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話題沸騰の「マンジャロ」論争、美容クリニックやインフルエンサーは本当に〝悪〟なのか?

2026.07.26

モナキ、パンチくん、ボンドロ…2026年上半期のヒット商品&トレンドを総力取材!SNSで話題の『みぃちゃんと山田さん』やマンジャロも独自視点で切り込む大特集! 第6回はSNSで論争が絶えない「マンジャロ」。夜職系インフルエンサーが「マンジャロ打ちな?」と発言したことを皮切りに、ダイエット目的のマンジャロ使用は多くのメディアでも議論がされている。美容クリニックやインフルエンサーがマンジャロの利用を広めるのは「悪」なのだろうか?改めて、その是非を考えてみたい。

>>>特集「上半期ヒット商品&トレンド2026」はこちら

糖尿病治療薬「マンジャロ」をダイエット目的で使用する人が増えている。医薬品である以上、メディアが「ブーム」と表現することには慎重にならざるを得ない。しかし、SNSや美容医療の現場で急速に広まったことは紛れもない事実だ。

マンジャロの自由診療による処方は現行制度上、違法ではない。にもかかわらず、マンジャロに関する批判や議論は後を絶たない。

このブームで本当に問われるべきなのは、いったい誰なのか。医療関係者に取材すると、世間で語られる犯人探しとは異なる視点が見えてきた。

マンジャロの自由診療は違法ではない

「マンジャロの自由診療による処方は現行制度上、違法ではありません」

現役薬剤師で、自らもマンジャロの使用経験のある30代薬剤師・Aさんはそう強く前置きをしたう上で、匿名を条件に取材に応じてくれた。

「ご存知の通り、マンジャロはもともと2型糖尿病の治療薬です。週に1回、自分でお腹や太ももに皮下注射をして使用します。

脳の満腹中枢に効いて食欲を抑え、胃の動きを遅くして少量で満腹感を感じるようになります。ダイエット効果があるのはそのためです。事実、米国では肥満の治療薬として広く使われており、日本でも、同じ成分の肥満症薬『ゼップバウンド』がすでに正式承認されています。

つまり、マンジャロを痩せるために使うことは特別な話ではありません。需要がある以上、自由診療の市場が拡大するのは自然な流れだと私は考えています」

Aさんは改めて強調する。

「もちろん、不正販売の取り締まりや美容目的への注意喚起は行われるべきですが、使用そのものは違法ではないため、それ以上は止められない。

重ねてになりますが、マンジャロの自由診療は違法ではないので、利用者を責めるべきではありません」

マンジャロ批判は自由診療の可能性を

マンジャロを製造販売するイーライリリー社は「昨今のマンジャロに関する報道等について」とし以下の注意喚起をホームページに掲載している。

昨今、弊社の2型糖尿病治療薬「マンジャロ」について、美容・痩身・ダイエット等を目的とした使用を推奨していると受け取れる広告等が確認されています。
また、許可なくマンジャロを売買した疑いで書類送検されたという報道も確認されています。
日本におけるマンジャロの承認された効能・効果は2型糖尿病です。
マンジャロは医師の指導のもと、適切に管理・監督され、国内の電子添文に則った適切な使用が求められる処方箋医薬品です。
医師の管理・指導のもとでのみ使用が許可されている薬剤です。
マンジャロが美容目的など2型糖尿病以外の方に使用された場合の有効性および安全性は医学的に確認されておりません。
また、医薬品を許可なく個人間で売買、転売することは薬機法に違反する行為です。
これらの適切に指導、管理されていない医薬品の使用は、安全性や品質が確保されておらず、本来の効果が見込めないだけでなく、深刻な健康被害が発生するリスクがあります。
そのため当社はこれらを容認できず、関連当局や関連学会、警察等と緊密に連携し、情報共有や注意喚起、および適正使用推進のための情報提供活動を行っております

しかしながら、マンジャロを取り扱う美容クリニックや「マンジャロで痩せた」と公言するインフルエンサー、そして上記のような注意喚起を出している製薬会社に対する批判は決して少なくない。

前出の薬剤師は、次のように話す。

「特に、製薬会社や美容クリニックが利用者の安全や健康よりも利益を優先しているという指摘は理解できます。その上で申し上げると、『誰が得をしているのか』という切り口の批判には、私は正直、違和感を覚えます。

問題の本質は、薬そのものではなく自由診療という”裏口”に人が流れてしまっていることです。つまり”正面玄関”のアクセスが不便なのも一因です。

例えば、ダイエットをしたい人に向けて先に述べた肥満症薬『ゼップバウンド』を保険適用で安全に処方するように制度を見直せばマンジャロブームは収束するでしょう。

今のように、過度なマンジャロ批判によって自由診療の選択肢が狭まれば、結果として私たちが選べる医療そのものが少なくなる可能性もあるかもしれません。こうした問題の本質に議論が及ぶことを私は期待しています」

マンジャロブームは、日本の医療制度に一石を投じているのかもしれない。

取材・文/峯亮佑

Author
大学卒業後、『週刊ポスト』で週刊誌記者としてキャリアを始める。医療、芸能、政治、社会問題などを担当し現場取材を中心に経験を積む。2023年からは@DIMEで編集者兼ライターを務め、ビジネスからエンタメまで幅広く取材・執筆を行なう。取材・執筆した企画(一例)/「ポケモン超進化論」(「DIME 2023年9・10月合併号」)、「ガンプラ45年の軌跡」(「DIME 2025年9・10月合併号」)

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