵みだし とうもろこし』は、バターや牛乳、チーズなどの乳製品と相性が良く、スープやリゾットなどがおたのしみいただけます。とうもろこしの風味が甘みとも合うので、ひんやりシェイクに仕立てました。

総本店はわざわざ目指していただかないと来られないような場所にあります。ここで過ごす時間を、シェイクを味わいながらより楽しんでいただければ嬉しいですね」

夏限定のだし「北海道 大地の恵みだし とうもろこし」税込702円。家でつくる「だしアイス」も激ウマなのだとか。

ただのバズではない

「茅乃舎」では、全店舗で全商品の試食ができる。(画像提供:久原本家グループ)

申し訳ないが、最初は「だしのクッキー」という話題性から売れているのだろうと思い込んでいた。しかし実際に買って、食べて、そして開発者のお話も聞いて、納得。これはただのバズではない。斬新さはもちろん、「ちゃんと美味しい」を実直に追究したことで、「また食べたい」「あの人に贈りたい」という連鎖が広がっている。

野口さんによると、現在では贈り物はもちろん、自家用としてもよく売れているとのこと。筆者が購入した際も、レジを担当してくださったスタッフさんが、自宅用と伝える筆者に驚きつつ、「先ほど購入されたお客様もご自宅用にされたんですよ」と教えてくれた。

「茅乃舎 里山クッキー」は、定番品として、全国12店舗で扱われている。取引先への手土産や、季節の挨拶にもおすすめなので、気になる方はどうぞ店舗へ足を運んでほしい。

好きなフレーバーが選べるうえ、きっと会話も盛り上がり、来客のおもてなしにも良さそうだ。

取材・文/ニイミユカ

1983年、兵庫県生まれ、東京・浅草在住。朝ランが日課の編集者・ライター。女児の母。大阪の大学を卒業後に上京。編集プロダクション勤務を経て、フリーランスに。「衣食住子」と地に足のついた企画を編集・取材・執筆しています。Instagram @yuknote

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