ハロプロのJuice=Juiceの楽曲「盛れ!ミ・アモーレ」が大ヒットしていますね。長年のハロオタである私としては通称「盛れミ」によってハロー!の実力が世間に浸透するのはとても嬉しいです。特にリーダーの段原瑠々さんの圧倒的な歌唱力がバレたのは最高。このまま快進撃を続けてほしいものです。
さて同曲ですがアレンジがかなり本格的なラテン曲。なのですが、メロディが才女・山崎あおいさんによるド歌謡トップライン。胸がギュッとなる切ないラテン歌謡なんですねえ。考えてみたら日本って定期的にラテン歌謡が流行るんですよ。思いつくまま挙げてみますが、まず切なさという点でのラテン歌謡でいえばポルノグラフィティの初期作品ですよね。「アゲハ蝶」や「サウダージ」はラテンテイストなのですがメロはド歌謡。今でもカラオケランキングの上位にいることから老若男女に親近感があることもわかります。それで言えばEXILEの「Ti Amo」なんかも切ないラテン歌謡ですよね。タイトルイタリア語だし。カバーにはなりますが「ランバダ」なんかも切なさがありました。「だんご三兄弟」は社会現象になるほどのタンゴ曲ですが切なさがありましたよね、団子のくせに。
とはいえラテン歌謡は基本的に明るいものが多いです。南半球のカリカチュアされた陽気さだけを抽出しているんですよね。荻野目洋子さんの「コーヒー・ルンバ」や橋幸夫さんの「恋のメキシカン・ロック」、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」なんかもラテンテイストの底抜け明るい曲ですよね。郷ひろみ「お嫁サンバ」なんて「お嫁さん」とかけているだけ、という陽気そのもの。

そしてそれの極め付きはみんな大好き、松平健さんの「マツケンサンバⅡ」です。自負として同曲の再ブレイクは私の広報活動が実を結んだと思っているのですが。この曲に関してはサンバと言いながら「叩けボンゴ」の時点でサンバ音楽では使われない「ボンゴ」が入っていたり、「オレ!」とフラメンコが入っていたりとめちゃくちゃなんですよ。でもめちゃくちゃなのがラテン歌謡の正解。日本の歌謡曲はごった煮だから面白いんです。そもそも白塗り金ピカ将軍がサンバを歌い踊る、ってだけでめちゃくちゃですからね。最高。
そう考えたら美空ひばりさんの「お祭りマンボ」もごった煮ですよ。江戸の祭りの様子をマンボに乗せてこぶしをまわしながら歌うんですから元祖ラテン歌謡と言っても差し支えないですね。まあそもそも日本の戦後音楽史は駐屯地で外国人に音楽を披露した側面が大きいですからそういったラテン要素を取り入れる地盤があったのは納得ではあります。森山加代子「白い蝶のサンバ」、西郷輝彦「星のフラメンコ」、淡谷のり子「ひめごとのタンゴ」、皆川おさむ「黒ネコのタンゴ」、童謡「おもちゃのチャチャチャ」、チェリッシュ「てんとう虫のサンバ」などなど曲名に曲ジャンル名が入るのも特徴的です。「ラテンですよ」と銘打つ必要があるほど日本人の中で需要があったんですね。
ラテンミュージックと日本人は相性抜群
ラテン歌謡を振り返ったわけですが、ポイントは陽気さと哀愁、この二点かなと。お祭り大好き日本人が頭空っぽにして楽しめる陽気サウンドが相性いいのは納得です。あと哀愁。演歌、さらには浪曲もそうですが日本の音楽には哀愁があります。世界でブームの日本製シティポップも哀愁です。ポルトガル語で言うと「サウダージ」。日本人の繊細な機微を表現するのが地球の裏側の音楽ってのも面白いものです。最近では若干機械的なメロが目立つアメリカの音楽のトレースではなく、哀愁ラテンでブレイクした「盛れミ」に日本の音楽業界のヒントがあるのかも。あ! 私も作り手だった! いっぱいラテン歌謡書かなきゃ取り残されちゃう!


ヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名・前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。
文/ヒャダイン 編集/石﨑寛明
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