筆者は個人的に、「転売ヤー」を憎んでいる。が、その一方で彼らが取り扱う商品のチェックを仕事にしてしまっている自分がいる。転売ヤーがその時に何を取り扱っているかを観察することで、「今」という時勢がはっきり分かるからだ。
『ショカコーラ』という商品に、ここのところ信じがたい高値がついている。
ショカコーラとは、ドイツのチョコレート。円盤型の缶に詰められているのが特徴で、コーラの実が使われていたからそのような商品名になっている。そしてこのショカコーラ、後述するがカフェイン量が現代のエナジードリンク並みということで大きな話題にもなっている。
その歴史から、ミリタリーマニアの間では「定番のお菓子」となっているが……。
エナジー食品の元祖
1936年のベルリンオリンピックは、その政治的背景から称賛することがタブーとされている。
が、独裁者アドルフ・ヒトラーの下で様々な技術的・宣伝的試みがされたことは疑いようがない。ファシズムに限らず、独裁国家とは自国の先進性を無理やりにでもアピールしようとする。テレビ中継や遠隔写真転送システムが導入され、さらに現在では当たり前の「大会公式アスリート向け栄養補給食品」も存在した。
それがショカコーラである。
もっとも、現代の目から見たらショカコーラは「栄養補給食品」ではなく「興奮剤」に近い代物だ。何しろ、青缶のカフェイン含有量は約230mg、赤缶では約290mgである。モンスターエナジーのスタンダード缶のそれが100mlあたり約40mgということを考えると、ショカコーラはまさに「エナジー食品の元祖」とも言える。
ショカコーラの赤と青、この両者はカフェイン含有量だけでなく味も異なる。
赤缶はビター、青缶はミルクチョコレート。後者のほうがよりマイルドな味わいに仕上がっているが、「どちらがより美味か?」という話になると当然ながら人によって分かれる。したがって、以下はあくまでも実食した筆者の見解である。
赤缶は「美味しい菓子商品」に囲まれている現代日本人からすればいささか大味で、青缶のほうが上品な味わいに仕上がっている。誰かへのお土産に持っていくとしたら、筆者なら青缶を選ぶ。
1缶3,000円!?
そんなショカコーラは、第二次世界大戦時にドイツ軍が兵士に支給したことからミリタリーマニアの間でよく知られている。
当時の写真を見てみると、確かに円盤型の缶を持つ兵士が写っていたりする。Uボート勤務の海軍兵士などは特に苛酷な状況に置かれていて、その勤務は24時間体制。睡眠はあくまでも「休憩」の枠内だ。彼らにはショカコーラが欠かせなかったという。
ドイツ軍のあるところにショカコーラがあったことは間違いないようだ。
毎年5月に静岡県静岡市で開催される静岡ホビーショーでは、タミヤのブースにショカコーラが置いてあったりもする。今年の静岡ホビーショーでの販売価格は1缶1,296円。正直、お世辞にも「安い値段」とは言えないが、それでも筆者の目の前で次々と売れていった。「飛ぶように売れる」とは、まさにこのことかもしれない。
が、この記事を執筆している7月6日の時点でAmazonを見てみると、何と1缶3,000円で売られているではないか。これはいくら何でも法外な値段と言わざるを得ないが、一方でショカコーラが現在品薄状態ということは否定できない事実だ。
残念ながら、「ショカコーラはどうやって入手できるの?」という問いに対して筆者は何も返すことができない。現状、タミヤが大規模イベントにブース展示する際はショカコーラの販売も行っている模様なので、それに期待するしかない。
ショカコーラは「大人のお菓子」
その上で、ショカコーラを購入・入手できたという幸運な読者のために、以下「食べる際の注意事項」を記載しておきたい。
まず、これはよく言われることだが「食べ過ぎ注意」である。カフェイン含有量を考慮すると、その人が受験生か徹夜仕事を抱えているということでない限りは「数日かけて完食する」のがベストな判断だ。
「日本人は欧米人よりもカフェインに強い」とも言われているが、コーヒー1杯で夜眠れなくなってしまう人は我々の国でも少なくないはず。そうした見方から論じると、小さな子供のいる家庭では保管場所に注意が必要かもしれない。小さい子が食べたら危険……というものではないが、やはり「子供が夜眠れなくなる」というのは親にとっては大問題だろう。ショカコーラは「大人のお菓子」であることを心得ておきたい。
また、食べ終わった後の缶は捨てずに残しておくべき。これは強く断言したい。
ネットオークションでは、ショカコーラの空き缶を売っている例も見受けられる。これはショカコーラの缶がその後も小物入れ等のインテリアに利用されている証拠でもある。実際、この缶のデザインは部屋に馴染みやすく、工夫次第ではデスクの上の整理整頓にも活用できるはずだ。
今現在の世界情勢を鑑みると、様々なモノが値上がりしてごく一般的な板チョコですらもそうとうな値段になっていたりする。ショカコーラももはや気軽に食べられるものではなくなっているが、そうした事情を考慮しつつも今後の供給回復を願うばかりである。
文/澤田真一
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